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♡ガチャ召喚とハードクエスト♡
鬼畜クエスト! 〜このクエストハードそう!〜
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◇ ◆ ◇
――その夜、時刻は午後9時過ぎ。
今日私はレーヴくんに『ヴェンゲル』の街に転送してもらった。クラウスさん達とエクストラクエストを受注する事になっていたのだ。昨日の時計広場に私がやってくると、そこには既に2人の人影があった。今までこの街に到達できたパーティは限られているはずだから、私のギルドの人である可能性は高い。
ただ、残念なことに2人とも私のギルドの人ではありませんでした。2人とも白いローブをまとっていたから。――ソラさんのギルドだ。1人は背が高くて1人は小柄。なにか話し合っているようにも見える。私は近づいて様子を伺ってみた。
「――で、やっぱりギルドに入る気はないんだな?」
「……はい。ソラさんにはとてもお世話になったんですが……どうしても友達と同じギルドに入りたくて……」
ソラさんとユキノちゃんだ! ユキノちゃん、やっぱりクラウスさんのギルドに入ってくれる気になったんだ! 頑張れ、頑張れユキノちゃん! ――私は少し離れたところからじっとその様子を見守った。
「別に責めているわけではない。ただ、俺はユキノに期待していたから少し残念なだけだ」
「あぅ……でも、あまりダンジョンにもボス攻略にも連れて行ってくれなかったじゃないですか……もう少し構ってくれないと……寂しかったです」
ユキノちゃん! そんなこと言っちゃって! 大胆! さすが紐パン!
「――レア装備で釣られたな?」
「――うっ」
あー、確かにユキノちゃん。私がユメちゃんの装備をあげたらめちゃくちゃ喜んでたよねー? 身体で払うとか言ってたよねー?
「まあいい、もはや俺から言うことは何もないが……」
ソラさんはゆっくりと続ける。
「【蒼空騎士】にとって1番のライバルは奴ら【エスポワール】だ。奴らにつくなら俺たちは容赦なくユキノを潰しに行くぞ。痛い目をみても恨みっこなしな」
「……望むところです!」
ユキノちゃんは白いローブ――ソラさんの【蒼空騎士】のエンブレムが入ったローブを脱ぎ捨てる。今日のユキノちゃんはいつもの露出度の高い『アサシン』スタイルではなく、ヒラヒラフワフワスケスケのユメちゃんスタイルだった。
ソラさんは何も言わずに踵を返して去っていく。私はユキノちゃんに駆け寄った。
「ユキノちゃん!」
「ココアさん……こ、怖かったです……死ぬかと思いました」
それはだいぶオーバーかも! ソラさんはユキノちゃんが後腐れなくウチのギルドに入れるようにああ言ったんだと思うよ多分!
「おー、よしよし」
泣きそうになっているユキノちゃんの頭を胸に埋めて慰めていると、広場に続々とギルドメンバーが集まってきた。
「なになに? 百合かな?」
「話しかけない方がいいですかね?」
「……羨ましい。そこ代わってください」
うぅ、リーナちゃんアオイちゃんキラくんの声がするぅ! 恥ずかしいなぁと思っていると、ユキノちゃんはスっと私から離れてくれた。良かったぁミルクちゃんがいなくて……
「何しとーと!?」
――バシッ!!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁきたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!! バイオレンス嫁!!!!
「――皆揃っているようだな」
最後にクラウスさんがのそのそと現れた。
「あ、あのクラウスさん! 私、クラウスさんのギルドに入ります! 私を使ってくれないギルドじゃなくて……私が活躍できる場所で活躍したいんです!」
ユキノちゃん――希歩ちゃんはそういうタイプなのかもしれない。バスケットボールにしても、自分がレギュラーじゃないと……みたいな感じで思っているのかも。そういうスポーツ少女的な部分も希歩ちゃんの魅力ではある。
「ほんとか! 歓迎する!」
クラウスさんも大喜び。そりゃそうだよ。エリアボス討伐のMVPの万能アタッカーが加入したんだもん。ユキノちゃんが入るだけでかなりギルドの戦略に幅が出てくると思う。
ミルクちゃんを除いた他の3人も――特にキラくんとリーナちゃんもかなり喜んでいた。彼らは変態的な意味でだけどね多分。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ギルド【エスポワール】にユキノが加入しました!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
クラウスさんがウィンドウを操作する素振りを見せると、私の目の前にこんなメッセージが浮かび上がった。やった、ユキノちゃんが仲間になった!
「で、エクストラクエストだが……キラ、どこでそのクエストを見つけたんだ?」
「あぁ、実はすぐそこの路地なんです……」
「すぐそこ?」
「――はい、困ったようにウロウロしている男の人がいたんで声をかけてみたら……あっ、路地裏からこっそりココアさんをつけ回していたわけじゃありませんからね!?」
つけ回していたんでしょっ!! まったく、油断も隙もあったもんじゃないよ!!
キラくんの発言の後半部分に、私の他にもミルクちゃん、ユキノちゃん、リーナちゃんの4人が反応してそれぞれ何か言いたそうな顔をしたけれど、クラウスさんにとってそれは結構どうでもいいことだったらしく、それには触れなかった。
「――案内しろ」
「了解です」
キラくんは私たちを案内しながら街の大通りを歩き、脇道に入って、さらに細い路地に入っていく。あー、そう言えば私も昨日ここら辺を探索してたっけ……やっぱりつけ回していたな!
でも、キラくんの言った通りそこにはボロボロの服を身につけた30代くらいの男が途方に暮れた様子でウロウロしていた。浮浪者かと思ったけど、綺麗な雰囲気のこの街には不釣り合いなことこの上ない。そして、その男はなんと背丈が人間の半分くらいしかなくて……なんか可愛かった。
クラウスさんは私たちを見回すと、代表して男に声をかけた。
「もしもし、なにかお困りですか?」
「――ん、あぁ。あなた達冒険者か?」
「そうですけど」
男は怪訝な顔で私たち一人一人の顔を見つめる。
「人間、フェアリー、ホムンクルス、ケットシー、ドラゴニュート、ダークエルフ……そしてそこのメイドは精霊――邪龍? だな? また随分おかしな組み合わせだな」
「……分かるんですか?」
「あぁ、俺たちハーフリングにはな、種族を見分ける力がある。――まあいい、ここで会ったのも何かの縁だ。あなた達に頼みがある」
「――なんでしょう?」
「――俺たちの村を救ってほしい」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
クエスト【望まぬ救済】を受注しますか?
はい ◀
いいえ
【望まぬ救済】
虐げられた者達よ、ハーフリングの村を救い、差別、偏見を解消せよ
達成条件︰ハーフリングの村に被害を出さずに、村を襲う魔物を討伐する
達成報酬︰チュートリアル限定スキルの強化、エクストラジョブ『守護者』の解放、『守護者』限定装備の獲得
編成条件︰差別種族(魔導族、ダークエルフ、ドラゴニュート、ホムンクルス)を5名以上編成した1パーティ8名まで
禁止制限種族︰なし
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ただし、俺は別に気にしないが、長老たちは頭が固くてな……あなた達をすんなり受け入れてもらえるか……特に……」
ハーフリングの男は、リーナちゃん、キラくん、――そして私を見回しながら呟いた。
――その夜、時刻は午後9時過ぎ。
今日私はレーヴくんに『ヴェンゲル』の街に転送してもらった。クラウスさん達とエクストラクエストを受注する事になっていたのだ。昨日の時計広場に私がやってくると、そこには既に2人の人影があった。今までこの街に到達できたパーティは限られているはずだから、私のギルドの人である可能性は高い。
ただ、残念なことに2人とも私のギルドの人ではありませんでした。2人とも白いローブをまとっていたから。――ソラさんのギルドだ。1人は背が高くて1人は小柄。なにか話し合っているようにも見える。私は近づいて様子を伺ってみた。
「――で、やっぱりギルドに入る気はないんだな?」
「……はい。ソラさんにはとてもお世話になったんですが……どうしても友達と同じギルドに入りたくて……」
ソラさんとユキノちゃんだ! ユキノちゃん、やっぱりクラウスさんのギルドに入ってくれる気になったんだ! 頑張れ、頑張れユキノちゃん! ――私は少し離れたところからじっとその様子を見守った。
「別に責めているわけではない。ただ、俺はユキノに期待していたから少し残念なだけだ」
「あぅ……でも、あまりダンジョンにもボス攻略にも連れて行ってくれなかったじゃないですか……もう少し構ってくれないと……寂しかったです」
ユキノちゃん! そんなこと言っちゃって! 大胆! さすが紐パン!
「――レア装備で釣られたな?」
「――うっ」
あー、確かにユキノちゃん。私がユメちゃんの装備をあげたらめちゃくちゃ喜んでたよねー? 身体で払うとか言ってたよねー?
「まあいい、もはや俺から言うことは何もないが……」
ソラさんはゆっくりと続ける。
「【蒼空騎士】にとって1番のライバルは奴ら【エスポワール】だ。奴らにつくなら俺たちは容赦なくユキノを潰しに行くぞ。痛い目をみても恨みっこなしな」
「……望むところです!」
ユキノちゃんは白いローブ――ソラさんの【蒼空騎士】のエンブレムが入ったローブを脱ぎ捨てる。今日のユキノちゃんはいつもの露出度の高い『アサシン』スタイルではなく、ヒラヒラフワフワスケスケのユメちゃんスタイルだった。
ソラさんは何も言わずに踵を返して去っていく。私はユキノちゃんに駆け寄った。
「ユキノちゃん!」
「ココアさん……こ、怖かったです……死ぬかと思いました」
それはだいぶオーバーかも! ソラさんはユキノちゃんが後腐れなくウチのギルドに入れるようにああ言ったんだと思うよ多分!
「おー、よしよし」
泣きそうになっているユキノちゃんの頭を胸に埋めて慰めていると、広場に続々とギルドメンバーが集まってきた。
「なになに? 百合かな?」
「話しかけない方がいいですかね?」
「……羨ましい。そこ代わってください」
うぅ、リーナちゃんアオイちゃんキラくんの声がするぅ! 恥ずかしいなぁと思っていると、ユキノちゃんはスっと私から離れてくれた。良かったぁミルクちゃんがいなくて……
「何しとーと!?」
――バシッ!!
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁきたぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!! バイオレンス嫁!!!!
「――皆揃っているようだな」
最後にクラウスさんがのそのそと現れた。
「あ、あのクラウスさん! 私、クラウスさんのギルドに入ります! 私を使ってくれないギルドじゃなくて……私が活躍できる場所で活躍したいんです!」
ユキノちゃん――希歩ちゃんはそういうタイプなのかもしれない。バスケットボールにしても、自分がレギュラーじゃないと……みたいな感じで思っているのかも。そういうスポーツ少女的な部分も希歩ちゃんの魅力ではある。
「ほんとか! 歓迎する!」
クラウスさんも大喜び。そりゃそうだよ。エリアボス討伐のMVPの万能アタッカーが加入したんだもん。ユキノちゃんが入るだけでかなりギルドの戦略に幅が出てくると思う。
ミルクちゃんを除いた他の3人も――特にキラくんとリーナちゃんもかなり喜んでいた。彼らは変態的な意味でだけどね多分。
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ギルド【エスポワール】にユキノが加入しました!
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クラウスさんがウィンドウを操作する素振りを見せると、私の目の前にこんなメッセージが浮かび上がった。やった、ユキノちゃんが仲間になった!
「で、エクストラクエストだが……キラ、どこでそのクエストを見つけたんだ?」
「あぁ、実はすぐそこの路地なんです……」
「すぐそこ?」
「――はい、困ったようにウロウロしている男の人がいたんで声をかけてみたら……あっ、路地裏からこっそりココアさんをつけ回していたわけじゃありませんからね!?」
つけ回していたんでしょっ!! まったく、油断も隙もあったもんじゃないよ!!
キラくんの発言の後半部分に、私の他にもミルクちゃん、ユキノちゃん、リーナちゃんの4人が反応してそれぞれ何か言いたそうな顔をしたけれど、クラウスさんにとってそれは結構どうでもいいことだったらしく、それには触れなかった。
「――案内しろ」
「了解です」
キラくんは私たちを案内しながら街の大通りを歩き、脇道に入って、さらに細い路地に入っていく。あー、そう言えば私も昨日ここら辺を探索してたっけ……やっぱりつけ回していたな!
でも、キラくんの言った通りそこにはボロボロの服を身につけた30代くらいの男が途方に暮れた様子でウロウロしていた。浮浪者かと思ったけど、綺麗な雰囲気のこの街には不釣り合いなことこの上ない。そして、その男はなんと背丈が人間の半分くらいしかなくて……なんか可愛かった。
クラウスさんは私たちを見回すと、代表して男に声をかけた。
「もしもし、なにかお困りですか?」
「――ん、あぁ。あなた達冒険者か?」
「そうですけど」
男は怪訝な顔で私たち一人一人の顔を見つめる。
「人間、フェアリー、ホムンクルス、ケットシー、ドラゴニュート、ダークエルフ……そしてそこのメイドは精霊――邪龍? だな? また随分おかしな組み合わせだな」
「……分かるんですか?」
「あぁ、俺たちハーフリングにはな、種族を見分ける力がある。――まあいい、ここで会ったのも何かの縁だ。あなた達に頼みがある」
「――なんでしょう?」
「――俺たちの村を救ってほしい」
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クエスト【望まぬ救済】を受注しますか?
はい ◀
いいえ
【望まぬ救済】
虐げられた者達よ、ハーフリングの村を救い、差別、偏見を解消せよ
達成条件︰ハーフリングの村に被害を出さずに、村を襲う魔物を討伐する
達成報酬︰チュートリアル限定スキルの強化、エクストラジョブ『守護者』の解放、『守護者』限定装備の獲得
編成条件︰差別種族(魔導族、ダークエルフ、ドラゴニュート、ホムンクルス)を5名以上編成した1パーティ8名まで
禁止制限種族︰なし
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ただし、俺は別に気にしないが、長老たちは頭が固くてな……あなた達をすんなり受け入れてもらえるか……特に……」
ハーフリングの男は、リーナちゃん、キラくん、――そして私を見回しながら呟いた。
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