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10 レオンとの小旅行
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水筒よし、保存食よし、オヤツよし、万が一の薬よし、替えの服よし。
よし!行くぞ!
レオンさんに呪いどうか確かめる方法があると教えられた。なんでも、知り合いに呪師がいるらしく、もし本当に呪いであるなら解呪も可能かもしれないそうだ。ただ、その呪師がいる場所が俺がいるアキスト国の首都アキュレから馬車で2日程掛かる街だという。
本当に呪いであるならば解きたいし、呪いの具体的な内容や呪いをかけられた理由を知りたい。そして、料理が上手くなって、マルタ食堂のみんなやガルロさん、ダンさん、レオンさん、そして伯爵家のみんなに食べてもらいたい。
俺は迷ったが、その呪師がいるという『アテルナ』の街に行くことにした。往復でも1週間掛からないし、今は学校も休みだ。
「レオンさん! お待たせしました」
「馬車の時刻までまだあるから大丈夫だよ、忘れものはない?」
「はい!」
そう、今回の旅にレオンさんが同行して貰えることになったのだ。そもそもその呪師を知っているのはレオンさんだから、俺だけじゃ見つけられない可能性もあるし、何より流石の両親も行くのを止めるだろう。両親には友人の冒険者と軽く旅行すると言ってある。なんとレオンさんはA級冒険者で、とても強いらしい。その人が同行するならと、最終的に折れてくれたのだ。レオンさんが普段マルタ食堂に来る時はラフな格好だったが、今は長剣を携え、皮の鎧を身にまとっている。元々強そうな見た目だったけど、より凛々しさ逞しさが増した気がする。
「あの…俺本当に護身術くらいしかやってなくて、何かあった時に足でまといになるかもしれません…。そしたら俺を置いていってください」
「何を言ってるんだ。依頼人を置いて逃げるなんて、冒険者ともあろう人間が出来るわけないだろう。それもエレンくんをだ。大丈夫、命を掛けるまでもなく、君を守り、アルテナへ行き、何の問題もなく一緒に帰って来よう」
「はい、ありがとうございます!」
レオンさんは初め、自分から言い出したことだからと、俺を呪師の場所まで無償で連れて行ってくれようとした。いくら安全な道のりとはいえ、非戦闘員の俺を守りながらの移動は負担が大きい。なので、俺からの同行依頼ということで冒険者ギルドに指名依頼したのだ。レオンさんは不服そうだったが、レオンさんの往復に掛かる旅費と食事代だと思ってくださいと言いくるめた。とにかく、レオンさんが一緒で良かった。安全面もさることながら、一人旅より二人旅の方が楽しい。
馬車の時間ということで、停留所に向かう。乗合馬車で俺とレオンさん以外に御者とは別に2人、計4人が乗り込むらしい。変装は継続中で、髪の毛は専用のシャンプーじゃなければ色が落ちないけど、目薬はこまめにさすようにしないと、12時間で黒目に戻ってしまう。
他の人にバレないようにしないと。と引き締める。他の2人は既に乗り込んでいるようだった。先にレオンさんが乗り、俺も乗り込もうと大きく足を上げようとしたら、レオンさんが俺の手を取り、もう片方の手で腰を掴み、すくい上げるように馬車に入れられる。ビックリして目をパチパチとしてレオンを見上げる。レオンさんの「何か問題でも?」という顔と見合っただけだった。レオンさんて男前でまさに強い男って感じだけど、言葉や行動が紳士的なんだよな…。ここで俺が「一人で乗れます!」とか言っても子どもっぽいだけだしな…。
「あの、ありがとうございます…」
「いえいえ。エレンくんは細くて軽いね」
「そんなこと…普通だと思います。そりゃ、レオンさんたちみたいな冒険者と比べると圧倒的に筋肉量はないと思いますが…」
「エレンくんと同い年くらいの弟がいるから、抱き上げた時に軽くてビックリしたよ。移動中でも食べられる時に何でも食べるんだよ」
「はい、ありがとうございます。弟さんがいるんですね」
「あぁ、まだ学生だから自国から出ることはあまりないが、機会があれば紹介したい。エレンくんと違って素直さの欠片もないんだが…」
「嬉しいです。レオンさんの弟さんならしっかりしてそうですね」
「あぁ…何でも十年以上前に一度だけ出会った人に何年も懸想しているらしく、最後にオレが挨拶した時は虎視眈々と政略的に手に入れる方法を考えていたよ」
「……その人と穏便に、上手くいくと良いですね…」
俺とレオンさんは並んで隅に座る。レオンさんはA級冒険者でもあるので、馬車の後ろから警戒出来るよう出入口側に座った。
よし!行くぞ!
レオンさんに呪いどうか確かめる方法があると教えられた。なんでも、知り合いに呪師がいるらしく、もし本当に呪いであるなら解呪も可能かもしれないそうだ。ただ、その呪師がいる場所が俺がいるアキスト国の首都アキュレから馬車で2日程掛かる街だという。
本当に呪いであるならば解きたいし、呪いの具体的な内容や呪いをかけられた理由を知りたい。そして、料理が上手くなって、マルタ食堂のみんなやガルロさん、ダンさん、レオンさん、そして伯爵家のみんなに食べてもらいたい。
俺は迷ったが、その呪師がいるという『アテルナ』の街に行くことにした。往復でも1週間掛からないし、今は学校も休みだ。
「レオンさん! お待たせしました」
「馬車の時刻までまだあるから大丈夫だよ、忘れものはない?」
「はい!」
そう、今回の旅にレオンさんが同行して貰えることになったのだ。そもそもその呪師を知っているのはレオンさんだから、俺だけじゃ見つけられない可能性もあるし、何より流石の両親も行くのを止めるだろう。両親には友人の冒険者と軽く旅行すると言ってある。なんとレオンさんはA級冒険者で、とても強いらしい。その人が同行するならと、最終的に折れてくれたのだ。レオンさんが普段マルタ食堂に来る時はラフな格好だったが、今は長剣を携え、皮の鎧を身にまとっている。元々強そうな見た目だったけど、より凛々しさ逞しさが増した気がする。
「あの…俺本当に護身術くらいしかやってなくて、何かあった時に足でまといになるかもしれません…。そしたら俺を置いていってください」
「何を言ってるんだ。依頼人を置いて逃げるなんて、冒険者ともあろう人間が出来るわけないだろう。それもエレンくんをだ。大丈夫、命を掛けるまでもなく、君を守り、アルテナへ行き、何の問題もなく一緒に帰って来よう」
「はい、ありがとうございます!」
レオンさんは初め、自分から言い出したことだからと、俺を呪師の場所まで無償で連れて行ってくれようとした。いくら安全な道のりとはいえ、非戦闘員の俺を守りながらの移動は負担が大きい。なので、俺からの同行依頼ということで冒険者ギルドに指名依頼したのだ。レオンさんは不服そうだったが、レオンさんの往復に掛かる旅費と食事代だと思ってくださいと言いくるめた。とにかく、レオンさんが一緒で良かった。安全面もさることながら、一人旅より二人旅の方が楽しい。
馬車の時間ということで、停留所に向かう。乗合馬車で俺とレオンさん以外に御者とは別に2人、計4人が乗り込むらしい。変装は継続中で、髪の毛は専用のシャンプーじゃなければ色が落ちないけど、目薬はこまめにさすようにしないと、12時間で黒目に戻ってしまう。
他の人にバレないようにしないと。と引き締める。他の2人は既に乗り込んでいるようだった。先にレオンさんが乗り、俺も乗り込もうと大きく足を上げようとしたら、レオンさんが俺の手を取り、もう片方の手で腰を掴み、すくい上げるように馬車に入れられる。ビックリして目をパチパチとしてレオンを見上げる。レオンさんの「何か問題でも?」という顔と見合っただけだった。レオンさんて男前でまさに強い男って感じだけど、言葉や行動が紳士的なんだよな…。ここで俺が「一人で乗れます!」とか言っても子どもっぽいだけだしな…。
「あの、ありがとうございます…」
「いえいえ。エレンくんは細くて軽いね」
「そんなこと…普通だと思います。そりゃ、レオンさんたちみたいな冒険者と比べると圧倒的に筋肉量はないと思いますが…」
「エレンくんと同い年くらいの弟がいるから、抱き上げた時に軽くてビックリしたよ。移動中でも食べられる時に何でも食べるんだよ」
「はい、ありがとうございます。弟さんがいるんですね」
「あぁ、まだ学生だから自国から出ることはあまりないが、機会があれば紹介したい。エレンくんと違って素直さの欠片もないんだが…」
「嬉しいです。レオンさんの弟さんならしっかりしてそうですね」
「あぁ…何でも十年以上前に一度だけ出会った人に何年も懸想しているらしく、最後にオレが挨拶した時は虎視眈々と政略的に手に入れる方法を考えていたよ」
「……その人と穏便に、上手くいくと良いですね…」
俺とレオンさんは並んで隅に座る。レオンさんはA級冒険者でもあるので、馬車の後ろから警戒出来るよう出入口側に座った。
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