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♡ガチャ召喚とハードクエスト♡
急襲クエスト! 〜敵にナンパされるセレナちゃんって?〜
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つまり、私たちはあの黒髪のイケメンを追い払えばいいのだろうか。ふん、こっちにはもっとイケメンのクラウスさんがいるもんね! あと美少女レベルならこっちの方が圧倒的だから負ける要素ないよ! って、そういう問題じゃないか。
「悪いがお引き取り願おうか」
クラウスさんが盾を構えながらアンラマンユに声をかける。すると、アンラマンユは「なんだ、いたのかお前ら」みたいな感じの視線をクラウスさんに投げた。
「あぁ? なんだお前ら? 見たところ『ハーフリング』じゃないようだが……」
「種族はいろいろいるが……冒険者をやってるものだ」
「冒険者ぁ? なんで冒険者がハーフリングの村に肩入れするんだよ? 魔王様に楯突いて無事で済むと思うなよ?」
「……そういう契約なのでな」
「なるほど、お前らこのハーフリングどもに買われたな?」
アンラマンユの言葉に、クラウスさんの横に控えていたユキノちゃんとリーナちゃんがスッと身構えた。
「まあそういうことだ。――どうだ? 今立ち去れば命だけは助けてやるが」
クラウスさんはなんとか戦闘を避けてアンラマンユを追い払おうという魂胆みたいだ。確かに、相手の実力が未知数だし、いかんせん数が多いので正面衝突は避けたいのだろう。私も同感。あんな数、倒すのに何回自爆すればいいか分かったもんじゃない。
「へぇ? 哀れな冒険者が、このアンラマンユ様の実力を分かっていないようだな? ――面白い、この村を平らげるのは容易いが、『イブリース』様は、村は無傷で手に入れるようにと仰せだ。少し遊びに付き合ってやるとしよう。――取引といこうか爺ちゃん」
「……なんだと?」
「そこの冒険者の中の誰かとこのアンラマンユ様が決闘(デュエル)してやろう。眷属どもには一切手出しさせないから安心しろ。――冒険者が勝ったらアンラマンユ様は一旦引いてやる。もし冒険者が負けたら――」
アンラマンユは品定めするような目線で私たちを一人一人見回した。そして、ニヤリと笑う。
「へーぇ、結構腕の立ちそうなヤツがいるじゃん! 特にそこの魔導族! ――名前なんていうんだ?」
アンラマンユに話しかけられたのは、私の横でスナイパーライフルを弄んでいたセレナちゃんだった。魔導族は2人いるけれど、アンラマンユは明らかにセレナちゃんの方を向いて問いかけている。
「――あなたに名乗るような名前はありませんが?」
「このアンラマンユ様にその口の利き方とはいい度胸じゃん。気に入った! 魔導族だと人間どもの街に暮らすのは色々と苦労も多いだろう。――どうだ? 魔王軍に来ないか? お前ほどの実力なら、すぐに幹部になれるぞ? ――いや、違うな……」
この後にアンラマンユが続けた言葉は、皆耳を疑うような内容だった。
「――このアンラマンユ様の妃(きさき)になることを許す! どうだ、光栄だろ? さあ、共に来い魔導族の娘よ!」
――ま
まさかの告白ぅぅぅぅぅっっっ!!!! しかも一目惚れで妃とか早っ!!!! さすがは魔王の配下!!!!
「お断りします。誰があなたなんかの妃になるんですか? 寝言は寝て言うものですよ? ばーかばーか!」
「おいセレナ、あまり刺激すんな!」
得意の毒舌をかまし始めたセレナちゃんをクラウスさんが窘めた。しかしすでに後の祭りで……アンラマンユはぽかんとした顔をしている。アンラマンユさん、性格はともかくとして見た目はイケメンだからそんな簡単に拒否されるとは思っていなかったのだろう。しばし硬直していた彼は……やがてニヤァっと口角を上げた。
「面白ぇ! 面白ぇぞあぁ!? このアンラマンユ様に恥をかかせてくれるとな!! ますますお前のことが欲しくなった!! よし決まりだ爺ちゃん! 冒険者が負けたらその娘を貰っていくわ!」
「うわぉ、変態ばっか!」
「僕もしつこいのはさすがにちょっと……」
「あんたたち、人んこと言えんよ?」
小声で言葉を交わした私とキラくんにミルクちゃんが呆れ顔でツッコミを入れた。
長老さんがチラッとセレナちゃんのほうを伺うと、セレナちゃんは「はぁ……」とため息をついてスタスタとアンラマンユの前に進み出た。
「いいでしょう、受けて立ちます。そして、こいつは私が倒します」
「おいちょっと待てよ! さっき『彼我の戦力差が~』とか言ってたのになにカッカしてんだよ? 後衛職の癖に!」
「うるさいですね。あなたには無理ですけど、私ならできるんです! よゆーですよゆー!」
「はぁ? ばっかじゃねぇのか? 負けたらこいつの妃になるんだろ?」
「なりません! 私は負けません! あなたこそ、イベントでは私に勝てなかったじゃないですか!」
「んだとコラ! 今から続きやるか?」
ちょっかいをかけ始めたホムラちゃんと、セレナちゃんが珍しく感情を露わにして言い争っている。余程イライラしているらしい。それほどアンラマンユの妃になるのが嫌なのだろう。確かに、彼DVが酷そうだからね(勝手な偏見)!
「ほーう、わざわざこのアンラマンユ様と決闘しにくるということは、お前もアンラマンユ様のことが気に入ってくれたのか! これは僥倖(ぎょうこう)! 」
アンラマンユ様はご満悦だ。
「いいえ、あなたは私の手で黙らせる。――それだけです」
「ふふふ、その気概やよし! やはり運命を感じるな! さあ、やろうか!」
「ちょっと、勝手に決まっちゃってますけどいいんですか?」
「まあ、この中で一番強いのはセレナで間違いないから、彼女は頭も切れるし、とりあえず彼女に任せておけば悪いようにはならないだろう」
「いやいや、頭にきてて判断力鈍ってると思いますけど!」
「なんか他のメンバーだとあいつに勝てない気がするんだよな……俺とかお嬢ちゃんとかが行っても……」
「た、確かにそうですけど……」
クラウスさんがそう言うなら……ユキノちゃんとかも強そうだけれど、なんてったってセレナちゃんは全プレイヤーの中で二番目に強い。誰か一人に託すんだとしたら彼女が適任だと思う。
私たちとアンラマンユの眷属のトカゲたちはジリジリと後退して、セレナちゃんとアンラマンユの周りには決闘ができるほどのスペースができあがった。アンラマンユは頭上に右手を掲げて、そこに黒い大きな大剣を召喚する。あれが武器なのだろう。
「――じっくり楽しんでやるよ」
「――すぐに倒します」
二人はそれぞれの言葉を合図に武器を構えた。
「悪いがお引き取り願おうか」
クラウスさんが盾を構えながらアンラマンユに声をかける。すると、アンラマンユは「なんだ、いたのかお前ら」みたいな感じの視線をクラウスさんに投げた。
「あぁ? なんだお前ら? 見たところ『ハーフリング』じゃないようだが……」
「種族はいろいろいるが……冒険者をやってるものだ」
「冒険者ぁ? なんで冒険者がハーフリングの村に肩入れするんだよ? 魔王様に楯突いて無事で済むと思うなよ?」
「……そういう契約なのでな」
「なるほど、お前らこのハーフリングどもに買われたな?」
アンラマンユの言葉に、クラウスさんの横に控えていたユキノちゃんとリーナちゃんがスッと身構えた。
「まあそういうことだ。――どうだ? 今立ち去れば命だけは助けてやるが」
クラウスさんはなんとか戦闘を避けてアンラマンユを追い払おうという魂胆みたいだ。確かに、相手の実力が未知数だし、いかんせん数が多いので正面衝突は避けたいのだろう。私も同感。あんな数、倒すのに何回自爆すればいいか分かったもんじゃない。
「へぇ? 哀れな冒険者が、このアンラマンユ様の実力を分かっていないようだな? ――面白い、この村を平らげるのは容易いが、『イブリース』様は、村は無傷で手に入れるようにと仰せだ。少し遊びに付き合ってやるとしよう。――取引といこうか爺ちゃん」
「……なんだと?」
「そこの冒険者の中の誰かとこのアンラマンユ様が決闘(デュエル)してやろう。眷属どもには一切手出しさせないから安心しろ。――冒険者が勝ったらアンラマンユ様は一旦引いてやる。もし冒険者が負けたら――」
アンラマンユは品定めするような目線で私たちを一人一人見回した。そして、ニヤリと笑う。
「へーぇ、結構腕の立ちそうなヤツがいるじゃん! 特にそこの魔導族! ――名前なんていうんだ?」
アンラマンユに話しかけられたのは、私の横でスナイパーライフルを弄んでいたセレナちゃんだった。魔導族は2人いるけれど、アンラマンユは明らかにセレナちゃんの方を向いて問いかけている。
「――あなたに名乗るような名前はありませんが?」
「このアンラマンユ様にその口の利き方とはいい度胸じゃん。気に入った! 魔導族だと人間どもの街に暮らすのは色々と苦労も多いだろう。――どうだ? 魔王軍に来ないか? お前ほどの実力なら、すぐに幹部になれるぞ? ――いや、違うな……」
この後にアンラマンユが続けた言葉は、皆耳を疑うような内容だった。
「――このアンラマンユ様の妃(きさき)になることを許す! どうだ、光栄だろ? さあ、共に来い魔導族の娘よ!」
――ま
まさかの告白ぅぅぅぅぅっっっ!!!! しかも一目惚れで妃とか早っ!!!! さすがは魔王の配下!!!!
「お断りします。誰があなたなんかの妃になるんですか? 寝言は寝て言うものですよ? ばーかばーか!」
「おいセレナ、あまり刺激すんな!」
得意の毒舌をかまし始めたセレナちゃんをクラウスさんが窘めた。しかしすでに後の祭りで……アンラマンユはぽかんとした顔をしている。アンラマンユさん、性格はともかくとして見た目はイケメンだからそんな簡単に拒否されるとは思っていなかったのだろう。しばし硬直していた彼は……やがてニヤァっと口角を上げた。
「面白ぇ! 面白ぇぞあぁ!? このアンラマンユ様に恥をかかせてくれるとな!! ますますお前のことが欲しくなった!! よし決まりだ爺ちゃん! 冒険者が負けたらその娘を貰っていくわ!」
「うわぉ、変態ばっか!」
「僕もしつこいのはさすがにちょっと……」
「あんたたち、人んこと言えんよ?」
小声で言葉を交わした私とキラくんにミルクちゃんが呆れ顔でツッコミを入れた。
長老さんがチラッとセレナちゃんのほうを伺うと、セレナちゃんは「はぁ……」とため息をついてスタスタとアンラマンユの前に進み出た。
「いいでしょう、受けて立ちます。そして、こいつは私が倒します」
「おいちょっと待てよ! さっき『彼我の戦力差が~』とか言ってたのになにカッカしてんだよ? 後衛職の癖に!」
「うるさいですね。あなたには無理ですけど、私ならできるんです! よゆーですよゆー!」
「はぁ? ばっかじゃねぇのか? 負けたらこいつの妃になるんだろ?」
「なりません! 私は負けません! あなたこそ、イベントでは私に勝てなかったじゃないですか!」
「んだとコラ! 今から続きやるか?」
ちょっかいをかけ始めたホムラちゃんと、セレナちゃんが珍しく感情を露わにして言い争っている。余程イライラしているらしい。それほどアンラマンユの妃になるのが嫌なのだろう。確かに、彼DVが酷そうだからね(勝手な偏見)!
「ほーう、わざわざこのアンラマンユ様と決闘しにくるということは、お前もアンラマンユ様のことが気に入ってくれたのか! これは僥倖(ぎょうこう)! 」
アンラマンユ様はご満悦だ。
「いいえ、あなたは私の手で黙らせる。――それだけです」
「ふふふ、その気概やよし! やはり運命を感じるな! さあ、やろうか!」
「ちょっと、勝手に決まっちゃってますけどいいんですか?」
「まあ、この中で一番強いのはセレナで間違いないから、彼女は頭も切れるし、とりあえず彼女に任せておけば悪いようにはならないだろう」
「いやいや、頭にきてて判断力鈍ってると思いますけど!」
「なんか他のメンバーだとあいつに勝てない気がするんだよな……俺とかお嬢ちゃんとかが行っても……」
「た、確かにそうですけど……」
クラウスさんがそう言うなら……ユキノちゃんとかも強そうだけれど、なんてったってセレナちゃんは全プレイヤーの中で二番目に強い。誰か一人に託すんだとしたら彼女が適任だと思う。
私たちとアンラマンユの眷属のトカゲたちはジリジリと後退して、セレナちゃんとアンラマンユの周りには決闘ができるほどのスペースができあがった。アンラマンユは頭上に右手を掲げて、そこに黒い大きな大剣を召喚する。あれが武器なのだろう。
「――じっくり楽しんでやるよ」
「――すぐに倒します」
二人はそれぞれの言葉を合図に武器を構えた。
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