25 / 40
迷宮からの脱出
空
しおりを挟む
でも、感覚はあるんだよね。壁に埋まってる感じじゃないけど。なんかこれ、擬似空間の入り口に似てるな。しかもよく見ると、腕と壁との境界線に小さく波紋が広がっている。試しに腕を引き戻してみると、さっきとなんの変哲もない腕が戻ってきた。グッパグッパしてみるけど、やっぱ変わったとこはないね。……あ、分かったかも。ねぇ、カインさん? もしかしてこの壁……異空間の入り口か幻覚だったりする?
『正解 正確には一定値以上の魔力を
持つ者のみを通す結界と 幻覚の組み合わせです』
やっぱり! 実態はないから、腕がすり抜けたんだ。この先にコアがあるのね…! とりま先に顔だけすり抜けさせてみる。多分、あっちの部屋に人がいたら、壁に顔が浮き出てるように見えるだろうな。ヒロ○カの、とある透けるパイセンみたいな感じで。んで、やっぱりこっちも部屋でした。ウチがもと居た部屋と反転して全くおんなじ、鏡合わせのような部屋。ただ、ウチが洋服の材料にしちゃった台と、その上にご丁寧にクッションの上に置かれたコアらしき赤丸い球体がある、っていうのが違うところだけど。それ以外、例えば天井のキューピット像? も、鏡合わせの同じ位置にある。
っていうか正直、この体勢ちょっとキツイから全部入っちゃお。台に近づいてコアを手に取る。天井に透かしてみるけど、半分透けてる? ぐらいの透明度だね、コレ。……これを壊したら、脱出完了か。見た目的には脆そうだけど、そんなカタいん? このまんまグググっと握れば割─
パリィイン!!
…あらま、割れちゃった。いや、結構本気でやったから、かも。イケそうだったもの、で!?
「おおおお、すすんごおいゆ ううれててるるるうう!!」
急にダンジョン自体が大きく揺れ始めた。立っていられなくて、地面にへたれ込む。なんか天井崩れてない? キューピットの頬が欠けて、パラパラと小さい破片が落ちてきた。ウチは、回収しようとコアの欠片に手を伸ばし─自分の手先を見てギョッとする。
半・透・明 !!
体のあちこちを見ると、どこも半透明になってて、向こう側が見える。しかもなんでか知らないけど、服も一緒に半透明になってた。あ、これは普通にありがたい。でも1箇所だけ、他と違う変化をしているところがあった。─反対側の手。いつの間にか手の甲に、何か知らんけど紋章?みたいなのがついてて、よく見ると文字も書いてある。「มิโอริ」。うん、読めん。この世界の言葉かな? そのマークと文字が、控えめに(鈍く)光を放っていた。
っていうかコアを見て気づいたけど…やっちゃったわー。さっきスメラギ君に、「武器・武具集めが趣味だよ☆」 みたいなこと豪語してたのに、ドライアドのドロプ(ドロップアイテムの略称ね) 集め忘れた。草冠しか持ってない~。ぴえぴえまる。と、何故か割れてたコアが光を放ち始めた! だんだん強くなっていって、目も開けていられなくなる。もしかしてこれが、皆の言う「もれなく地上に帰される」って現象なのかも。そして、ふわっと体が浮いたような気が、一瞬した。無重力ってこんな感じなのかな? 後、地面に投げ出されたのか、背中に地面の感触を感じる。ついでに草の独特な香りも。恐る恐る目を開けると、目の前に
青空が広がっていた。
こっちに来てから、初めて見る
太陽ッ! 雲ッ!! 青ッ空ッ…!!
うぉおおお!! 色々あったけど、ウチはやっとダンジョンを脱出したんだ…! 当初の目的、これにて達☆成! 太陽に手をかざしてみる。ふぉお、お空が眩しいぜ。ところで、どうやらウチは地面に大の字で寝っ転がっている体勢らしい。横を向いてみると草が鼻先をかすった─のとついでに、芋虫と目があったような気もした。
「ぎゃあああ!!」
慌てて起き上がる。ウチは虫の類がマジで苦手なんよ勘弁して! 服をパンパンって手で払うけど…うぅ、虫とかついてないよね? いや、草があれば虫もいるのは当然だけども! ところで、どうやらここは森の中の開けた場所らしい。ウチを中心として草が円形に広がってるけど、その外側には木とか茂みがいっぱいある。…ダンジョンっていう亜空間が存在することと、魔法があること以外は普通に地球とそんな変わらないかも。植物も虫も普通だし。太陽も2つあったりしないし。ちゃんと青空だし。
…そういえば他の人はドコなんだろ? 赤の他人の冒険者はともかく、勇者パーティーの皆すら見当たらないのは、どーゆーことよ? あ!っていうか、まだエドガワ君に太田手君見せてもらってない!! これは即刻合流しなくては。
スキル•詳細索敵
ガサガサ ガサガサ
うぁあ、ビックリした!! 茂みが揺れてるぅ。スキル使用と同時に揺らすのは良くないよビックリするでしょーが! スキル上では青点だから敵意はなさそうだけど…。ど、動物? それなら植物&虫同様、普通の動物でありますように!
「!!」
…動物じゃなかった。少なくとも、四本脚で歩いてない。身につけてるローブの色がミオリちゃんのローブの暗い紫に似てたから、一瞬ミオリちゃんか思ったけど体格的に違う。ガッチリしてるし、どっからどう見ても男ですね、ハイ。けど、顔がローブのフードに隠れてるから見えないんだよね。もうちょっとこっちに来てくれるとありがたいんだけど。
「そこで何してる?」
しゃ、喋りかけられたー!!
『正解 正確には一定値以上の魔力を
持つ者のみを通す結界と 幻覚の組み合わせです』
やっぱり! 実態はないから、腕がすり抜けたんだ。この先にコアがあるのね…! とりま先に顔だけすり抜けさせてみる。多分、あっちの部屋に人がいたら、壁に顔が浮き出てるように見えるだろうな。ヒロ○カの、とある透けるパイセンみたいな感じで。んで、やっぱりこっちも部屋でした。ウチがもと居た部屋と反転して全くおんなじ、鏡合わせのような部屋。ただ、ウチが洋服の材料にしちゃった台と、その上にご丁寧にクッションの上に置かれたコアらしき赤丸い球体がある、っていうのが違うところだけど。それ以外、例えば天井のキューピット像? も、鏡合わせの同じ位置にある。
っていうか正直、この体勢ちょっとキツイから全部入っちゃお。台に近づいてコアを手に取る。天井に透かしてみるけど、半分透けてる? ぐらいの透明度だね、コレ。……これを壊したら、脱出完了か。見た目的には脆そうだけど、そんなカタいん? このまんまグググっと握れば割─
パリィイン!!
…あらま、割れちゃった。いや、結構本気でやったから、かも。イケそうだったもの、で!?
「おおおお、すすんごおいゆ ううれててるるるうう!!」
急にダンジョン自体が大きく揺れ始めた。立っていられなくて、地面にへたれ込む。なんか天井崩れてない? キューピットの頬が欠けて、パラパラと小さい破片が落ちてきた。ウチは、回収しようとコアの欠片に手を伸ばし─自分の手先を見てギョッとする。
半・透・明 !!
体のあちこちを見ると、どこも半透明になってて、向こう側が見える。しかもなんでか知らないけど、服も一緒に半透明になってた。あ、これは普通にありがたい。でも1箇所だけ、他と違う変化をしているところがあった。─反対側の手。いつの間にか手の甲に、何か知らんけど紋章?みたいなのがついてて、よく見ると文字も書いてある。「มิโอริ」。うん、読めん。この世界の言葉かな? そのマークと文字が、控えめに(鈍く)光を放っていた。
っていうかコアを見て気づいたけど…やっちゃったわー。さっきスメラギ君に、「武器・武具集めが趣味だよ☆」 みたいなこと豪語してたのに、ドライアドのドロプ(ドロップアイテムの略称ね) 集め忘れた。草冠しか持ってない~。ぴえぴえまる。と、何故か割れてたコアが光を放ち始めた! だんだん強くなっていって、目も開けていられなくなる。もしかしてこれが、皆の言う「もれなく地上に帰される」って現象なのかも。そして、ふわっと体が浮いたような気が、一瞬した。無重力ってこんな感じなのかな? 後、地面に投げ出されたのか、背中に地面の感触を感じる。ついでに草の独特な香りも。恐る恐る目を開けると、目の前に
青空が広がっていた。
こっちに来てから、初めて見る
太陽ッ! 雲ッ!! 青ッ空ッ…!!
うぉおおお!! 色々あったけど、ウチはやっとダンジョンを脱出したんだ…! 当初の目的、これにて達☆成! 太陽に手をかざしてみる。ふぉお、お空が眩しいぜ。ところで、どうやらウチは地面に大の字で寝っ転がっている体勢らしい。横を向いてみると草が鼻先をかすった─のとついでに、芋虫と目があったような気もした。
「ぎゃあああ!!」
慌てて起き上がる。ウチは虫の類がマジで苦手なんよ勘弁して! 服をパンパンって手で払うけど…うぅ、虫とかついてないよね? いや、草があれば虫もいるのは当然だけども! ところで、どうやらここは森の中の開けた場所らしい。ウチを中心として草が円形に広がってるけど、その外側には木とか茂みがいっぱいある。…ダンジョンっていう亜空間が存在することと、魔法があること以外は普通に地球とそんな変わらないかも。植物も虫も普通だし。太陽も2つあったりしないし。ちゃんと青空だし。
…そういえば他の人はドコなんだろ? 赤の他人の冒険者はともかく、勇者パーティーの皆すら見当たらないのは、どーゆーことよ? あ!っていうか、まだエドガワ君に太田手君見せてもらってない!! これは即刻合流しなくては。
スキル•詳細索敵
ガサガサ ガサガサ
うぁあ、ビックリした!! 茂みが揺れてるぅ。スキル使用と同時に揺らすのは良くないよビックリするでしょーが! スキル上では青点だから敵意はなさそうだけど…。ど、動物? それなら植物&虫同様、普通の動物でありますように!
「!!」
…動物じゃなかった。少なくとも、四本脚で歩いてない。身につけてるローブの色がミオリちゃんのローブの暗い紫に似てたから、一瞬ミオリちゃんか思ったけど体格的に違う。ガッチリしてるし、どっからどう見ても男ですね、ハイ。けど、顔がローブのフードに隠れてるから見えないんだよね。もうちょっとこっちに来てくれるとありがたいんだけど。
「そこで何してる?」
しゃ、喋りかけられたー!!
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
妻が森で幼女を拾い、我が家の養女に迎えました。
黒炎 瑠懿
ファンタジー
俺、レオン・グラッセは妻のユリアと一緒に森の中でハイキング(狩猟)を楽しんでいた。そんな時、ユリアは小さな少女が倒れているところを発見。
体は病魔に侵されてはいるものの、灰銀色の髪に片方は濃いアメジストの瞳もう片方は包帯で見えないが、かなりの美女になるだろうと思われる。そんな少女にユリアが一目惚れ?
家に連れて帰り、大きな屋敷で家族と秘密と少しの勇気と共に少女が幸せになっていくお話。
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。
音爽(ネソウ)
ファンタジー
見た目だけはユルフワ女子のハウラナ・ゼベール王女。
その容姿のせいで誤解され、男達には尻軽の都合の良い女と見られ、婦女子たちに嫌われていた。
16歳になったハウラナは大帝国ダネスゲート皇帝の末席側室として娶られた、体の良い人質だった。
後宮内で弱小国の王女は冷遇を受けるが……。
転移ですか!? どうせなら、便利に楽させて! ~役立ち少女の異世界ライフ~
ままるり
ファンタジー
女子高生、美咲瑠璃(みさきるり)は、気がつくと泉の前にたたずんでいた。
あれ? 朝学校に行こうって玄関を出たはずなのに……。
現れた女神は言う。
「あなたは、異世界に飛んできました」
……え? 帰してください。私、勇者とか聖女とか興味ないですから……。
帰還の方法がないことを知り、女神に願う。
……分かりました。私はこの世界で生きていきます。
でも、戦いたくないからチカラとかいらない。
『どうせなら便利に楽させて!』
実はチートな自称普通の少女が、周りを幸せに、いや、巻き込みながら成長していく冒険ストーリー。
便利に生きるためなら自重しない。
令嬢の想いも、王女のわがままも、剣と魔法と、現代知識で無自覚に解決!!
「あなたのお役に立てましたか?」
「そうですわね。……でも、あなたやり過ぎですわ……」
※R15は保険です。
※小説家になろう様、カクヨム様でも連載しております。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
無自覚最強な魔導書士が図書館を作るお話
あまなつみかん
ファンタジー
魔導書士-それは、魔導書に刻まれた魔術を行使する者。
杖を使った魔術より劣るとして廃れた技術だったが、実はそんなことはなく…?
世間知らずな魔導書士が、魔導書を集めた図書館を作るお話。
水・土・日の18時に更新予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる