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14 初めての公衆浴場
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「おおー! 広い!」
浴場は想像していたより広く、湯気が立ち上っていた。大きい湯船が一つとシャワーが3台もある。偶然にも他の利用者はいないようだ。
「エレンさん! お兄ちゃん! 遅いよぉー」
「ごめんごめん、シドに入り方教えて貰ってたら遅くなったんだ」
「ふーん。お兄ちゃん、変なことしてないよね」
「ばっか! して……な……」
「んんん?」
「レオンさんたちはもう体洗ったんですか?」
「あぁ、もうシャワーは使わないからエレンくんたちが使って大丈夫だよ。ゆっくり浸かってるよ」
シドと共にシャワーの傍に行くと、確かに石けんやシャンプーなどが置いてある。普通のシャンプーならスプレーした髪の毛の色は落ちないので、安心して洗う。次は体だが……湯船から丸見えなんだよな……後ろ向きだから陰毛は見られないだろうけど……。まぁ洗ってすぐにタオル巻けば大丈夫か。タオルを近くのフックに掛け、石けんを手に取り泡立てる。俺は直接手で洗う派だ。首、腕、胸、背中……と洗っていく。自分のモノを洗おうとした時、ふと視線を感じた……隣から。
「シド? どうした?」
「え! いや!! タオルとかで洗わないんだなぁって……」
「俺、肌が弱いのか、すぐに赤くなるんだ。擦っても、日焼けしても、虫に刺されても。柔らかいスポンジがあればそれで体を洗うんだけど、旅先にわざわざ持って来る程じゃないし」
「そうなのか、いや、止めて悪かった。続けろ」
「?? うん」
自身のモノを掴み、泡立てた泡で優しく先端と竿を洗う。そのまま手を下に滑らせ睾丸を洗う。手のひらでおしり全体を、指を動かし穴も綺麗にする。上半身を下に倒しながら手を下へ下へと動かし、太ももとふくらはぎ、足首……と順に洗っていく。普段屋敷で入浴する際は椅子に座るか、湯船に入っている時に使用人が洗髪してくれてたから分からなかったけど、立ちながら洗うの意外と難しいな。体が柔らかい方だから平気だけど。やや戸惑いながらも全身を洗い終え、シャワーで泡を流す。完璧だ。
「お前さ……」
「ん?」
「普段からそうなわけ?」
「どういうこと?」
「無防備というか……」
「風呂では誰しも裸では?」
「露出云々のことを言ってるんじゃねぇんだよ。いや、それもあるけど」
「防御力上げるためにタオル巻くわ」
「……そうしろ……」
黒い髪(正確には陰毛だが)でも態度変わらなかったし、同い年のシドとの会話は弾んで、とても楽しい。何故か半分は怒られているか呆れられてるのだが。マルタ食堂でもみんな仲良くしてくれるが、同世代でここまで屈託なく話せるようになる人が出来るなんて思わなかった。シドとラキくんに出会えただけでも、今回旅に出て良かったと思った。
一方、二人が体を洗いながら話しているのを見ている別の二人は……。
「エレンさん、綺麗な体だなぁ。肌が白くて傷一つない。あ、おちんちん見えた。前屈みになった時に下から覗く玉とおちんちんがこんなに魅力的だったとは」
「オレはお前がまだ10歳であることが怖いよ。早くてもあと5~6年は後に言う内容だぞ」
「僕たくさん本を読んで知識だけはあるから」
「一体どんな本を読んだんでしょうかねぇ……」
「レオンさんだってエレンさんの体じっと見てたくせに。モヤがかかった浴室内で唯一輝くエレンさんの肌に抱きつけるのは僕だけ」
「させねぇからな。普通の子どもなら構わないが、こんな危ないガキをエレンくんの前に放れるか。あどけないお子様かと思いきやとんでもねぇ奴だ」
シドが話していた意味が分かった。本人に隠す気が無いのか、シドとエレンが傍にいない間にオレな牽制かけてくるわ大人顔負けで畳み掛けるわで、確かに『ただの可愛い子ども』ではない。
「一目惚れだったんです。見た瞬間欲しいなって。綺麗でカッコ良くて……しかも優しい。ただお兄ちゃんとエレンさんが仲良さそうで悔しいな……あとなんかラッキースケベが起こっている気がする」
「ラッキースケベ……?」
「たまたま起こってしまったえっちなハプニングのことです」
「お前の読んでる本なんなの。でもいいな……それ……」
「レオンさん、エレンさんと同室だからって変なことしないでくださいね」
最後にまた牽制入れられたあと、エレンくんとシドが湯船にやってきて一緒に浸かった。
エレンくんの肌はすぐに赤くなるようで、首から下が薄ピンク色になっている。キスマークが映えそうな肌だ。オレは4つも年上だし、エレンくんの可愛いところや努力家なところを見てきたから、恋愛感情も情欲も抱いていなかったが、確かにこれは色気がある。綺麗な顔立ちで、目鼻立ちがシュッとしているのでカッコ良い雰囲気だが、話すと意外と可愛らしく、更には色気もあるとくればギャップで惹かれてしまうのも仕方ないことだろう。現に同い年のシドと年下のラキはやられてしまっている。
オレは彼の素直で頑固な人柄を好ましいと思ってはいるが、迫るつもりはない。バレたらガルロさん達に殺されるし、自分の目的が果たせるまでは色恋から離れておきたい。大人として、心乱されぬようにしようと自身を戒め、エレンに抱きつこうとしているラキの首根っこを掴んだ。
浴場は想像していたより広く、湯気が立ち上っていた。大きい湯船が一つとシャワーが3台もある。偶然にも他の利用者はいないようだ。
「エレンさん! お兄ちゃん! 遅いよぉー」
「ごめんごめん、シドに入り方教えて貰ってたら遅くなったんだ」
「ふーん。お兄ちゃん、変なことしてないよね」
「ばっか! して……な……」
「んんん?」
「レオンさんたちはもう体洗ったんですか?」
「あぁ、もうシャワーは使わないからエレンくんたちが使って大丈夫だよ。ゆっくり浸かってるよ」
シドと共にシャワーの傍に行くと、確かに石けんやシャンプーなどが置いてある。普通のシャンプーならスプレーした髪の毛の色は落ちないので、安心して洗う。次は体だが……湯船から丸見えなんだよな……後ろ向きだから陰毛は見られないだろうけど……。まぁ洗ってすぐにタオル巻けば大丈夫か。タオルを近くのフックに掛け、石けんを手に取り泡立てる。俺は直接手で洗う派だ。首、腕、胸、背中……と洗っていく。自分のモノを洗おうとした時、ふと視線を感じた……隣から。
「シド? どうした?」
「え! いや!! タオルとかで洗わないんだなぁって……」
「俺、肌が弱いのか、すぐに赤くなるんだ。擦っても、日焼けしても、虫に刺されても。柔らかいスポンジがあればそれで体を洗うんだけど、旅先にわざわざ持って来る程じゃないし」
「そうなのか、いや、止めて悪かった。続けろ」
「?? うん」
自身のモノを掴み、泡立てた泡で優しく先端と竿を洗う。そのまま手を下に滑らせ睾丸を洗う。手のひらでおしり全体を、指を動かし穴も綺麗にする。上半身を下に倒しながら手を下へ下へと動かし、太ももとふくらはぎ、足首……と順に洗っていく。普段屋敷で入浴する際は椅子に座るか、湯船に入っている時に使用人が洗髪してくれてたから分からなかったけど、立ちながら洗うの意外と難しいな。体が柔らかい方だから平気だけど。やや戸惑いながらも全身を洗い終え、シャワーで泡を流す。完璧だ。
「お前さ……」
「ん?」
「普段からそうなわけ?」
「どういうこと?」
「無防備というか……」
「風呂では誰しも裸では?」
「露出云々のことを言ってるんじゃねぇんだよ。いや、それもあるけど」
「防御力上げるためにタオル巻くわ」
「……そうしろ……」
黒い髪(正確には陰毛だが)でも態度変わらなかったし、同い年のシドとの会話は弾んで、とても楽しい。何故か半分は怒られているか呆れられてるのだが。マルタ食堂でもみんな仲良くしてくれるが、同世代でここまで屈託なく話せるようになる人が出来るなんて思わなかった。シドとラキくんに出会えただけでも、今回旅に出て良かったと思った。
一方、二人が体を洗いながら話しているのを見ている別の二人は……。
「エレンさん、綺麗な体だなぁ。肌が白くて傷一つない。あ、おちんちん見えた。前屈みになった時に下から覗く玉とおちんちんがこんなに魅力的だったとは」
「オレはお前がまだ10歳であることが怖いよ。早くてもあと5~6年は後に言う内容だぞ」
「僕たくさん本を読んで知識だけはあるから」
「一体どんな本を読んだんでしょうかねぇ……」
「レオンさんだってエレンさんの体じっと見てたくせに。モヤがかかった浴室内で唯一輝くエレンさんの肌に抱きつけるのは僕だけ」
「させねぇからな。普通の子どもなら構わないが、こんな危ないガキをエレンくんの前に放れるか。あどけないお子様かと思いきやとんでもねぇ奴だ」
シドが話していた意味が分かった。本人に隠す気が無いのか、シドとエレンが傍にいない間にオレな牽制かけてくるわ大人顔負けで畳み掛けるわで、確かに『ただの可愛い子ども』ではない。
「一目惚れだったんです。見た瞬間欲しいなって。綺麗でカッコ良くて……しかも優しい。ただお兄ちゃんとエレンさんが仲良さそうで悔しいな……あとなんかラッキースケベが起こっている気がする」
「ラッキースケベ……?」
「たまたま起こってしまったえっちなハプニングのことです」
「お前の読んでる本なんなの。でもいいな……それ……」
「レオンさん、エレンさんと同室だからって変なことしないでくださいね」
最後にまた牽制入れられたあと、エレンくんとシドが湯船にやってきて一緒に浸かった。
エレンくんの肌はすぐに赤くなるようで、首から下が薄ピンク色になっている。キスマークが映えそうな肌だ。オレは4つも年上だし、エレンくんの可愛いところや努力家なところを見てきたから、恋愛感情も情欲も抱いていなかったが、確かにこれは色気がある。綺麗な顔立ちで、目鼻立ちがシュッとしているのでカッコ良い雰囲気だが、話すと意外と可愛らしく、更には色気もあるとくればギャップで惹かれてしまうのも仕方ないことだろう。現に同い年のシドと年下のラキはやられてしまっている。
オレは彼の素直で頑固な人柄を好ましいと思ってはいるが、迫るつもりはない。バレたらガルロさん達に殺されるし、自分の目的が果たせるまでは色恋から離れておきたい。大人として、心乱されぬようにしようと自身を戒め、エレンに抱きつこうとしているラキの首根っこを掴んだ。
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