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36 久しぶりのマルタ食堂
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「こんにちはー!」
「おおエレン! 久しぶりだな」
「数日来れなかっただけですごく寂しかったです」
「相変わらず可愛いこと言ってくれるな。よし、じゃあ早速ランチの準備をしてもらおうかな」
「はい!」
今日は学校が始まってから初めての週末。今は開店前の準備時間だ。テーブルを拭いて飲み水を用意していると、扉が開く音がした。
「あ、ごめんなさい、まだ準備中で……」
「エレン、いたのか」
「レオン!!」
久しぶりのレオに飛び上がりそうな程嬉しくなり、手に持っていた布巾をテーブルに置いてレオに走りよる。見たところ、元気そうだ。
「今日はエレンに会えるかな、と思って寄ってみたんだ。会えて嬉しい」
「俺も、ここ数日、何度もレオに会いたいなって思ってたんだ」
俺の言葉を聞いたレオが俺を抱き締める。久しぶりの感覚は心地良く、満たされるような気がした。俺も同じように腕をレオの背に回し、ぎゅっと抱き締め顔をレオの胸に押し付ける。このポジション落ち着くな……。
「これはこれは、エレンがいない時は飯も食べず、ただ冷やかしに来ていたレオンさんじゃないか」
「その内二回は飯食って行ったじゃないか」
「エレンがいた時は毎日食ってたじゃねぇか。お前といい他の奴らといい……」
ぶつぶつ言いながらガルロさんが調理器具をセットしている。手をレオの胸に乗せ腕を伸ばして離れようと試みるが、腕が俺の背中に固定され動けない。
「俺も手伝います!」
「あー、もう開店まで特にすることねぇし、レオと話したいことあれば話してて良いぞ。客が入って来たら話す時間ねぇしな」
「だってエレン」
「あ……う…じゃあ少しだけ」
レオは俺を抱いたまま縦抱きにして、空いている椅子に座らせた。そのまま隣に座る。
「学校はどうだった?」
「うん、レオ……ンに言われた言葉に勇気をもらって、ちゃんと話して仲直り出来たんだ。キールとリアムって言うんだけど、お互い謝って、俺の料理の問題も納得してもらったんだ。新しい友達も出来た」
「それは良かったな。心配していた。エレンのことはオレだけ分かっていれば良いとも思っていたが、理解者は多い方が良い」
「うん、レオン本当にありがとう!」
感謝を伝えると、レオは俺の頭を撫でてくる。
「その、新しい友達から色々と新しい話を聞いて、出来れば今日か明日その話をしたいんだけど、レオンの家に行っても大丈夫かな?」
レオは撫でる手を止を止めないまま
「あぁ、今日でも大丈夫だ。ピーク時間が終わったら一緒にオレの家に行こう」
と言って微笑んだ。見慣れたはずの銀色の髪と紫の瞳は、やっぱりレオに合っていて、綺麗だなと思った。
「そろそろ店開けるぞ」
「はい! ありがとうございました」
「じゃあオレはここで待ってるよ」
「何か注文しろよ」
「もちろん」
開店と同時にいつもの常連さんたちが入って来て、一気に忙しくなった。会話を楽しみながら食事をテーブルに届ける。みんなが俺に話しかけるせいで回転率が悪い。
「おいお前ら! エレンと話すのは一人1分までだ! とっとと食ってクエストでも受けにいけ!」
「久しぶりにエレンに会えたのにー。いくらオーナーだからって横暴だぞ」
「ダンさん。俺明日もここに来るので、もし明日も来てくれたらまたお話しましょ?」
「お! じゃあ明日はオレがエレンを予約するからな」
「うちはそういう店じゃねぇ!!」
「アルコール1瓶飲むからさ」
「ボトルキープとか無いから!」
騒がしい店内を見ながら、エレンとして過ごすここでの時間は宝物のように感じて、俺はこの平和な時がずっと続いて欲しいな、と心から思った。
「おおエレン! 久しぶりだな」
「数日来れなかっただけですごく寂しかったです」
「相変わらず可愛いこと言ってくれるな。よし、じゃあ早速ランチの準備をしてもらおうかな」
「はい!」
今日は学校が始まってから初めての週末。今は開店前の準備時間だ。テーブルを拭いて飲み水を用意していると、扉が開く音がした。
「あ、ごめんなさい、まだ準備中で……」
「エレン、いたのか」
「レオン!!」
久しぶりのレオに飛び上がりそうな程嬉しくなり、手に持っていた布巾をテーブルに置いてレオに走りよる。見たところ、元気そうだ。
「今日はエレンに会えるかな、と思って寄ってみたんだ。会えて嬉しい」
「俺も、ここ数日、何度もレオに会いたいなって思ってたんだ」
俺の言葉を聞いたレオが俺を抱き締める。久しぶりの感覚は心地良く、満たされるような気がした。俺も同じように腕をレオの背に回し、ぎゅっと抱き締め顔をレオの胸に押し付ける。このポジション落ち着くな……。
「これはこれは、エレンがいない時は飯も食べず、ただ冷やかしに来ていたレオンさんじゃないか」
「その内二回は飯食って行ったじゃないか」
「エレンがいた時は毎日食ってたじゃねぇか。お前といい他の奴らといい……」
ぶつぶつ言いながらガルロさんが調理器具をセットしている。手をレオの胸に乗せ腕を伸ばして離れようと試みるが、腕が俺の背中に固定され動けない。
「俺も手伝います!」
「あー、もう開店まで特にすることねぇし、レオと話したいことあれば話してて良いぞ。客が入って来たら話す時間ねぇしな」
「だってエレン」
「あ……う…じゃあ少しだけ」
レオは俺を抱いたまま縦抱きにして、空いている椅子に座らせた。そのまま隣に座る。
「学校はどうだった?」
「うん、レオ……ンに言われた言葉に勇気をもらって、ちゃんと話して仲直り出来たんだ。キールとリアムって言うんだけど、お互い謝って、俺の料理の問題も納得してもらったんだ。新しい友達も出来た」
「それは良かったな。心配していた。エレンのことはオレだけ分かっていれば良いとも思っていたが、理解者は多い方が良い」
「うん、レオン本当にありがとう!」
感謝を伝えると、レオは俺の頭を撫でてくる。
「その、新しい友達から色々と新しい話を聞いて、出来れば今日か明日その話をしたいんだけど、レオンの家に行っても大丈夫かな?」
レオは撫でる手を止を止めないまま
「あぁ、今日でも大丈夫だ。ピーク時間が終わったら一緒にオレの家に行こう」
と言って微笑んだ。見慣れたはずの銀色の髪と紫の瞳は、やっぱりレオに合っていて、綺麗だなと思った。
「そろそろ店開けるぞ」
「はい! ありがとうございました」
「じゃあオレはここで待ってるよ」
「何か注文しろよ」
「もちろん」
開店と同時にいつもの常連さんたちが入って来て、一気に忙しくなった。会話を楽しみながら食事をテーブルに届ける。みんなが俺に話しかけるせいで回転率が悪い。
「おいお前ら! エレンと話すのは一人1分までだ! とっとと食ってクエストでも受けにいけ!」
「久しぶりにエレンに会えたのにー。いくらオーナーだからって横暴だぞ」
「ダンさん。俺明日もここに来るので、もし明日も来てくれたらまたお話しましょ?」
「お! じゃあ明日はオレがエレンを予約するからな」
「うちはそういう店じゃねぇ!!」
「アルコール1瓶飲むからさ」
「ボトルキープとか無いから!」
騒がしい店内を見ながら、エレンとして過ごすここでの時間は宝物のように感じて、俺はこの平和な時がずっと続いて欲しいな、と心から思った。
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