トロイメア・オンライン! 〜ブラコンでロリ巨乳の私は、クソザコステータス『HP極振り』と残念魔法『自爆魔法』で、最強で快眠な女子になります〜

早見羽流

文字の大きさ
上 下
96 / 100
♡ゴスロリ魔王と最終決戦♡

決着! 〜世界が終わる日!〜

しおりを挟む
 ◇  ◆  ◇


「あーあ、残念あと少しだったのに」

 くぐもったようなイブリースの声が聞こえた時――


 ――ギャァァァァァァッ!!


 おぞましい音を立てながら、何かが私の頭から離れていった。


 ――はっ!?


 私は!? 私は今まで何を――さっきのサラお姉ちゃんは……? ていうかサラお姉ちゃんって誰だっけ?

 って! そうだ! 私はなんか赤黒い塊に取り憑かれて……!? てことはさっき離れていったのはイブリースが召喚したモンスター?

「離れたぞ! 今だ!」

 クラウスさんの叫び声。――次の瞬間、地面に拘束されていた私の身体がふっと軽くなった。身体を拘束していた黒い帯をホムラちゃんが光り輝く2本の剣で器用に切断していた。見渡すと、クラウスさんやホムラちゃんの他にも、セレナちゃん、ユキノちゃん、アオイちゃん、キラくん、リーナちゃん、ミルクちゃん……ギルドの仲間が少し距離を置いてこちらを見守っていた。みんな、助けに来てくれたんだ!

 自由を取り戻した私は、胸に込み上げるものを感じてホムラちゃんに駆け寄った。

「ホムラちゃん!」

「見捨てたと思ったか? 残念だったな!」

「別に……残念じゃないし!」

 言い返した私の声は、情けないくらい震えていた。――良かった。あれが夢で。
 良かった。みんな私のこと覚えててくれて……!


「おい伏せろロリ巨乳!」

 ホムラちゃんの声に慌てて頭を下げると、頭上を猛スピードで赤黒い塊が通り過ぎていった。さっき追い払ったと思ったけどどうやら敵はまだ諦めてはいなかったらしい。

「憑依(エンチャント)、【神性(ディバイン)】!」

 ユキノちゃんの声と共に、宙を舞う塊を白い光が貫く。振り向くと、セレナちゃんがスナイパーライフルを構えていた。【神性】を憑依させた武器で弱点をついたんだと思う。ユキノちゃんはエンチャントをほぼ自分につける場合が多いけれど、本来の使い方がこれ。味方の武器に属性を宿らせるのが『エンチャンター』だ。

「【フルバースト】!」

 セレナちゃんのスナイパーライフルから放たれた光がおびただしい数の敵を一掃していく。――瞬く間にイブリースが召喚したアンデッドは殲滅されてしまった。


「ふーん、やるわね。――大人しくしてたら見逃してあげようと思ったんだけど、邪魔するならあなた達から始末してやろうかしら」

 イブリースは余裕の表情。セレナちゃんが放ったビームを軽々と大鎌で防ぐ。

「チッ、やっぱり私たちでは魔王にはダメージを与えられませんか……」

「らしいぞお嬢ちゃん。悪いがイブリースはお嬢ちゃんがなんとかしてくれ!」

「道は私たちが切り開きます!」

 セレナちゃん、クラウスさん、ユキノちゃんが口々に言った言葉に私は頷いた。

「させないわ! もう一回取り憑きなおせばいいのよ」

「危なっ!?」

 突然、イブリースの背後から残っていた数体のアンデッドが、私に向けてものすごいスピードで飛んできた。

「詠唱(コール)、【ソウルレジスト】!」


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 魔法【ソウルレジスト】がかけられました! 精神異常に対する耐性が大幅に上昇しました!

 クリティカル発動! スキル【多重強化】により魔法【ソウルレジスト】の効果が再度付与されました! 精神異常に対する耐性が大幅に上昇しました!

 クリティカル発動! スキル【多重強化】により魔法【ソウルレジスト】の効果が再度付与されました! 精神異常に対する耐性が大幅に上昇しました!

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 間一髪。アオイちゃんの魔法によって耐性を得た私にアンデッドは取り憑くことが出来なかったらしく、壁にぶつかったかのように弾かれてフラフラと空中を彷徨(さまよ)いはじめた。それをセレナちゃんが落ち着いて撃ち抜いていく。

「おらぁぁぁぁっ!! 幼女だからって手加減しないからなぁぁぁぁっ!!」

 反撃開始! 私はイブリースに向かって駆ける。


「――【イビルブラスト】!」

「ぶわっ!?」

 イブリースが魔法を唱えると、目の前で爆ぜた黒い閃光が私の身体を押し戻す。さすがは魔王、なかなか近寄らせてはもらえない。

「【ディメンションサモン】! 現れなさい『渾沌屍龍(カオスドラゴン)』!!」


 ――ゴゴゴガガガガッ!


 地面に突き刺した大鎌の柄から、轟音を立てて地が裂ける。いや、裂けているのは地面だけではない。――時空を歪めている!? 

「下がれお嬢ちゃん! 空間ごとねじ切られるぞ!?」

「そんなむちゃくちゃな!」

 慌てて飛び退くと、その裂けた空間から巨大な爬虫類を思わせる頭がぬっと覗いた。紫色の頭部は所々肉が裂けたのか腐敗したのか、それはまあ酷い見た目で、ついでに酷い臭いがする。物が腐ってる時の臭いだ。


「カオスドラゴン……またまためんどくさいものを!」

「うぉぉぉぉぉぉっ!! 【シールドバッシュ】!!」


 ――ガンッ!


 次元の裂け目から現れた体長数十メートルもある巨大なカオスドラゴンに、クラウスさんが突撃していき、その横っ腹を盾で思いっきり殴りつけた。

「お嬢ちゃんいけぇぇぇぇぇっ!!!!」

「はいっ!」

 敵のターゲットがクラウスさんに切り替わった隙に私はカオスドラゴンの脇をすり抜けるようにしてイブリースに駆け寄った。

「何度やっても無駄なことよ!」

「あんなに大技を連発したんだから、そろそろMPの残りが心許ないんじゃないですか?」

 適当に言ってみたことだったけれど、どうやら図星だったようだ。イブリースの顔が歪む。そしてふふっと自嘲気味に笑った。

「鋭いじゃない。――さすがってところかしら?」

「……?」

 あの人の娘……? って私のことだよね? あの人って?

「――【幻影転移(ファントムムーヴ)】!」

 私の思考が飛んだ隙に、イブリースが動いた。――私の背後に回り込み私の身体をがっちりとホールドしてきた。

「ちょっ!? なにを!?」

「みんなにちやほやされて、幸せもの! 地獄に落ちればいいのに」

「えっ?」

「おまけにこんな下品なのぶら下げて!」

「待って胸揉まないで!」

 明らかにこれ私怨が入ってませんか!? このイブリースさんにどんな辛く悲しい過去があったのか分からないけれど、ゲーム内の存在に過ぎない彼女が私にここまで執着する意味がわからない。そして何度も言うけど私は現実(リアル)では貧乳だ!

 振り払おうとする私と、離れまいとするイブリースは魔法も使わずに己の腕力のみで決死の攻防を繰り広げた。私はそもそもあまり攻撃魔法を持ち合わせていないし、イブリースはMP切れなのだろう。なんというか、すごく原始的なバトルで笑いそうになってしまう。

 とりあえずなんとかして、仲間たちがカオスドラゴンを引き付けているうちに魔王を倒さないと!

「はやくデバッグデータの在り処を教えなさい! そしたら許してやるわ」

「さっきも言いましたけど、それは私にもわかりませんって!」

「そんなはずはないのよ! あなたに託したって聞いたんだから!」

「知らないです! 魔王討伐報酬かなにかなんじゃないですか?」

「……やっぱり」

「なにか知りませんけど、あなたはここで倒されるのでどちらにせよ関係ないですね!」


 私はやっとのことで少しだけ自由になった右手でウィンドウを操作する。

「魔王『イブリース』さん。あなたは三つのミスを犯しました」

「……!?」

「一つ目、私の仲間をここに来させてしまったこと。――二つ目、私の洗脳に時間をかけすぎてしまったこと」

「うるさい、勝つのは私よ! はやくデバッグデータの在り処を――」

「三つ目――私に喧嘩を売ったことだぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」

「っ!?」

 イブリースが息を飲む音が聞こえた。だがもう遅い。私は胸を掴んでいたイブリースの両腕を自身の両手でしっかりと押え、ついでにそのまま身体を折り曲げてイブリースの身体を浮かせて逃げられないようにすると、魔法を唱えた。



「――【破滅の光】!!」



 ――私がそう叫んだ瞬間



 ――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

銀河英雄戦艦アトランテスノヴァ

マサノブ
SF
日本が地球の盟主となった世界に 宇宙から強力な侵略者が攻めてきた、 此は一隻の宇宙戦艦がやがて銀河の英雄戦艦と 呼ばれる迄の奇跡の物語である。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...