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一章 狼も月に吠える
2話 溶けだした絵画に混ざる
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ー教室ー
気づいた時には3限目は終わり、時の流れとはこうも早いものかと思う。この間にもリキはどこで何をしているかも分からない。
後日先生から話を聞き出そうとしたがどの先生も話しを聞かなかった。目をそらす先生、心配だとしか言わなかった先生、話題を変えたがる先生。どうも様子がおかしい。
そして…この赤毛も俺の動きを見るなりすごく不思議そうな顔をしているのだ。
「フィル?どうしたの?俺になにか付いてる?」
今度は不思議に首を傾げるフィルに問われた。んん、少し…冷たい、視線かな…?
次に口を開いたのはフィルだった。
「ねぇ、あのさ…?」
フィルの手は僕の手先を指している?何か見つけたのだろうか。
「なん、なんで部員全員のロッカー捌くって回ってんの!!??なに!?なにかに目覚めた!?」(次からフィル脳内)
えっ!?なになになに!?ずっと何かしてると思って着いてきてたけどこれ普通にやべぇことしてない!?いかにも普通な事をしてますけど?みたいな顔をするな!とぼけ顔がパンツ泥棒と同じ顔してるぞ!!(以上)
「何ってリキがいなくなった原因があるのかなって探してるんだよ?そんな声荒らげてどしたの?」
「いやいやいや、やってる事犯罪者と同じだからな?逮捕する?しておいた方がいい?」
まぁ普通に誰にも言わずロッカーを捌くっているわけだけど、もしこれが誰かによる出来事ならロッカーを開けると聞いた時に事件のヒントになるような物を隠してしまうからな、今のうちしかないんだよなぁ。副部長じゃなかったら練習を抜けるなんて出来なかったし初めてこの役割で良かったと思った。
「なにか考えがあるんだろうけど、タオさー大事なこと忘れてると思うけど?」
「大事なこと?」
「そう、ほら?お昼休みの時先生に聞き込みに行ったじゃん?」
「あー、先生はみんなこの話を嫌がっていたね、何かあるのかな…ん?あ、そゆこと?」
「そゆこと」
この赤いのも時には悪いことを考えるものだ。普通の人間にはそんなこと出来るわけがない。
「↑とか考えてるでしょ…。現に今やってるのは何よ…誰にも言わずにロッカー漁ってるんでしょ?どうせ悪いことするなら生徒よりも教師優先しよーぜ?今からは俺もお前も不良生徒だな。」
「そっか、少し難しいかもだけど決行するなら…?」
「そうだなぁ、部活で外を駆け回っているサッカー部、テニス部、陸上部の教師だな。ついでにバレー部も今日は練習試合で他校にいるからそこの顧問も漁れるな」
「なんでそんなポンポン浮かぶの…?熟練者?なんならそういう仕事してた?」
「いや、タオと一緒にしないでくれ。」
ロクでも無いことを考えているがこれも犯人を探すためだ…と言いたいけど誰かの犯行とも決まってはいない。まだなんの証拠もないのだ。でも数分で居なくなるなんてできるのか?なにか恨みを買ってて友人に攫われたとか?いや、可能性高すぎるだろ、煽り魔にはピッタリすぎる。そこも調べてみないとな。
ー表玄関:教師用ロッカー
外の光が雀の涙ほどしか入らない薄暗い廊下。教師の気配1つ感じない静かな道にフィルとの会話のみが響いていた。
「先生のロッカーって職員室の隣だよね?バレないといいけどなぁ。」
「ん~今日は特に先生の気配がないよね、会議とかかな?」
他の音がしないだけあってよく響く。これだけ響いていると誰かに聞かれてしまうんじゃないかと思い少し沈黙が出来てしまった。
不安とかじゃなくてそれは、恐怖なのか、それとも焦りなのかオレには検討もつかなかった。すると遠くから…コツコツコツ。
と軽い靴の音が聞こえた。
「誰か来る?」
「え?タオなんか聞こえたの?」
「うん、少し遠くで僕ら以外の靴の音が聞こえたような気が…ん?」
そこに現れたのは1人の小さな女の子だった。オレよりも10cmくらい低くて、靴も服も小さい。見たことのなかった女の子に気を取られてて目が離せなかった。
「…どうしたの?私になにかあった?」
とても軽い声、綿菓子のように柔らかい声、優しそうなのがよく伝わってくる。心地の良い声に不思議とオレは目を泳がしてしまった。
「あ、いや、なんでもない。えっとー。ごめんね…?」
「タオ?なんでそんなオドオドしてんの?女子苦手だった?」
「えっ!いや、そんなわけじゃないけど、ん?んん。」
今までに感じた事ない彼女の雰囲気に頭が混乱してしまってよく分からない。気を確かに持とうと思い深呼吸をした。1つ疑問を思い出したので聞いてみる事にした。
「2年生…じゃないですよね?」
「あれ?てっきり同級生だと思われてるかと思ってた。うん私は3年だよ」
あ、やっぱりそうだったんだ。見た事ない顔ってだけであってなかったらどうしようかと思ったけど当たってよかった。にしても…この背丈で、この声で…3年!?え、え?先輩?これが?ん?
「おーいタオ?また変な顔になっとるぞ~?」
赤毛の少年が顔を覗き込んできて不思議そうに見てきた。やめてくれ、今オレに話しかけるな。
「あはは!面白いなぁ~後輩くんは、人見知りなのかな!あ、私もう行かないと!私、業後は図書館に居るから良かったら今度遊びにおいでよ!んじゃ!またね!」
なんだったんだろう。嵐のように去っていったような感覚の彼女を見た時どこかで安心したような気がした。オレ、面白いって言われた?嫌な気はしなかったけど喜んでいいのかな?わかんないけど、悪い人じゃなさそうだったな。
「タオ~お~い大丈夫か~?先輩行っちゃったぞ?とりあえずロッカー行かないと~先生来ちゃうぞ~?」
「あぁ、ごめん、ぼーっとしてた、い、行こうか!」
最近は分からないことが多くてクラクラする。ココ最近で色々と不思議な気分になるもんだ。見た時は理解してても頭に直接届いた時には不思議というタブに変換されてグルグル回っている。それはまるで乾ききっていない絵画に自分の色が混ざっているような、空気一つ一つに着色された色がごちゃごちゃしているような感覚だ。
タオは落ち着きを取り戻し、リキがいなくなった原因のヒントを得るため、改めて先生のロッカーを目指すのであった。
気づいた時には3限目は終わり、時の流れとはこうも早いものかと思う。この間にもリキはどこで何をしているかも分からない。
後日先生から話を聞き出そうとしたがどの先生も話しを聞かなかった。目をそらす先生、心配だとしか言わなかった先生、話題を変えたがる先生。どうも様子がおかしい。
そして…この赤毛も俺の動きを見るなりすごく不思議そうな顔をしているのだ。
「フィル?どうしたの?俺になにか付いてる?」
今度は不思議に首を傾げるフィルに問われた。んん、少し…冷たい、視線かな…?
次に口を開いたのはフィルだった。
「ねぇ、あのさ…?」
フィルの手は僕の手先を指している?何か見つけたのだろうか。
「なん、なんで部員全員のロッカー捌くって回ってんの!!??なに!?なにかに目覚めた!?」(次からフィル脳内)
えっ!?なになになに!?ずっと何かしてると思って着いてきてたけどこれ普通にやべぇことしてない!?いかにも普通な事をしてますけど?みたいな顔をするな!とぼけ顔がパンツ泥棒と同じ顔してるぞ!!(以上)
「何ってリキがいなくなった原因があるのかなって探してるんだよ?そんな声荒らげてどしたの?」
「いやいやいや、やってる事犯罪者と同じだからな?逮捕する?しておいた方がいい?」
まぁ普通に誰にも言わずロッカーを捌くっているわけだけど、もしこれが誰かによる出来事ならロッカーを開けると聞いた時に事件のヒントになるような物を隠してしまうからな、今のうちしかないんだよなぁ。副部長じゃなかったら練習を抜けるなんて出来なかったし初めてこの役割で良かったと思った。
「なにか考えがあるんだろうけど、タオさー大事なこと忘れてると思うけど?」
「大事なこと?」
「そう、ほら?お昼休みの時先生に聞き込みに行ったじゃん?」
「あー、先生はみんなこの話を嫌がっていたね、何かあるのかな…ん?あ、そゆこと?」
「そゆこと」
この赤いのも時には悪いことを考えるものだ。普通の人間にはそんなこと出来るわけがない。
「↑とか考えてるでしょ…。現に今やってるのは何よ…誰にも言わずにロッカー漁ってるんでしょ?どうせ悪いことするなら生徒よりも教師優先しよーぜ?今からは俺もお前も不良生徒だな。」
「そっか、少し難しいかもだけど決行するなら…?」
「そうだなぁ、部活で外を駆け回っているサッカー部、テニス部、陸上部の教師だな。ついでにバレー部も今日は練習試合で他校にいるからそこの顧問も漁れるな」
「なんでそんなポンポン浮かぶの…?熟練者?なんならそういう仕事してた?」
「いや、タオと一緒にしないでくれ。」
ロクでも無いことを考えているがこれも犯人を探すためだ…と言いたいけど誰かの犯行とも決まってはいない。まだなんの証拠もないのだ。でも数分で居なくなるなんてできるのか?なにか恨みを買ってて友人に攫われたとか?いや、可能性高すぎるだろ、煽り魔にはピッタリすぎる。そこも調べてみないとな。
ー表玄関:教師用ロッカー
外の光が雀の涙ほどしか入らない薄暗い廊下。教師の気配1つ感じない静かな道にフィルとの会話のみが響いていた。
「先生のロッカーって職員室の隣だよね?バレないといいけどなぁ。」
「ん~今日は特に先生の気配がないよね、会議とかかな?」
他の音がしないだけあってよく響く。これだけ響いていると誰かに聞かれてしまうんじゃないかと思い少し沈黙が出来てしまった。
不安とかじゃなくてそれは、恐怖なのか、それとも焦りなのかオレには検討もつかなかった。すると遠くから…コツコツコツ。
と軽い靴の音が聞こえた。
「誰か来る?」
「え?タオなんか聞こえたの?」
「うん、少し遠くで僕ら以外の靴の音が聞こえたような気が…ん?」
そこに現れたのは1人の小さな女の子だった。オレよりも10cmくらい低くて、靴も服も小さい。見たことのなかった女の子に気を取られてて目が離せなかった。
「…どうしたの?私になにかあった?」
とても軽い声、綿菓子のように柔らかい声、優しそうなのがよく伝わってくる。心地の良い声に不思議とオレは目を泳がしてしまった。
「あ、いや、なんでもない。えっとー。ごめんね…?」
「タオ?なんでそんなオドオドしてんの?女子苦手だった?」
「えっ!いや、そんなわけじゃないけど、ん?んん。」
今までに感じた事ない彼女の雰囲気に頭が混乱してしまってよく分からない。気を確かに持とうと思い深呼吸をした。1つ疑問を思い出したので聞いてみる事にした。
「2年生…じゃないですよね?」
「あれ?てっきり同級生だと思われてるかと思ってた。うん私は3年だよ」
あ、やっぱりそうだったんだ。見た事ない顔ってだけであってなかったらどうしようかと思ったけど当たってよかった。にしても…この背丈で、この声で…3年!?え、え?先輩?これが?ん?
「おーいタオ?また変な顔になっとるぞ~?」
赤毛の少年が顔を覗き込んできて不思議そうに見てきた。やめてくれ、今オレに話しかけるな。
「あはは!面白いなぁ~後輩くんは、人見知りなのかな!あ、私もう行かないと!私、業後は図書館に居るから良かったら今度遊びにおいでよ!んじゃ!またね!」
なんだったんだろう。嵐のように去っていったような感覚の彼女を見た時どこかで安心したような気がした。オレ、面白いって言われた?嫌な気はしなかったけど喜んでいいのかな?わかんないけど、悪い人じゃなさそうだったな。
「タオ~お~い大丈夫か~?先輩行っちゃったぞ?とりあえずロッカー行かないと~先生来ちゃうぞ~?」
「あぁ、ごめん、ぼーっとしてた、い、行こうか!」
最近は分からないことが多くてクラクラする。ココ最近で色々と不思議な気分になるもんだ。見た時は理解してても頭に直接届いた時には不思議というタブに変換されてグルグル回っている。それはまるで乾ききっていない絵画に自分の色が混ざっているような、空気一つ一つに着色された色がごちゃごちゃしているような感覚だ。
タオは落ち着きを取り戻し、リキがいなくなった原因のヒントを得るため、改めて先生のロッカーを目指すのであった。
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