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迷宮からの脱出
契約と案内
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「じゃあ、案内をしてもらうにあたって契約をしましょう。」
「契約、ですか?」
「はい。曖昧な約束はしっかりとした契約にしたほうが分かりやすいでしょう?」
確かに。互いの目標や報酬、条件を明記したものがある方が良いかもしれない。うん、提案に乗ろう。
「そうですね。そうしましょうか。」
そうして作られたのが、コレ↓ちなみにウチは、念の為前世の友達の「ユウ」という名前を借りた。柚兎君、及び柚兎君の名付け親の方、ありがとうございます。男とも女ともとれる名前、有り難くお借りします。
~~~~~
契約書
パーティー[俺ら最凶]代表スメラギ ユウヤ(以下、甲)とユウ(以下、乙)は迷宮の案内において、契約をする。
第一条(業務内容)
甲が乙に依頼する業務(以下、本業務)は、迷宮の最奥までの案内のみとする。
第二条(期間)
本業務の依頼期間は今日から2週間以内とする。
第三条(報酬)
乙が甲に対し支払う報酬はギルドの依頼達成報酬の6割と渡せる限りの情報とする。
~~~~~
やっぱこの人達、ギルド依頼で来たのか。でも依頼達成報酬の6割ってどんくらいだろ?ま、達成すれば分かるか。ってかパーティー名がw俺ら最凶てww誰のセンスかなんとなく分かるわ。
そうしてウチは来た道を勇者パーティー(仮)と一緒に戻っていった。途中でドライアドとかシルフィードとか人面蔦とかに会って、全部倒してドロップアイテムを沢山ゲット──ってなったら良かったけど、あのしっかりした女子がなんかの魔道具を発動させて魔物にはあんまり会えず、結局倒したのはあの時近くにいたドライアド一体だけだった。
使った魔道具はかなりの高級品だったらしい。でもウチと邪魔されることなく話せるからって躊躇なく発動させてたな。他の人はちょっと困惑してたけど。ってか魔道具とかあるんだ。話を聞くと、どうやらドロップアイテムとは違う、人工物を指す言葉らしい。.......へぇ。とにかく、契約書には、ウチは案内することだけが仕事だから、魔物は狩らせないつもりらしい。......うん、ドロップアイテムは欲しかったな。
非常階段に通じる、さっき掘った穴に到着すると、不思議なことに掘ったときより小さくなっていた。カインさんによると、倒した魔物が吸収されて穴を防ぐためのエネルギーに換算されたのかもしれないとのことだった。そして、ウチの横で勇者パーティー(仮)の皆さんが大口を開けて固まってらっしゃる。ま、無理もないけどね。今改めて見るとエグいわー。
とりあえずここをひたすら下ればさっきのオークロード天国──じゃなくって、最下層に到達する。そう説明してウチはさっさと戻ろうとしたけど引き止められた。案内は最後までしないといけないらしい。あと、単純に普通に下ればいいということが信じられないようだった。階段を下る最中、私は沢山のことを質問した。
「どうして人間ではないだと分かったのか」
「スメラギユウヤということは日本人なのか」
「ならなぜこんな世界にいるのか」
「この世界はどんな世界なのか」
ウチの辞書じゃ分からない、雰囲気というものを知りたかった。だから色んなコトを、ウチが、ウチ自身が、自分の口で聞いた。4人とも契約通り、ウチが知りたいことを自身の知る限り教えてくれた。でもやっぱり契約書にあるから教えているって言う感じがするな。特に魔法使いっぽい子。めちゃくちゃ怯えられてるんだけど。
最初はあのドライアドのせいかと思ってたけど、ウチがそいつ倒してから更に怯え方が酷くなったんだよね。何もしてないはずなんだけどな。でも、あの子のスキルでウチが人間じゃないってバレたらしいし、それかな?あと一瞬でも鑑定が遅れてたらウチが人間じゃないってバレてなかったのに、運が良いんだか悪いんだか。
あ、そうそう。日本人という言葉に4人とも驚いてたけど、ウチはなんとなく察してはいたから、そこまでは驚かなかった。あ、やっぱり?って素直に思ったわ。あとウチも日本人だって明かしたら親近感湧いたっぽい。態度も少しだけ崩してくれた。魔法使いの子も納得してくれたらしい。日本人効果ヤベェな。しかも話していくにつれてウチもそれぞれを名前か名字で呼ぶようになってきたし、皆も私をユウって呼ぶようになった。やっぱ日本人効果ヤベェな。
ついでに何で4人がこの世界にいるのかって言うと、皆一緒に召喚されたそうだ。学校からいつもの4人組で帰ろうとしたら、眩しい光に包まれて、気づいたら王城の広間に居たらしい。典型的な勇者召喚ってヤツだね。羨まし。。ウチもそんな環境が整った上でこっちに来たかったな。
それでこっちに来て驚いたのは、魔法が存在することだって。そりゃ、日本になかったんだからビックリするわな。あと異種族の存在とか?にも驚いたそう。
「でも会ったことないから、まだ実感わかないでやんすよ。」
「前から思ってたけど、エドガワ君のその言葉遣い、どうなってるの?日本の人でそういう言葉遣いするのって、結構少数派だよね?」
いや、下手したら少数派どころじゃないかもしれない。時代劇マニアとか?
「色々あったんすよ。日本にいた頃はこうじゃなかったとだけ言っとくでやんすね。」
これは渡せない情報、か。こっちに来てからの身の上話はあんまり聞けなそうだな。と、話してるうちに、皆は眠くなってきたらしい。足取りが重くなってきた。魔法使いの子─もとい、ミオリちゃんはもう目を開けるのもやっとって感じ。ウチは別に睡眠必要ないから全然気づかなかったわ。ってわけで、一旦休憩をとることにした。カインさんによると、ウチら今は50階分下って95階と96階の中間地点にいるらしい。
っていうかスルーしてたけど、勇者パーティーの皆は普通に非常階段エリアに入れるんだね。ダンマスいるか知らんけど感謝だわm(_ _)m。
~~~~
起きてからまたひたすらに歩いて、また1日経った。皆最初はお喋りしたり、ちょっとしたミニゲームしたりして退屈を紛らわしてたんだけど、ネタが尽きたのか疲れたのか、みんなだんだん口数が少なくなってくる。
ちなみにご飯とかは、ミオリちゃんがアイテムボックス(魔道具)に入れてきてくれた。アイテムボックス内は時間が過ぎないので、熱々のまんま食べられるからさ。ホント魔法とか魔道具とかって便利だわー。科学文明の代わりにこっちが発達したんだな、きっと。
そいで、1夜去ってまた1夜。2度目の夜(体内時計)がやってきた。ってか時間はね?ぶっちゃけウチの辞書機能というかまあ、そこらへんの機能?でなんとかなるんだよね。でも時間分かっても、今は夜だから寝なきゃいかん、ってわけでもないし?眠くなったら寝ればいいし(引き篭もり発言)。だから、時間なんて気にしない~♪気にしない~♪(知ってる人いるかな?定番卒業ソングの替歌なんだけど)
そしてやって参りました、最下層一歩手前の階段!皆心なしか、いや、確実にワックワク!って顔してる~。土壁は修復されてて狭くなってたけど、ウチがまたも取り壊しました☆なんか懐かしい感じがするけど、まだ2日ぐらいしか経ってないんだよねぇ。めっちゃ遠い昔みたいだわ。あ、皆でせーのって言って一歩ジャンプしてら。.....うん、青春かな?あの浜辺とかで手ぇ繋いでジャンプしたシルエットの写真の撮影か何かかな(語彙力)!?勇者パーティーなのに!!いや皆高校生だけどね?!ついでに言うと、ココは浜辺ではなくダンジョン内です!!
「やっとついたぞ!!最下層~!」
「「「「イッエ~イ!!」」」」
くっそテンション高いやん。昼ご飯後ぐらいはめちゃくちゃ静かだったのに。いやでも案内して良かったわぁ。勇者パーティーという最強ならぬ最凶のツテもできたし。オークロード狩りも出来るし。魔物避けの魔道具の効力はとっくに切れてるからね、これからは来るよ来るよ~?多分だけど。
だけどウチの予想とは裏腹に、リンカがまたもや魔道具達を取り出してきた。食事の時はあんなに感謝してたアイテムボックスだけど今ではちょっと恨めしい、うん。でも今回は魔物避けじゃなくて、隠密行動用の魔道具だって。しかもなんか普通の店ではあんまり見かけないやつらしい。悪用される危険性があるとかなんとか。魔物避けにしないのは、強い魔物には魔物避けがあんまり効かないかもしれないからだって。まぁつまり、今回は魔物に避けてもらうんじゃなくて、ウチらが避ける側って事。
そういうわけで、最下層に踏み出したのに準備のため、一旦階段に戻った。それなら最初から行かなければ良かったのでは?とか思ったウチだけど、待ちきれなかったらしい。そして完全に風景と一体化出来るとかいう便利服を着て、消臭スライムを頭からぶっかけた。スプレーじゃなくてスライムってとこがスゲェ異世界感。しかも10秒くらいでスゥって床に消えたし。どうなってんのかと思ったら、どうやらダンジョンがタヒった魔物を取り込む事を利用した消費魔道具らしい。異世界人、あったま良い~!
さあ、準備は整った。いざ、ゆかん!最奥へ!
あれ?待てよ?っていうかもしかしなくてもここの主─最奥の部屋のボスってウチじゃね?だってウチが最初にいた部屋って─
『迷宮•失われた神殿 最下層•最奥 デす』
ですよねーー!!ええ、知ってましたとも! じゃ、ウチは最奥に辿り着くために倒されなきゃならんとか!?いや落ち着け、リンカ達のミッションは迷宮の最奥を確認すること(って教えてもらった)であって、破壊ではない。しかも、まあ、あっちは召喚でこっちは転生だけど同じ日本人だし?同郷ってだけで親近感湧くんだから大丈夫っしょ。あ、っていうかウチ、忘れてたけどアイテムじゃん魔物じゃないじゃん!だからウチが56されるようなことはない!と!そう信じたいな!?っていうかやられたらやり返すし!
え、っていうか、じゃああのウチが最初にいた狭い部屋って最奥のボス部屋じゃないの? 考えながらウチは勇者パーティー(仮)を先導する。って言っても一本道なんだけどね。でも、もう歩いて数日かぁ。遠いなぁ。皆退屈だろうなぁ。隠密行動だから基本的に会話はナシだから。いや、でも緊張でそんなこと言ってる暇ないか。ま、ウチはカインさんいるから関係ないけどね!
『あそコは アイテム部屋です』
と、そのカインさんがウチの疑問に答えてくれた。うんうん、さっすが期待してたよカインさん! ってか、アイテム部屋ってなんだろう? 久しぶりに調べてみるか! はい、おひさ辞書機能~。
〈アイテム部屋〉
フロアボス•中ボス•ラスボス等を倒すと現れる
アイテムが置いてある
もしくは宝箱の中に入っている
稀に複数の宝箱があり、開けるものによって貰えるアイテムが違う
→パーティーの場合早いもの勝ち
メンバー間の交換不可
売買可
最深部なら迷宮のコアもある
「契約、ですか?」
「はい。曖昧な約束はしっかりとした契約にしたほうが分かりやすいでしょう?」
確かに。互いの目標や報酬、条件を明記したものがある方が良いかもしれない。うん、提案に乗ろう。
「そうですね。そうしましょうか。」
そうして作られたのが、コレ↓ちなみにウチは、念の為前世の友達の「ユウ」という名前を借りた。柚兎君、及び柚兎君の名付け親の方、ありがとうございます。男とも女ともとれる名前、有り難くお借りします。
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契約書
パーティー[俺ら最凶]代表スメラギ ユウヤ(以下、甲)とユウ(以下、乙)は迷宮の案内において、契約をする。
第一条(業務内容)
甲が乙に依頼する業務(以下、本業務)は、迷宮の最奥までの案内のみとする。
第二条(期間)
本業務の依頼期間は今日から2週間以内とする。
第三条(報酬)
乙が甲に対し支払う報酬はギルドの依頼達成報酬の6割と渡せる限りの情報とする。
~~~~~
やっぱこの人達、ギルド依頼で来たのか。でも依頼達成報酬の6割ってどんくらいだろ?ま、達成すれば分かるか。ってかパーティー名がw俺ら最凶てww誰のセンスかなんとなく分かるわ。
そうしてウチは来た道を勇者パーティー(仮)と一緒に戻っていった。途中でドライアドとかシルフィードとか人面蔦とかに会って、全部倒してドロップアイテムを沢山ゲット──ってなったら良かったけど、あのしっかりした女子がなんかの魔道具を発動させて魔物にはあんまり会えず、結局倒したのはあの時近くにいたドライアド一体だけだった。
使った魔道具はかなりの高級品だったらしい。でもウチと邪魔されることなく話せるからって躊躇なく発動させてたな。他の人はちょっと困惑してたけど。ってか魔道具とかあるんだ。話を聞くと、どうやらドロップアイテムとは違う、人工物を指す言葉らしい。.......へぇ。とにかく、契約書には、ウチは案内することだけが仕事だから、魔物は狩らせないつもりらしい。......うん、ドロップアイテムは欲しかったな。
非常階段に通じる、さっき掘った穴に到着すると、不思議なことに掘ったときより小さくなっていた。カインさんによると、倒した魔物が吸収されて穴を防ぐためのエネルギーに換算されたのかもしれないとのことだった。そして、ウチの横で勇者パーティー(仮)の皆さんが大口を開けて固まってらっしゃる。ま、無理もないけどね。今改めて見るとエグいわー。
とりあえずここをひたすら下ればさっきのオークロード天国──じゃなくって、最下層に到達する。そう説明してウチはさっさと戻ろうとしたけど引き止められた。案内は最後までしないといけないらしい。あと、単純に普通に下ればいいということが信じられないようだった。階段を下る最中、私は沢山のことを質問した。
「どうして人間ではないだと分かったのか」
「スメラギユウヤということは日本人なのか」
「ならなぜこんな世界にいるのか」
「この世界はどんな世界なのか」
ウチの辞書じゃ分からない、雰囲気というものを知りたかった。だから色んなコトを、ウチが、ウチ自身が、自分の口で聞いた。4人とも契約通り、ウチが知りたいことを自身の知る限り教えてくれた。でもやっぱり契約書にあるから教えているって言う感じがするな。特に魔法使いっぽい子。めちゃくちゃ怯えられてるんだけど。
最初はあのドライアドのせいかと思ってたけど、ウチがそいつ倒してから更に怯え方が酷くなったんだよね。何もしてないはずなんだけどな。でも、あの子のスキルでウチが人間じゃないってバレたらしいし、それかな?あと一瞬でも鑑定が遅れてたらウチが人間じゃないってバレてなかったのに、運が良いんだか悪いんだか。
あ、そうそう。日本人という言葉に4人とも驚いてたけど、ウチはなんとなく察してはいたから、そこまでは驚かなかった。あ、やっぱり?って素直に思ったわ。あとウチも日本人だって明かしたら親近感湧いたっぽい。態度も少しだけ崩してくれた。魔法使いの子も納得してくれたらしい。日本人効果ヤベェな。しかも話していくにつれてウチもそれぞれを名前か名字で呼ぶようになってきたし、皆も私をユウって呼ぶようになった。やっぱ日本人効果ヤベェな。
ついでに何で4人がこの世界にいるのかって言うと、皆一緒に召喚されたそうだ。学校からいつもの4人組で帰ろうとしたら、眩しい光に包まれて、気づいたら王城の広間に居たらしい。典型的な勇者召喚ってヤツだね。羨まし。。ウチもそんな環境が整った上でこっちに来たかったな。
それでこっちに来て驚いたのは、魔法が存在することだって。そりゃ、日本になかったんだからビックリするわな。あと異種族の存在とか?にも驚いたそう。
「でも会ったことないから、まだ実感わかないでやんすよ。」
「前から思ってたけど、エドガワ君のその言葉遣い、どうなってるの?日本の人でそういう言葉遣いするのって、結構少数派だよね?」
いや、下手したら少数派どころじゃないかもしれない。時代劇マニアとか?
「色々あったんすよ。日本にいた頃はこうじゃなかったとだけ言っとくでやんすね。」
これは渡せない情報、か。こっちに来てからの身の上話はあんまり聞けなそうだな。と、話してるうちに、皆は眠くなってきたらしい。足取りが重くなってきた。魔法使いの子─もとい、ミオリちゃんはもう目を開けるのもやっとって感じ。ウチは別に睡眠必要ないから全然気づかなかったわ。ってわけで、一旦休憩をとることにした。カインさんによると、ウチら今は50階分下って95階と96階の中間地点にいるらしい。
っていうかスルーしてたけど、勇者パーティーの皆は普通に非常階段エリアに入れるんだね。ダンマスいるか知らんけど感謝だわm(_ _)m。
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起きてからまたひたすらに歩いて、また1日経った。皆最初はお喋りしたり、ちょっとしたミニゲームしたりして退屈を紛らわしてたんだけど、ネタが尽きたのか疲れたのか、みんなだんだん口数が少なくなってくる。
ちなみにご飯とかは、ミオリちゃんがアイテムボックス(魔道具)に入れてきてくれた。アイテムボックス内は時間が過ぎないので、熱々のまんま食べられるからさ。ホント魔法とか魔道具とかって便利だわー。科学文明の代わりにこっちが発達したんだな、きっと。
そいで、1夜去ってまた1夜。2度目の夜(体内時計)がやってきた。ってか時間はね?ぶっちゃけウチの辞書機能というかまあ、そこらへんの機能?でなんとかなるんだよね。でも時間分かっても、今は夜だから寝なきゃいかん、ってわけでもないし?眠くなったら寝ればいいし(引き篭もり発言)。だから、時間なんて気にしない~♪気にしない~♪(知ってる人いるかな?定番卒業ソングの替歌なんだけど)
そしてやって参りました、最下層一歩手前の階段!皆心なしか、いや、確実にワックワク!って顔してる~。土壁は修復されてて狭くなってたけど、ウチがまたも取り壊しました☆なんか懐かしい感じがするけど、まだ2日ぐらいしか経ってないんだよねぇ。めっちゃ遠い昔みたいだわ。あ、皆でせーのって言って一歩ジャンプしてら。.....うん、青春かな?あの浜辺とかで手ぇ繋いでジャンプしたシルエットの写真の撮影か何かかな(語彙力)!?勇者パーティーなのに!!いや皆高校生だけどね?!ついでに言うと、ココは浜辺ではなくダンジョン内です!!
「やっとついたぞ!!最下層~!」
「「「「イッエ~イ!!」」」」
くっそテンション高いやん。昼ご飯後ぐらいはめちゃくちゃ静かだったのに。いやでも案内して良かったわぁ。勇者パーティーという最強ならぬ最凶のツテもできたし。オークロード狩りも出来るし。魔物避けの魔道具の効力はとっくに切れてるからね、これからは来るよ来るよ~?多分だけど。
だけどウチの予想とは裏腹に、リンカがまたもや魔道具達を取り出してきた。食事の時はあんなに感謝してたアイテムボックスだけど今ではちょっと恨めしい、うん。でも今回は魔物避けじゃなくて、隠密行動用の魔道具だって。しかもなんか普通の店ではあんまり見かけないやつらしい。悪用される危険性があるとかなんとか。魔物避けにしないのは、強い魔物には魔物避けがあんまり効かないかもしれないからだって。まぁつまり、今回は魔物に避けてもらうんじゃなくて、ウチらが避ける側って事。
そういうわけで、最下層に踏み出したのに準備のため、一旦階段に戻った。それなら最初から行かなければ良かったのでは?とか思ったウチだけど、待ちきれなかったらしい。そして完全に風景と一体化出来るとかいう便利服を着て、消臭スライムを頭からぶっかけた。スプレーじゃなくてスライムってとこがスゲェ異世界感。しかも10秒くらいでスゥって床に消えたし。どうなってんのかと思ったら、どうやらダンジョンがタヒった魔物を取り込む事を利用した消費魔道具らしい。異世界人、あったま良い~!
さあ、準備は整った。いざ、ゆかん!最奥へ!
あれ?待てよ?っていうかもしかしなくてもここの主─最奥の部屋のボスってウチじゃね?だってウチが最初にいた部屋って─
『迷宮•失われた神殿 最下層•最奥 デす』
ですよねーー!!ええ、知ってましたとも! じゃ、ウチは最奥に辿り着くために倒されなきゃならんとか!?いや落ち着け、リンカ達のミッションは迷宮の最奥を確認すること(って教えてもらった)であって、破壊ではない。しかも、まあ、あっちは召喚でこっちは転生だけど同じ日本人だし?同郷ってだけで親近感湧くんだから大丈夫っしょ。あ、っていうかウチ、忘れてたけどアイテムじゃん魔物じゃないじゃん!だからウチが56されるようなことはない!と!そう信じたいな!?っていうかやられたらやり返すし!
え、っていうか、じゃああのウチが最初にいた狭い部屋って最奥のボス部屋じゃないの? 考えながらウチは勇者パーティー(仮)を先導する。って言っても一本道なんだけどね。でも、もう歩いて数日かぁ。遠いなぁ。皆退屈だろうなぁ。隠密行動だから基本的に会話はナシだから。いや、でも緊張でそんなこと言ってる暇ないか。ま、ウチはカインさんいるから関係ないけどね!
『あそコは アイテム部屋です』
と、そのカインさんがウチの疑問に答えてくれた。うんうん、さっすが期待してたよカインさん! ってか、アイテム部屋ってなんだろう? 久しぶりに調べてみるか! はい、おひさ辞書機能~。
〈アイテム部屋〉
フロアボス•中ボス•ラスボス等を倒すと現れる
アイテムが置いてある
もしくは宝箱の中に入っている
稀に複数の宝箱があり、開けるものによって貰えるアイテムが違う
→パーティーの場合早いもの勝ち
メンバー間の交換不可
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最深部なら迷宮のコアもある
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