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いつも通りヤるだけ
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これは流石に打つ手なしかな……
私達の右側には剣を握って甲冑を身につけた兵士が一人。左側には同じく兵士が二人。逃げ場はない。はぁ、ここで捕まってしまうのか……この世界では脱走なんてしたら恐らく命はない。……短い人生だった。でも、最後の最後までエッチできてよかったよ。願わくば一番最後はアンリエットちゃんがよかったけど。
右側の兵士がこちらに駆けてくる。その光景すら私の目には異様にスローモーションのように映った。
「──我が人生に一片の悔いなし!」
私はステファニーちゃんを庇うように立つと、兵士と向き合った。さあ来い!
すると……。
なぜか兵士は私を避けるようにすっと横にステップを踏む。そしてそのまま私の隣を駆け抜けて行った。その拍子に私の耳元でボソッと囁く。
「……なーにカッコつけてるんですか」
「えっ?」
私が疑問に思う前に、兵士は「はぁぁぁっ!」と気合いの声を上げながらなんと左側の兵士たちに斬りかかった。そして予想外なことに反応できない兵士たちのヘルメットを思いっきり剣で叩く。
──ガッシャァァァァンッ!!
とものすごい音がして兵士は昏倒。続けてもう一人もガッシャァァァァンッ!! ……あっという間に兵士二人をノックダウンした兵士 (?)は徐にそのヘルメットを脱いだ。すると、中からは鮮やかな水色の髪とキリッとした美少女のお顔が現れた。
「──ま、まさかアリアちゃん!?」
「再会を喜ぶのは後です! 騒ぎにならないうちにここから逃げましょう!」
アリアちゃんの言葉に周囲を見渡すと、物音を聞きつけた野次馬が集まってきてザワついている。それもそのはず、王宮の近衛兵に逆らって倒しちゃうなんてどんな命知らずだって話だ。
「そうね、とりあえずどこかに逃げましょうか」
私たち三人は顔を見合わせると、アリアちゃんに先導されるようにして駆け出した。甲冑を身につけながらも、かなりのスピードで走るアリアちゃん。私とステファニーちゃんはついて行くのが精一杯だ。
やがて、道端に積み上げられた木箱の陰に身を潜めたアリアちゃん。私とステファニーちゃんも息を切らしながらもアリアちゃんの傍に身を潜め、一息つくことにする。
「──逃げるといってもどこへ……?」
「もちろん、王都の外だよ!」
首を傾げたステファニーちゃんに、アリアちゃんは自信たっぷりに返した。
「もしかしてアリアちゃん、いい案でも思いついたの?」
「いい案というか……それしか選択肢がないというか……?」
「というと……?」
アリアちゃんは人差し指を立てながら説明口調になった。
「実は──ボク、さっきの会話聞いてたんだよね」
「さっきのって……!」
「そう。イくときにすごい魔法が使えるってやつ」
「……」
もしそれが本当だとしたら、アリアちゃんは私とステファニーちゃんのエッチもこっそり見ていたということで……かなり気まずい。案の定、ステファニーちゃんも恥ずかしそうに目を伏せてしまっているし。
「……あれ? ボクなんか変なこと言いました?」
「あれ? じゃないよ! さすがに知り合いにエッチシーンを見られるのは私も恥ずかしい!」
「先生が変な時にやり始めるからじゃないですか!」
「だって我慢できなくなったんだもん!」
「子供ですか!」
「子供はエッチしないもん!」
「確かに……」
どうやら私とステファニーちゃんの言い争いは私が勝ってしまったようね。ということは、これからはいつステファニーちゃんを犯してもいいってことに……ならないかなぁ?
とか考えていたら知らないうちに私は無意識にステファニーちゃんのおっぱいに触れていたようで、嫌そうな顔で手を払われてしまった。ステファニーちゃんが初めて示したハッキリとした拒絶かもしれない。こういう態度も本当にかわいいと思う?
「……で、その話がどうしたの?」
「はい! それを利用して門を突破しようと思って!」
私とステファニーちゃんのやり取りをニヤニヤしながら聞いていたアリアちゃん。何を言い出すかと思えば……。
「あのね……話聞いてたならわかると思うけど、私はもう兵士の前でそんなことされるのは嫌だって言ったはずよ!」
「誰もステファニーがされるなんて言ってないんだけど……」
真っ赤になりながら怒り始めたステファニーちゃんに、アリアちゃんは呆れたような表情で応じる。
「ステファニーちゃんじゃないなら……まさか!」
「そう、ボクがいるじゃないですか!」
天使か! 自ら犯される役に名乗りを上げてくれるなんて……! そして私は気づいた。アリアちゃんは令嬢たちと中でもかなり変態な部類だと。彼女は好きな女の子の汚(お)パンツを欲しがり、(恐らく)ルナちゃんを調教してメスブタにしてしまった張本人だろう。恐ろしい、貴族の令嬢にしておくには惜しい、ノエルちゃんに勝るとも劣らない逸材だ。
「てっきりアリアちゃんは攻め専門家と思ったわ」
「え、いいですよ? ボクが先生を犯してあげても……」
意味深な顔をしているアリアちゃんはかつてないほどかっこいい……というか魅力的で、私は反射的に「お願いします!」って答えそうになってしまった。
「き、興味あるけど、多分私を犯してもあまりいい魔法は出ないと思う……門を突破出来るような魔法は……」
「うーん、残念」
なにが残念なんですか! 私もちょっと残念だけど!
出会った頃はヘタレだったアリアちゃんだけど、私がふたなりプレイで快感を教え、そしてルナちゃんと付き合う過程で、彼女は大きく成長していた。私の想像以上に大人っぽくミステリアスな「タチ」キャラに……! そんな彼女に調教されるルナちゃんが少し羨ましい。
もしまた王都に戻ることがあったら、その時はアリアちゃんに攻めてもらおっと。
「アリアが構わないなら私はそれでいいわ」
ステファニーちゃんは自分に流れ弾が飛んでこないことを知って完全に他人事だと思っているようだ。でもステファニーちゃんも近衛兵に逆らっていることは確かなわけで……。後で王様とかアンリエットちゃんに怒られないか、捕まってエッチなことされないか心配だ。
「ボクは、ありのままの女の子としてのボクを先生がどう攻めてくれるのかワクワクですよ!」
重そうな甲冑を脱ぎながらそう口にするアリアちゃん。
うーん、これはふたなりにしたことをちょっと根に持ってそう。まあいっか。精一杯愛でてあげよう。男装してもイケメンなアリアちゃんは、女の子としてもかなり魅力的であることに変わりはない。
「あ、あまり期待しないでね。いつも通りやるだけだから」
「ふふっ……はーい」
「……時間がないわ、早くしないと辺りの見回りが強化される……」
「すぐそこの城門を破ろう。──じゃあ先生、お願いします……」
私達の右側には剣を握って甲冑を身につけた兵士が一人。左側には同じく兵士が二人。逃げ場はない。はぁ、ここで捕まってしまうのか……この世界では脱走なんてしたら恐らく命はない。……短い人生だった。でも、最後の最後までエッチできてよかったよ。願わくば一番最後はアンリエットちゃんがよかったけど。
右側の兵士がこちらに駆けてくる。その光景すら私の目には異様にスローモーションのように映った。
「──我が人生に一片の悔いなし!」
私はステファニーちゃんを庇うように立つと、兵士と向き合った。さあ来い!
すると……。
なぜか兵士は私を避けるようにすっと横にステップを踏む。そしてそのまま私の隣を駆け抜けて行った。その拍子に私の耳元でボソッと囁く。
「……なーにカッコつけてるんですか」
「えっ?」
私が疑問に思う前に、兵士は「はぁぁぁっ!」と気合いの声を上げながらなんと左側の兵士たちに斬りかかった。そして予想外なことに反応できない兵士たちのヘルメットを思いっきり剣で叩く。
──ガッシャァァァァンッ!!
とものすごい音がして兵士は昏倒。続けてもう一人もガッシャァァァァンッ!! ……あっという間に兵士二人をノックダウンした兵士 (?)は徐にそのヘルメットを脱いだ。すると、中からは鮮やかな水色の髪とキリッとした美少女のお顔が現れた。
「──ま、まさかアリアちゃん!?」
「再会を喜ぶのは後です! 騒ぎにならないうちにここから逃げましょう!」
アリアちゃんの言葉に周囲を見渡すと、物音を聞きつけた野次馬が集まってきてザワついている。それもそのはず、王宮の近衛兵に逆らって倒しちゃうなんてどんな命知らずだって話だ。
「そうね、とりあえずどこかに逃げましょうか」
私たち三人は顔を見合わせると、アリアちゃんに先導されるようにして駆け出した。甲冑を身につけながらも、かなりのスピードで走るアリアちゃん。私とステファニーちゃんはついて行くのが精一杯だ。
やがて、道端に積み上げられた木箱の陰に身を潜めたアリアちゃん。私とステファニーちゃんも息を切らしながらもアリアちゃんの傍に身を潜め、一息つくことにする。
「──逃げるといってもどこへ……?」
「もちろん、王都の外だよ!」
首を傾げたステファニーちゃんに、アリアちゃんは自信たっぷりに返した。
「もしかしてアリアちゃん、いい案でも思いついたの?」
「いい案というか……それしか選択肢がないというか……?」
「というと……?」
アリアちゃんは人差し指を立てながら説明口調になった。
「実は──ボク、さっきの会話聞いてたんだよね」
「さっきのって……!」
「そう。イくときにすごい魔法が使えるってやつ」
「……」
もしそれが本当だとしたら、アリアちゃんは私とステファニーちゃんのエッチもこっそり見ていたということで……かなり気まずい。案の定、ステファニーちゃんも恥ずかしそうに目を伏せてしまっているし。
「……あれ? ボクなんか変なこと言いました?」
「あれ? じゃないよ! さすがに知り合いにエッチシーンを見られるのは私も恥ずかしい!」
「先生が変な時にやり始めるからじゃないですか!」
「だって我慢できなくなったんだもん!」
「子供ですか!」
「子供はエッチしないもん!」
「確かに……」
どうやら私とステファニーちゃんの言い争いは私が勝ってしまったようね。ということは、これからはいつステファニーちゃんを犯してもいいってことに……ならないかなぁ?
とか考えていたら知らないうちに私は無意識にステファニーちゃんのおっぱいに触れていたようで、嫌そうな顔で手を払われてしまった。ステファニーちゃんが初めて示したハッキリとした拒絶かもしれない。こういう態度も本当にかわいいと思う?
「……で、その話がどうしたの?」
「はい! それを利用して門を突破しようと思って!」
私とステファニーちゃんのやり取りをニヤニヤしながら聞いていたアリアちゃん。何を言い出すかと思えば……。
「あのね……話聞いてたならわかると思うけど、私はもう兵士の前でそんなことされるのは嫌だって言ったはずよ!」
「誰もステファニーがされるなんて言ってないんだけど……」
真っ赤になりながら怒り始めたステファニーちゃんに、アリアちゃんは呆れたような表情で応じる。
「ステファニーちゃんじゃないなら……まさか!」
「そう、ボクがいるじゃないですか!」
天使か! 自ら犯される役に名乗りを上げてくれるなんて……! そして私は気づいた。アリアちゃんは令嬢たちと中でもかなり変態な部類だと。彼女は好きな女の子の汚(お)パンツを欲しがり、(恐らく)ルナちゃんを調教してメスブタにしてしまった張本人だろう。恐ろしい、貴族の令嬢にしておくには惜しい、ノエルちゃんに勝るとも劣らない逸材だ。
「てっきりアリアちゃんは攻め専門家と思ったわ」
「え、いいですよ? ボクが先生を犯してあげても……」
意味深な顔をしているアリアちゃんはかつてないほどかっこいい……というか魅力的で、私は反射的に「お願いします!」って答えそうになってしまった。
「き、興味あるけど、多分私を犯してもあまりいい魔法は出ないと思う……門を突破出来るような魔法は……」
「うーん、残念」
なにが残念なんですか! 私もちょっと残念だけど!
出会った頃はヘタレだったアリアちゃんだけど、私がふたなりプレイで快感を教え、そしてルナちゃんと付き合う過程で、彼女は大きく成長していた。私の想像以上に大人っぽくミステリアスな「タチ」キャラに……! そんな彼女に調教されるルナちゃんが少し羨ましい。
もしまた王都に戻ることがあったら、その時はアリアちゃんに攻めてもらおっと。
「アリアが構わないなら私はそれでいいわ」
ステファニーちゃんは自分に流れ弾が飛んでこないことを知って完全に他人事だと思っているようだ。でもステファニーちゃんも近衛兵に逆らっていることは確かなわけで……。後で王様とかアンリエットちゃんに怒られないか、捕まってエッチなことされないか心配だ。
「ボクは、ありのままの女の子としてのボクを先生がどう攻めてくれるのかワクワクですよ!」
重そうな甲冑を脱ぎながらそう口にするアリアちゃん。
うーん、これはふたなりにしたことをちょっと根に持ってそう。まあいっか。精一杯愛でてあげよう。男装してもイケメンなアリアちゃんは、女の子としてもかなり魅力的であることに変わりはない。
「あ、あまり期待しないでね。いつも通りやるだけだから」
「ふふっ……はーい」
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