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31 かつての友の不思議な言動
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フリードとの会話以降、これから自分がどう動くか整理していた。俺がレナセール国に行けるのは紛争が無くなり、内政が落ち着いてからになる。シドとラキくんから連絡が来たら、それとなく話を誘導して聞いてみることも考えたが、俺にはそんな芸当はない。いざとなったらレオに相談してみよう。
遠くからわざわざガルダニア派が俺を何かしに来るとは思えないが、一応警戒して髪色を変えたり眼鏡を付けたりしてみる予定だ。でも学校や家で狙われたらどうしようも無いしな……。ガルダニア派は何故そこまでリティーダを恐れているんだろう。とにかく、万が一俺の存在がバレても無力だと分かれば大丈夫……なはず。保護魔法が発動したら終わりだけど。護衛を増やすことも検討しよう。お父様にまた相談してみよう。
父からレナセール国の紛争と、内政状況を聞きたかったが、忙しいのか全く会えなかった。フリードに話を聞いた後だと心配になるな……。レオに会いたくて相談したくて仕方なかった。大丈夫だよって言って欲しいだけかもしれない。
あれから学校でも変化があった。
「おはよう、エル」
「おはようフリード」
「今日の三限目が自習になったから、一緒に図書室でグループ課題に役立つ本を探しに行かない?」
学校でフリードと普通に会話するようになったのだ。学校内では殿下の次に高貴な身分であるフリードと極悪令息である俺が急に仲良くしだしたのだから、学校中で注目を浴びている。
「俺は良いけど……。フリード、一緒にいても良いのか……? (王室から目をつけられるんじゃ)」
「ん……? このくらい……(何を言われても授業の一環だと押し切れるし)私が好きでやってることだから」
「フリードが大丈夫なら……うん、俺も嬉しい」
俺がニコッと笑うと教室内がザワついた。
(え……もしかしてそうなの……? )
(笑うところ初めて見た……)
(話すと意外に普通だな……)
なんか小声で話しているがよく聞こえない。今の会話で変なことあったか? フリードを見ても綺麗な顔で笑っているだけだった。じゃあまた後で、と自分の席に座る。
てっきりグループ課題中だけ関わってくるのかと思いきや、フリードは学校にいる間何度も接触してきた。「大丈夫なのか」と聞いたら、「偶然課題のグループで一緒になったので、親しくなり不自然なところが無いか代わりに監視しますよ」、と躱したらしい。フリードの父親もさりげなく俺への関心を逸らそうと頑張ってくれているらしい。王族と親戚なのに良いのかな。
「おい、エルティア」
「……なに?」
二限目の授業が終わったので、フリードと図書室に行こうと席を立ったところで呼び止められた。
「いや……その……フリードリヒと図書室に行くのか……?」
「そうだけど」
「ぼ、僕も行く」
「は?」
「僕も同じグループなんだから、僕も一緒に図書室で本を探すんだ!」
「まぁ……好きにしたら良いのではないでしょうか」
なんだか様子がおかしいが。視線も合わないし声も必要以上にデカい。キールの隣にそびえ立つリアムを見ると、キールを見ながらうんうんと頷いていた。お前は昔も今もなんなんだ。自分の意思はどこだ。言葉にしろ。正直一番正体が分からなくて怖い。俺は察しが悪い方なんだ。
「エル行こうか。キールくんたちも一緒に図書室に行く?」
「……行く」
何故か元気がないキールと正体不明の巨人リアムとどんな時でも落ち着きを見せる公爵令息フリードと共に図書室に向かった。
他のクラスは授業中のため、俺たち以外は誰もいなかった。司書はいるが、奥の管理室にいるらしく見える範囲には誰もいない。
「とりあえず各自課題に役立ちそうな本を見つけてこようか」
「そうだな、俺は経営コーナーを見てくる」
「取ったら各々読んで、良い案があれば教え合おう」
フリードは公爵家の嫡子だけあって、指示出しも人をまとめることも長けているようだ。とてもやりやすい。
俺が経営コーナーで本を物色しているとキールがやってきた。なんだなんだ、サボるな。
「ねぇエルティア……」
「なんだ?」
「フリードリヒと……友達になったの?」
「ん? ……うーんどうだろうな。まぁお互いのことをある程度知っていて、リスクがありながらも一緒にいることを選ぶくらいには親しいかな」
「……っ! エルティア、友達なんていらないって言ってたのに!」
「それは、俺のことを知らないのに悪く言う人や、既に俺のことを嫌いな人とわざわざ友達になりたいと思わないってだけで、ただいらないとは言ってないよ」
「……っ。ずっと、周りと仲良くしようとして無かったのに!」
「フリードは元々俺に悪感情無かったし、向こうから話しかけて来たし、普通に良い奴だから。それに、学校にいないだけで、外には普通に友達いるぞ」
「え……? うそ……」
「嘘じゃないよ、夏休み友達と旅行にも行ってきたし」
旅行が目的ではないけど、このくらい言っても良いだろう。
「…………う……」
「う?」
「うわーーーーん!!!」
「お、おい、図書室で大声出すな!!」
キールは大声を出しながら図書室を出ていった。その後をリアムも追いかける。本当にあいつらは何しに来たんだ。フリードを見ると、いつもの落ち着きはどこへやら何故か爆笑していた。
遠くからわざわざガルダニア派が俺を何かしに来るとは思えないが、一応警戒して髪色を変えたり眼鏡を付けたりしてみる予定だ。でも学校や家で狙われたらどうしようも無いしな……。ガルダニア派は何故そこまでリティーダを恐れているんだろう。とにかく、万が一俺の存在がバレても無力だと分かれば大丈夫……なはず。保護魔法が発動したら終わりだけど。護衛を増やすことも検討しよう。お父様にまた相談してみよう。
父からレナセール国の紛争と、内政状況を聞きたかったが、忙しいのか全く会えなかった。フリードに話を聞いた後だと心配になるな……。レオに会いたくて相談したくて仕方なかった。大丈夫だよって言って欲しいだけかもしれない。
あれから学校でも変化があった。
「おはよう、エル」
「おはようフリード」
「今日の三限目が自習になったから、一緒に図書室でグループ課題に役立つ本を探しに行かない?」
学校でフリードと普通に会話するようになったのだ。学校内では殿下の次に高貴な身分であるフリードと極悪令息である俺が急に仲良くしだしたのだから、学校中で注目を浴びている。
「俺は良いけど……。フリード、一緒にいても良いのか……? (王室から目をつけられるんじゃ)」
「ん……? このくらい……(何を言われても授業の一環だと押し切れるし)私が好きでやってることだから」
「フリードが大丈夫なら……うん、俺も嬉しい」
俺がニコッと笑うと教室内がザワついた。
(え……もしかしてそうなの……? )
(笑うところ初めて見た……)
(話すと意外に普通だな……)
なんか小声で話しているがよく聞こえない。今の会話で変なことあったか? フリードを見ても綺麗な顔で笑っているだけだった。じゃあまた後で、と自分の席に座る。
てっきりグループ課題中だけ関わってくるのかと思いきや、フリードは学校にいる間何度も接触してきた。「大丈夫なのか」と聞いたら、「偶然課題のグループで一緒になったので、親しくなり不自然なところが無いか代わりに監視しますよ」、と躱したらしい。フリードの父親もさりげなく俺への関心を逸らそうと頑張ってくれているらしい。王族と親戚なのに良いのかな。
「おい、エルティア」
「……なに?」
二限目の授業が終わったので、フリードと図書室に行こうと席を立ったところで呼び止められた。
「いや……その……フリードリヒと図書室に行くのか……?」
「そうだけど」
「ぼ、僕も行く」
「は?」
「僕も同じグループなんだから、僕も一緒に図書室で本を探すんだ!」
「まぁ……好きにしたら良いのではないでしょうか」
なんだか様子がおかしいが。視線も合わないし声も必要以上にデカい。キールの隣にそびえ立つリアムを見ると、キールを見ながらうんうんと頷いていた。お前は昔も今もなんなんだ。自分の意思はどこだ。言葉にしろ。正直一番正体が分からなくて怖い。俺は察しが悪い方なんだ。
「エル行こうか。キールくんたちも一緒に図書室に行く?」
「……行く」
何故か元気がないキールと正体不明の巨人リアムとどんな時でも落ち着きを見せる公爵令息フリードと共に図書室に向かった。
他のクラスは授業中のため、俺たち以外は誰もいなかった。司書はいるが、奥の管理室にいるらしく見える範囲には誰もいない。
「とりあえず各自課題に役立ちそうな本を見つけてこようか」
「そうだな、俺は経営コーナーを見てくる」
「取ったら各々読んで、良い案があれば教え合おう」
フリードは公爵家の嫡子だけあって、指示出しも人をまとめることも長けているようだ。とてもやりやすい。
俺が経営コーナーで本を物色しているとキールがやってきた。なんだなんだ、サボるな。
「ねぇエルティア……」
「なんだ?」
「フリードリヒと……友達になったの?」
「ん? ……うーんどうだろうな。まぁお互いのことをある程度知っていて、リスクがありながらも一緒にいることを選ぶくらいには親しいかな」
「……っ! エルティア、友達なんていらないって言ってたのに!」
「それは、俺のことを知らないのに悪く言う人や、既に俺のことを嫌いな人とわざわざ友達になりたいと思わないってだけで、ただいらないとは言ってないよ」
「……っ。ずっと、周りと仲良くしようとして無かったのに!」
「フリードは元々俺に悪感情無かったし、向こうから話しかけて来たし、普通に良い奴だから。それに、学校にいないだけで、外には普通に友達いるぞ」
「え……? うそ……」
「嘘じゃないよ、夏休み友達と旅行にも行ってきたし」
旅行が目的ではないけど、このくらい言っても良いだろう。
「…………う……」
「う?」
「うわーーーーん!!!」
「お、おい、図書室で大声出すな!!」
キールは大声を出しながら図書室を出ていった。その後をリアムも追いかける。本当にあいつらは何しに来たんだ。フリードを見ると、いつもの落ち着きはどこへやら何故か爆笑していた。
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