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1 プロローグ
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小さい頃から今に至る間に、自分の持つ黒髪と黒い目を引け目に感じたり、別の色だったらと望んたりしたことはない。
家族も使用人も皆が俺を愛してくれていたし、家族が全員柔らかな茶色の髪と瞳をしているのに自分だけ黒である理由も、俺が不思議に思った頃に教えてくれた。
それにここアキスト国では珍しい色でも、遠い国には黒っぽい色を持つ人はいるらしい。
10歳頃には仲の良い友人たちもいて、集まって楽しく話して過ごしていた。10歳から18歳まで通うことになる学校の入学時にに必要な物を一緒に買いに行くこともあった。
そして、学校入学を前に友人2人を屋敷に招待した。入学しても仲良くして欲しくて、とっておきのお菓子を友人2人に贈ったのだ。その場で口にした2人は苦しみだし、直ぐに医師を呼ぶ羽目になった。
その後体調が回復した2人に謝ったが、許してもらえず、そのまま疎遠となってしまった。当時は何故2人が倒れたのか俺は分からなかった。
「僕たちのことが嫌いだったの?殺すつもりだったの?」
と言われ、泣くのを我慢しながら必死で否定した。
だが最後には、「髪も目も黒いから悪いんだ。聞いてた通り、エルはやっぱり悪いやつだったのか?」と言われた。黒色の髪と目を持つことは事実だが、それが何故悪いのか分からず、黙り込んでしまった。友人に自分では変えられようも無いことを責められたのが悲しかった。
そのまま2人とは会話出来ず、再会したのは学園の入学式だった。
その頃には既に侯爵子息と子爵子息の2人が、調べても分からない毒を俺に盛られ倒れた、という噂が広がっていて、俺は同じ生徒たちから遠巻きに見られていた。
伯爵家ではあるが、王宮とはあまり関わらず、貿易で利益を上げて領地経営していた為、少し侮られている。それでも伯爵家。俺を直接害することが出来る人は限られていた。
入学式が終わり教室への移動中、友人だった2人が現れた。
侯爵子息であるキール・プリムローズと子爵子息であるリアム・ゴードンだ。キールは未だ不機嫌そうに、リアムは無表情で俺を見ていた。
「いい加減認めたらどうなんだ。エルは何か知ってたんじゃないの? ちゃんと自分でやったことを認めて謝ったら許してあげるよ」
だがエルティアはどれだけ謝っても違うと言っても信じてもらえず、家族から貰った黒色を否定され、もう一緒にはいられない、いたくないと思った。
「一応最後に言うけど、ぼくは本当に二人に毒なんていれてない。ただ、菓子を食べて欲しかっただけだ。信じてよ」
「信じられない! 父と母からも危険だからお前に近寄るなと言われてるんだ!」
「そうか…なら許されなくても構わない。もうぼくと関わりたくないだろうから、今後はお互い近寄らないようにしよう」
そう言って2人の傍を離れ教室へと向かった。
この場に事実を知る人がいなかった為、3人の関係は拗れたまま6年の歳月が経つことになる。
2人が食べたのは本当にただのクッキーだった。エルティアが頑張って手作りしたチョコチップクッキーだ。エルティアは料理にハマっていて、料理人の監視の元様々な料理を生み出していた。そう、生み出していた。
作り出されたモノが毒のように苦かったり、20年放置したキャラメルみたいに固かったり、口に入れた瞬間、何の味か分からないほど色んな味がしたりする。
そう、エルティアは本人が無自覚のメシマズだったのだ。
家族も使用人も皆が俺を愛してくれていたし、家族が全員柔らかな茶色の髪と瞳をしているのに自分だけ黒である理由も、俺が不思議に思った頃に教えてくれた。
それにここアキスト国では珍しい色でも、遠い国には黒っぽい色を持つ人はいるらしい。
10歳頃には仲の良い友人たちもいて、集まって楽しく話して過ごしていた。10歳から18歳まで通うことになる学校の入学時にに必要な物を一緒に買いに行くこともあった。
そして、学校入学を前に友人2人を屋敷に招待した。入学しても仲良くして欲しくて、とっておきのお菓子を友人2人に贈ったのだ。その場で口にした2人は苦しみだし、直ぐに医師を呼ぶ羽目になった。
その後体調が回復した2人に謝ったが、許してもらえず、そのまま疎遠となってしまった。当時は何故2人が倒れたのか俺は分からなかった。
「僕たちのことが嫌いだったの?殺すつもりだったの?」
と言われ、泣くのを我慢しながら必死で否定した。
だが最後には、「髪も目も黒いから悪いんだ。聞いてた通り、エルはやっぱり悪いやつだったのか?」と言われた。黒色の髪と目を持つことは事実だが、それが何故悪いのか分からず、黙り込んでしまった。友人に自分では変えられようも無いことを責められたのが悲しかった。
そのまま2人とは会話出来ず、再会したのは学園の入学式だった。
その頃には既に侯爵子息と子爵子息の2人が、調べても分からない毒を俺に盛られ倒れた、という噂が広がっていて、俺は同じ生徒たちから遠巻きに見られていた。
伯爵家ではあるが、王宮とはあまり関わらず、貿易で利益を上げて領地経営していた為、少し侮られている。それでも伯爵家。俺を直接害することが出来る人は限られていた。
入学式が終わり教室への移動中、友人だった2人が現れた。
侯爵子息であるキール・プリムローズと子爵子息であるリアム・ゴードンだ。キールは未だ不機嫌そうに、リアムは無表情で俺を見ていた。
「いい加減認めたらどうなんだ。エルは何か知ってたんじゃないの? ちゃんと自分でやったことを認めて謝ったら許してあげるよ」
だがエルティアはどれだけ謝っても違うと言っても信じてもらえず、家族から貰った黒色を否定され、もう一緒にはいられない、いたくないと思った。
「一応最後に言うけど、ぼくは本当に二人に毒なんていれてない。ただ、菓子を食べて欲しかっただけだ。信じてよ」
「信じられない! 父と母からも危険だからお前に近寄るなと言われてるんだ!」
「そうか…なら許されなくても構わない。もうぼくと関わりたくないだろうから、今後はお互い近寄らないようにしよう」
そう言って2人の傍を離れ教室へと向かった。
この場に事実を知る人がいなかった為、3人の関係は拗れたまま6年の歳月が経つことになる。
2人が食べたのは本当にただのクッキーだった。エルティアが頑張って手作りしたチョコチップクッキーだ。エルティアは料理にハマっていて、料理人の監視の元様々な料理を生み出していた。そう、生み出していた。
作り出されたモノが毒のように苦かったり、20年放置したキャラメルみたいに固かったり、口に入れた瞬間、何の味か分からないほど色んな味がしたりする。
そう、エルティアは本人が無自覚のメシマズだったのだ。
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