解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流

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第1章 守護龍の謎

第22話 巣の主が現れました

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 俺が真剣な眼差しを向けると、フラウは観念したようにため息をついた。

「わ、分かりましたよ……。えっとですね、封印されていた時の記憶がないので詳しくはわからないんですけど、500歳──人間でいうと大体十歳くらいですよ」
「じゅ、十歳!?」

 予想外の数字に、俺は驚きの声を上げた。

「ど、どうしてそんなに驚くんですか……?」
「いや、いくらフラウがひよっこっていっても、てっきり二十歳以上だと思ってたから……」
「ひどいです! そんなに老けて見えますかね……」

 フラウはぷっくりと頬を膨らませた。

「ごめん、悪かったって……」

 俺は苦笑しつつ謝った。

「にしても、これからもっと成長するのか……末恐ろしいな」

 そう呟きながらフラウの身体を観察してみる。彼女の身長は140センチあるかないかというところだが……俺が見下ろす形になるので、自然と胸元に目が行ってしまう。

「あぅ……どこ見てるんですか……エッチ……」

 フラウは自分の胸に手を当てて、顔を真っ赤にした。

「悪い、つい……」
「もう、本当にロイは変態さんなんですから……」

 フラウは少し拗ねた様子を見せた後、「まあいいでしょう」と言って、話を続けた。

「私がマリオンと契約した時は、まだ私の身体が成熟しきっていなかったのもあって、子孫を残すことはしませんでした。……でも今は違います」
「ああ、そうだな……」

 正直、人間なら十歳で子どもを作ることはまず無理だ。けれど、フラウはどこか熱を帯びた瞳でこちらを見つめている。発情しているのかもしれない。なんとかしなければ。
 俺はそんな彼女に対して、とりあえず優しく微笑みかけておいた。

「だから、ロイさえ良ければ、私はいつでも大丈夫です……」

 そう言うと、フラウはぎゅうっと強く抱きしめてきた。

「ちょっ、ちょっと待ってくれ! 今すぐはさすがにマズイ!」

 俺は慌ててフラウを引き剥がした。

「むぅ~……なんですか、やっぱり私みたいな子供には興味がないっていうことですか……?」

 フラウは不機嫌そうな顔で言った。

「いや、そんなわけないじゃないか! でも、今はその時じゃない。こういうのは全てが解決してゆっくりできるようになってからやるべきだと思う! フラウもそう言ってたじゃないか」

 俺は必死に弁解する。すると、フラウは納得したような表情を浮かべた。

「確かにそうですね……。すみません、先走っちゃいました……」

 フラウは申し訳なさそうにしゅんとした。

「分かってくれればいいんだ。……でも、フラウの方こそいいのか? こんな俺なんかで……」
「はい! ロイじゃなきゃダメなんです!」

 フラウは満面の笑顔で即答した。

「そ、そうか……」

 照れくさくなった俺は、フラウから視線を外して守護龍の書をペラペラと捲っていた。すると、予想もしていなかった文面を発見した。

「こ、これは……嘘だろ?」

 思わず声を上げてしまう。

「どうかしましたか?」

 フラウが不思議そうに訊いてくる。

「いやそれが……守護龍の書に俺とフラウのことが予言として書かれてるんだ……」
「えぇっ!? ほ、本当ですか? 見せてください!」

 彼女は興奮気味に叫ぶと、勢いよく俺の手に飛びついてきた。

「お、おい落ち着けって……」

 俺はフラウを宥めつつ、ページを開いた状態で渡した。そして二人でその文章を読んでいく。

『世界に混沌がもたらされた時、解呪能力を持つドラゴンライダーが現れ、世界を救うであろう』

 そこにはこう書かれていた。

解呪ディスペルのスキルを持つ人間自体は他にもいるだろうけど、守護龍と契約してドラゴンライダーになったのは俺が初めてだろうな……」

 俺は感慨深げに呟いた。

「ええ、間違いなく。それにしても、この記述を見る限り、やはり私たちは結ばれる運命だったみたいですね」

 フラウは嬉しそうに微笑んでいる。

「ああ……。でも、世界を救うなんてそんな大層なこと、俺にできるかなぁ……?」
「守護龍とドラゴンライダーの力なら、できるはずですきっと」
「多分、世界を救うってのは身勝手な女神様にお灸を据えることを言ってるんだよな?」
「……おそらく」

 フラウは苦笑しつつ答えた。

「それならなんとかなるかもな……」

 俺はそう言いながら、自分の拳を強く握りしめていた。
 ──絶対にあいつを倒してやる。
 改めて決意を固めるのであった。


 俺たちは隠し部屋を出て洞窟のさらに奥に向かった。
 ここは以前フラウが住んでいたらしいが、フラウがいなくなった今、他の魔物が住んでいるかもしれないという。さっきのサイクロプスの件もあるし、用心した方がよさそうだった。

「ここだな」

 しばらく進むと、開けた場所に出た。どうやら、そこが目的地であるようだ。

「……誰もいないな」

 俺は辺りを見回しながら呟く。

「……ですね。でも、何かが住んでる気配がします。どこかへ出かけているのでしょうか」

 フラウは警戒した様子で言った。

「サイクロプスじゃないのか?」
「あれは、多分迷い込んだだけで、ここにずっと住んでいるようには見えませんでしたけど……」
「とりあえず調べてみるか……」

 そう言って一歩踏み出した瞬間、洞窟の入口の方でなにやら物音がした。

 何者かが近づいてきている。

「ロイ、来ます!」

 フラウは緊張した様子で叫んだ。

「おう!」

 俺は剣を構えながら返事をした。そして、足音の主が現れるのを待つ。足音から判断すると、さっきのサイクロプスよりもさらに大型の魔物のようだ。でも、ドラゴンとかでもない限りは今の俺とフラウの敵ではないだろう。
 だが、現れたのは巨大なドラゴンだった。見た目はフラウとよく似て、純白の神々しい姿をしていたが、身体は彼女よりも大きい。そして、背中には四枚の羽が生えており、頭には立派な角が二本あった。
 そして、その身体には無数の切り傷が刻まれていてボロボロだった。ここに来る前に何かと戦っていたのだろうか。

「グオオォッ!!」

 雄叫びを上げるとその口から灼熱の炎が放たれた。
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