50 / 100
♡イベント最終日 頂上決戦♡
決勝戦その2! 〜ゲーム最強の座は誰の手に!?〜
しおりを挟む
否、火の粉というよりも光の粉だ。ソラさんの光る剣はどういう仕組みなのか、振るわれる度に光の粒子を撒き散らしている。魔法かな?
「あの剣って……」
「あぁ、あれは『聖剣』。勇者だけが使える魔法剣で、物理攻撃と魔法攻撃の両方の判定があるから、間違って食らってしまうと大変だぞ。俺は絶対に勝てない相手だな、ソラは」
私の呟きにクラウスさんが答えてくれた。その隣でキラくんが「くそっ! 先に答えられた!」みたいな顔をしながら口をパクパクしていたけど放っておこう。
ソラさんの聖剣とセレナちゃんのナイフや魔導盾は幾度となくぶつかり合い……そして何度か聖剣がセレナちゃんの身体を捉えたが、その度にセレナちゃんが回復魔法を発動してすぐに回復してしまった。戦況は膠着状態に近かったが、少しずつセレナちゃんが押されているのが分かる。
『激しい近接戦闘です! 私、接近戦をするセレナさんを見たことがありません! これは貴重な光景だぁぁぁぁっ!』
ユメちゃんの実況にも熱がこもる。
「どうした? このままではMPを使い果たしてしまうぞ?」
「MPが足りないなら調達すればいいのですよ」
ソラさんの挑発にセレナちゃんはあえて乗るような形で突撃を開始する。彼女を追い越して三枚の魔導盾がソラさんに襲いかかった。防御のために使っていた魔導盾を、操作してそのままソラさんへぶつけにいったようだ。
――ガンッガンッ!
聖剣に迎撃される魔導盾。その隙に、セレナちゃんは身軽にソラさんの懐に飛び込む。
「――【マナアブソーブ】!」
「くそっ!」
ソラさんが悪態をつく。セレナちゃんの拳が光をまとってその腹部を捉えた。が、ソラさんのHPバーはほとんど減っていないように見える。
『セレナさんの【マナアブソーブ】が決まったぁぁぁぁっ! ソラさんのMPを一定量吸収して自身のMPに変換します! 恐るべき永久機関! これは調整が必要ですね!』
いやいやそれ言っちゃう? 運営さーん?
「【ブライトインパクト】!」
――ゴスッ!
「【リフレクション】! 【自動回復(オートリペア)】!」
聖剣を持っていない左手でセレナちゃんの肩を掴んで思いっきり地面に叩きつけるソラさん。セレナちゃんは全身に黄色い光をまとってダメージを軽減するとすぐさま回復魔法で回復する。
「【リフレクション】は受けたダメージを3分の2にして、軽減した分のダメージを防御力を無視して相手に反射する魔法……やられているように見えて、有利なのは実はセレナの方なのかもしれないな」
クラウスさんの声に私が二人のHPバーを確認すると、全快のセレナちゃんに対してソラさんは既に半分近く削られていた。表情もどこか余裕がなくなっているようにも見える。まあ、対するセレナちゃんは相変わらずクールな表情をしているので比較はできないけれど。
「【フラッシュ】!」
「っ!?」
そんな中、ソラさんがパッと目の前に放った閃光に、セレナちゃんは直撃してしまった。閃光なら眩暈状態になってしまうところだが、セレナちゃんは何やら様子がおかしい。全身から火花のようなものを散らしながらその場にうずくまってしまった。
『セレナさん、状態異常をもらって『故障』状態になってしまいました! これは辛い! 魔導族のデメリットがここにきて仇になってしまったぁぁぁっ!』
『魔導族はどんな状態異常を受けても『故障』っていう麻痺の強化版みたいな状態異常になってしまうからねぇ……その代わり毒とか眩暈とかにはならないからそれがメリットといえばメリットだけど……』
ユメちゃんの実況にレーヴくんがわかりやすい解説をつけてくれた。なるほど、魔導族は確かに大変そう……というかセレナちゃんめちゃくちゃピンチ!?
「くっ……【修復】!」
「遅い! 【フォトンスラッシュ】!」
ソラさんの聖剣が振り下ろされる。防ごうとした魔導盾を一枚破壊して再びセレナちゃんの身体を深々と斬りつけた。
「っつ!?」
なんと、一撃で消し飛ぶかと思っていたセレナちゃんのHPは僅かに残っていた。
「ま、まさか、スキルの【即死回避】か!?」
「そ、【即死回避】ぃぃぃぃぃぃぃ!?!?」
驚きを顕にしているソラさんの言葉に私は絶叫した。まさか、まさかあの強くてかっこいいセレナちゃんが私と同じスキルをチュートリアルで選んでいたなんて!
「はぁ、マジですか。見せるつもりはなかったんですけど……」
「ふっ、面白くなってきたなっ!」
再び振り下ろされた聖剣を魔導盾が受け止める。
「【自動回復】! 【開放(バースト)】!」
――バンッ!
――バンッ!
セレナちゃんが唱えると、HPがみるみる回復していき、そして残っていた二枚の魔導盾が光を放って破壊される。いや、自ら破壊して爆風を放ったんだ。
怯んだソラさんにセレナちゃんがナイフで連撃を見舞う。もう魔導盾はないし、攻撃に徹しているのだろう。反撃をする暇を与えないほどの連撃。ソラさんのHPは徐々に削られる。
そのHPが残り一割を切った時――
――ブウンッ!
という音と共に、ソラさんの身体の周囲を黄色いオーラが覆って、セレナちゃんを弾き飛ばした。
「ふぅ、俺もこれを見せるつもりはなかったんだがな……」
『恐らく初めてのことでしょう! ソラさんのHPが一割を切ったのは! そしてその瞬間、勇者のエクストラスキル【神の領域】が発動したぁぁぁぁっ!』
「くっ……【マナアブソーブ】!」
「無駄だ。【神の領域】は敵を一定の距離に入れないスキル。直接触れなければ使えない【マナアブソーブ】は効かんぞ」
ソラさんの言葉どおり、彼に接近したセレナちゃんはバシッと音を立てて再び弾き飛ばされてしまった。ってことは……あれを突破するには遠距離から攻撃しないといけないってこと?
弾き飛ばされたセレナちゃんは、ゆっくりと起き上がると諦めたように手を上げる。
「――参りました。負けです。MPは0。有効な武器もなし。打つ手なしです」
『おおっとここでセレナさんが降参! これにより、第1回トロイメ杯 優勝者はソラさんに決定いたしましたぁぁぁぁぁっ!!』
「いやぁ、すごい試合でしたね」
「だな。俺たちも頑張らないと!」
キラくんとクラウスさんはかなり興奮してるみたい。
――会場に賞賛の拍手が響く中、私はとあることが気になって、ミルクちゃんの手を引きながらそっとその場を後にした。
「あの剣って……」
「あぁ、あれは『聖剣』。勇者だけが使える魔法剣で、物理攻撃と魔法攻撃の両方の判定があるから、間違って食らってしまうと大変だぞ。俺は絶対に勝てない相手だな、ソラは」
私の呟きにクラウスさんが答えてくれた。その隣でキラくんが「くそっ! 先に答えられた!」みたいな顔をしながら口をパクパクしていたけど放っておこう。
ソラさんの聖剣とセレナちゃんのナイフや魔導盾は幾度となくぶつかり合い……そして何度か聖剣がセレナちゃんの身体を捉えたが、その度にセレナちゃんが回復魔法を発動してすぐに回復してしまった。戦況は膠着状態に近かったが、少しずつセレナちゃんが押されているのが分かる。
『激しい近接戦闘です! 私、接近戦をするセレナさんを見たことがありません! これは貴重な光景だぁぁぁぁっ!』
ユメちゃんの実況にも熱がこもる。
「どうした? このままではMPを使い果たしてしまうぞ?」
「MPが足りないなら調達すればいいのですよ」
ソラさんの挑発にセレナちゃんはあえて乗るような形で突撃を開始する。彼女を追い越して三枚の魔導盾がソラさんに襲いかかった。防御のために使っていた魔導盾を、操作してそのままソラさんへぶつけにいったようだ。
――ガンッガンッ!
聖剣に迎撃される魔導盾。その隙に、セレナちゃんは身軽にソラさんの懐に飛び込む。
「――【マナアブソーブ】!」
「くそっ!」
ソラさんが悪態をつく。セレナちゃんの拳が光をまとってその腹部を捉えた。が、ソラさんのHPバーはほとんど減っていないように見える。
『セレナさんの【マナアブソーブ】が決まったぁぁぁぁっ! ソラさんのMPを一定量吸収して自身のMPに変換します! 恐るべき永久機関! これは調整が必要ですね!』
いやいやそれ言っちゃう? 運営さーん?
「【ブライトインパクト】!」
――ゴスッ!
「【リフレクション】! 【自動回復(オートリペア)】!」
聖剣を持っていない左手でセレナちゃんの肩を掴んで思いっきり地面に叩きつけるソラさん。セレナちゃんは全身に黄色い光をまとってダメージを軽減するとすぐさま回復魔法で回復する。
「【リフレクション】は受けたダメージを3分の2にして、軽減した分のダメージを防御力を無視して相手に反射する魔法……やられているように見えて、有利なのは実はセレナの方なのかもしれないな」
クラウスさんの声に私が二人のHPバーを確認すると、全快のセレナちゃんに対してソラさんは既に半分近く削られていた。表情もどこか余裕がなくなっているようにも見える。まあ、対するセレナちゃんは相変わらずクールな表情をしているので比較はできないけれど。
「【フラッシュ】!」
「っ!?」
そんな中、ソラさんがパッと目の前に放った閃光に、セレナちゃんは直撃してしまった。閃光なら眩暈状態になってしまうところだが、セレナちゃんは何やら様子がおかしい。全身から火花のようなものを散らしながらその場にうずくまってしまった。
『セレナさん、状態異常をもらって『故障』状態になってしまいました! これは辛い! 魔導族のデメリットがここにきて仇になってしまったぁぁぁっ!』
『魔導族はどんな状態異常を受けても『故障』っていう麻痺の強化版みたいな状態異常になってしまうからねぇ……その代わり毒とか眩暈とかにはならないからそれがメリットといえばメリットだけど……』
ユメちゃんの実況にレーヴくんがわかりやすい解説をつけてくれた。なるほど、魔導族は確かに大変そう……というかセレナちゃんめちゃくちゃピンチ!?
「くっ……【修復】!」
「遅い! 【フォトンスラッシュ】!」
ソラさんの聖剣が振り下ろされる。防ごうとした魔導盾を一枚破壊して再びセレナちゃんの身体を深々と斬りつけた。
「っつ!?」
なんと、一撃で消し飛ぶかと思っていたセレナちゃんのHPは僅かに残っていた。
「ま、まさか、スキルの【即死回避】か!?」
「そ、【即死回避】ぃぃぃぃぃぃぃ!?!?」
驚きを顕にしているソラさんの言葉に私は絶叫した。まさか、まさかあの強くてかっこいいセレナちゃんが私と同じスキルをチュートリアルで選んでいたなんて!
「はぁ、マジですか。見せるつもりはなかったんですけど……」
「ふっ、面白くなってきたなっ!」
再び振り下ろされた聖剣を魔導盾が受け止める。
「【自動回復】! 【開放(バースト)】!」
――バンッ!
――バンッ!
セレナちゃんが唱えると、HPがみるみる回復していき、そして残っていた二枚の魔導盾が光を放って破壊される。いや、自ら破壊して爆風を放ったんだ。
怯んだソラさんにセレナちゃんがナイフで連撃を見舞う。もう魔導盾はないし、攻撃に徹しているのだろう。反撃をする暇を与えないほどの連撃。ソラさんのHPは徐々に削られる。
そのHPが残り一割を切った時――
――ブウンッ!
という音と共に、ソラさんの身体の周囲を黄色いオーラが覆って、セレナちゃんを弾き飛ばした。
「ふぅ、俺もこれを見せるつもりはなかったんだがな……」
『恐らく初めてのことでしょう! ソラさんのHPが一割を切ったのは! そしてその瞬間、勇者のエクストラスキル【神の領域】が発動したぁぁぁぁっ!』
「くっ……【マナアブソーブ】!」
「無駄だ。【神の領域】は敵を一定の距離に入れないスキル。直接触れなければ使えない【マナアブソーブ】は効かんぞ」
ソラさんの言葉どおり、彼に接近したセレナちゃんはバシッと音を立てて再び弾き飛ばされてしまった。ってことは……あれを突破するには遠距離から攻撃しないといけないってこと?
弾き飛ばされたセレナちゃんは、ゆっくりと起き上がると諦めたように手を上げる。
「――参りました。負けです。MPは0。有効な武器もなし。打つ手なしです」
『おおっとここでセレナさんが降参! これにより、第1回トロイメ杯 優勝者はソラさんに決定いたしましたぁぁぁぁぁっ!!』
「いやぁ、すごい試合でしたね」
「だな。俺たちも頑張らないと!」
キラくんとクラウスさんはかなり興奮してるみたい。
――会場に賞賛の拍手が響く中、私はとあることが気になって、ミルクちゃんの手を引きながらそっとその場を後にした。
0
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。


体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる