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15 初めての飲酒
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入浴を終え、宿に帰る前に皆で食事をとる。首都アキュレ以外はクロスフェード伯爵家の領地にしか行ったことが無かったので、ここハンナナ街ではどんな料理があるのか楽しみだ。
メニュー名で何となく予想して注文する。4人が頼んだものはシェアしながら食べることが出来、色んな料理を楽しめた。ガルロさんの家庭料理も美味しいけど、ちょっと小洒落たこの店の料理も美味しいな。このソースの素材はなんだろ……甘くて美味しい……このスープ、魚の臭みを取るためにあえてクセのあるカナリーフをいれてるのか、なるほどなるほど……。
「おい……エレンが百面相しながら黙々とご飯食べてるけど話しかけて大丈夫なやつ?」
「エレンくん、料理が大好きなんだよ。初めて食べるご飯だから食材とか味付けとか考えてるんじゃないか?」
「僕何か飲みたいな」
「オレ葡萄酒飲む」
「お、じゃあオレはビール飲もうかな」
気になる単語が聞こえて顔を上げる。
「お酒……?」
「そ、確かお前も成人してるんだろ? 飲んだことあるか?」
「ない……」
「大人向けの料理も作るなら、料理に合うお酒を知ってても良いと思うぞ」
「……俺も一杯だけ飲もうかな」
「大丈夫かエレンくん。お酒初めてだろう? キツいな、と思ったらすぐに飲むのを止めるように」
「分かりました」
俺はシドと同じ葡萄酒を頼み、ラキくんはリンゴジュースを頼んだ。箸が大分進んだ頃、4人分の飲み物が届いた。それぞれがグラスを手に持ち、レオンさんが口を開く。
「この旅の出会いと、素晴らしい夜に、乾杯」
「「「かんぱーい」」」
「………ん……」
ふと目が覚める。ん……肌寒い……。左側に暖気を感じ、体ごと反転する。あったかい……。再び深い眠りに落ちる寸前、頭を撫でられた気がした。
レオンside
「エレンくん、お水飲もう。はい、そのグラスこっちにちょうだい」
「やだぁ~コレ俺のなの~! まだ飲むの~!」
「葡萄酒半分でコレなら一杯飲んだら倒れるんじゃ……」
「エレンさん可愛い」
「エレンくん、そしたらオレのお酒(水)と交換しない? 飲み比べしよう」
「う~……いいよ!」
チョロくて可愛い。
「既に顔赤いけど肌弱いのと関係あるのか?」
「お酒を飲んで肌に赤みがさすのは、アルコールを分解する機能が弱いせいだから、また別問題だね」
「……相変わらず生き字引みたいな奴だな……」
「エレンくん、眠い? もう眠いね?」
「ん~ベッド~」
「ご飯は一通り食べたし、宿に帰って寝るか」
「エレンさん明日大丈夫かなぁ。赤くなりやすい人は体調不良になりやすいんだ。宿の主人に薬を貰って寝る前に飲ませてあげよう」
本当に気が利く子だな……。
「本当にラキくんは10歳か?」
「僕が16歳で成人した時にエレンさんは22歳、悪くないどころか最高だと思わない?」
「なんの話だ」
「ラキも酔ってんのか?」
「リンゴジュースで酔えるなら安く済んで良いね」
その後エレンを横抱きにして宿に戻り、宿の主人に薬をもらい飲ませた。シドとラキくんはエレンくんを心配していたが、あとはもう寝るだけなので部屋に帰ってもらった。
寝る前に用を足しに離れた少しの間で、エレンくんの服が水でびしょびしょになっていた。……何故……。どうやら水を飲もうとして力が入らず顔から被ったらしい。とりあえず脱がせ、タオルで水を拭き取り、そのまま寝かせた。いくら旅を共にする友人でも、荷物を勝手に漁るのは気が引けたので、上半身裸だがそのまま寝よう。夏もそろそろ終わる時期だが、まだまだ暑さが残り夜も寒くないし、風邪は引かないだろう。
エレンくんをベッドに横たわせ、シーツを掛ける。自分も隣に滑り入るとエレンくんが寄ってきた。細やかな白い肌に浮いていた赤みは少し薄れつつある。本当にこの子は……オレじゃなきゃ襲ってたぞ……。水に濡れたというのに温かい肌をするりと触れる。
「んっ……」
エレンくんの口から零れた吐息に、バッと手を離す。オレは眠っているいたいけな子になんてことを…。隣の部屋にいる二人と同室じゃなくて良かったと思いつつ、大人二人にはやや狭いベッドからエレンくんが落ちないように肩に手をやり、温かさに眠気が膨らみ、逆らうことなく意識は落ちていった。
メニュー名で何となく予想して注文する。4人が頼んだものはシェアしながら食べることが出来、色んな料理を楽しめた。ガルロさんの家庭料理も美味しいけど、ちょっと小洒落たこの店の料理も美味しいな。このソースの素材はなんだろ……甘くて美味しい……このスープ、魚の臭みを取るためにあえてクセのあるカナリーフをいれてるのか、なるほどなるほど……。
「おい……エレンが百面相しながら黙々とご飯食べてるけど話しかけて大丈夫なやつ?」
「エレンくん、料理が大好きなんだよ。初めて食べるご飯だから食材とか味付けとか考えてるんじゃないか?」
「僕何か飲みたいな」
「オレ葡萄酒飲む」
「お、じゃあオレはビール飲もうかな」
気になる単語が聞こえて顔を上げる。
「お酒……?」
「そ、確かお前も成人してるんだろ? 飲んだことあるか?」
「ない……」
「大人向けの料理も作るなら、料理に合うお酒を知ってても良いと思うぞ」
「……俺も一杯だけ飲もうかな」
「大丈夫かエレンくん。お酒初めてだろう? キツいな、と思ったらすぐに飲むのを止めるように」
「分かりました」
俺はシドと同じ葡萄酒を頼み、ラキくんはリンゴジュースを頼んだ。箸が大分進んだ頃、4人分の飲み物が届いた。それぞれがグラスを手に持ち、レオンさんが口を開く。
「この旅の出会いと、素晴らしい夜に、乾杯」
「「「かんぱーい」」」
「………ん……」
ふと目が覚める。ん……肌寒い……。左側に暖気を感じ、体ごと反転する。あったかい……。再び深い眠りに落ちる寸前、頭を撫でられた気がした。
レオンside
「エレンくん、お水飲もう。はい、そのグラスこっちにちょうだい」
「やだぁ~コレ俺のなの~! まだ飲むの~!」
「葡萄酒半分でコレなら一杯飲んだら倒れるんじゃ……」
「エレンさん可愛い」
「エレンくん、そしたらオレのお酒(水)と交換しない? 飲み比べしよう」
「う~……いいよ!」
チョロくて可愛い。
「既に顔赤いけど肌弱いのと関係あるのか?」
「お酒を飲んで肌に赤みがさすのは、アルコールを分解する機能が弱いせいだから、また別問題だね」
「……相変わらず生き字引みたいな奴だな……」
「エレンくん、眠い? もう眠いね?」
「ん~ベッド~」
「ご飯は一通り食べたし、宿に帰って寝るか」
「エレンさん明日大丈夫かなぁ。赤くなりやすい人は体調不良になりやすいんだ。宿の主人に薬を貰って寝る前に飲ませてあげよう」
本当に気が利く子だな……。
「本当にラキくんは10歳か?」
「僕が16歳で成人した時にエレンさんは22歳、悪くないどころか最高だと思わない?」
「なんの話だ」
「ラキも酔ってんのか?」
「リンゴジュースで酔えるなら安く済んで良いね」
その後エレンを横抱きにして宿に戻り、宿の主人に薬をもらい飲ませた。シドとラキくんはエレンくんを心配していたが、あとはもう寝るだけなので部屋に帰ってもらった。
寝る前に用を足しに離れた少しの間で、エレンくんの服が水でびしょびしょになっていた。……何故……。どうやら水を飲もうとして力が入らず顔から被ったらしい。とりあえず脱がせ、タオルで水を拭き取り、そのまま寝かせた。いくら旅を共にする友人でも、荷物を勝手に漁るのは気が引けたので、上半身裸だがそのまま寝よう。夏もそろそろ終わる時期だが、まだまだ暑さが残り夜も寒くないし、風邪は引かないだろう。
エレンくんをベッドに横たわせ、シーツを掛ける。自分も隣に滑り入るとエレンくんが寄ってきた。細やかな白い肌に浮いていた赤みは少し薄れつつある。本当にこの子は……オレじゃなきゃ襲ってたぞ……。水に濡れたというのに温かい肌をするりと触れる。
「んっ……」
エレンくんの口から零れた吐息に、バッと手を離す。オレは眠っているいたいけな子になんてことを…。隣の部屋にいる二人と同室じゃなくて良かったと思いつつ、大人二人にはやや狭いベッドからエレンくんが落ちないように肩に手をやり、温かさに眠気が膨らみ、逆らうことなく意識は落ちていった。
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