24 / 33
24話
しおりを挟む「それは...真実か?」
「俄かには信じられません...しかし、あの場でのあの光というのは人ではありえませんからね...」
王とルーカスがそれぞれに話す。
やはりイレギュラーな展開であるらしい。
「それに今後は私のような王が出ない、と?」
「ええ、そう言っていました。思いが強すぎるが故だったらしいのですが...無事浄化したようなのです。初代の王も成仏しないまま、ずっと残っていたのも綺麗にいなくなってしまいました」
「そうなのか...ところで...ジョウブツとは?」
「えー、そうですね...私がいた世界の宗教で...亡くなったあと、現世に留まらないで極楽浄土という死後の...楽園みたいなところですかね?そこに行くことを言います」
「なるほど、では初代は2000年前亡くなってからずっと楽園には行けなかったということなのだな。でも無事に行けたと...」
「はい」
「...ソンツァル神から説明されなければまた500年後に怯えていたことでしょう」
「うむ。チヨには更なる負担を強いてしまったが、感謝の言葉しかない」
「いいえ、強制的に喚ばれたので仕方ないことでした」
「他には何かあったか?」
「...それだけでした」
少し考えてしまったが、何かないか洗っているように見えただろう。
「そうか、遅くまですまなかった。ゆっくり休んでくれ」
「ありがとうございます」
「本当にありがとうございました。...おやすみなさいませ」
「おやすみなさい...」
そう言って2人が退室し、ようやく1人になれる。
水差しの水を1杯ぐっと飲む。
ふう、とため息をついて目を瞑る。
本当は神から言われたことがもう1つある。
そして、まだチヨの心の中だけに留めている。
「どうしよう...」
それはこの世界から自分が元いた世界...日本に帰ることができるというものだった。
消える直前に言われたため、どういうことなのかと聞くことは叶わなかったのだが。
恐らくこれも特例なのだろうとチヨは思う。
帰る方法は「祈りの間の中央でパトソルニチニークを持ち、ソンツァルを呼ぶ」というものだ。
考えても今、答えは出る気配はない。
とりあえず眠ることにしよう。
今日は色々なことがあって疲れてしまった。
しかし、睡魔は中々来ず、結局寝つくことができたのは明け方になってからのことだった。
---------------------------------
「ね...眠い...」
あまり眠れないまま起きてしまい、朝食を取りながら祈りの間へ行くことを思いつく。
もう切迫した状況にはなく、チヨはゆっくりと自由に過ごすことが許されているのだ。
「大丈夫ですか?」
エマとモニカが心配そうに問いかける。
「終わりましたら眠られてはいかがですか?」
「そうねえ...ではその前に祈りの間へと行ってもいいかしら」
「大丈夫です。そのように手配してきますね」
そういえば、浄化の前にルーカスが時間が欲しいと言っていたが何だろうか。
とにかくそれくらいまでにはチヨ自身がどうするか決めなくては、と思い部屋に戻った。
81
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説

目覚めれば異世界!ところ変われば!
秋吉美寿
ファンタジー
体育会系、武闘派女子高生の美羽は空手、柔道、弓道の有段者!女子からは頼られ男子たちからは男扱い!そんなたくましくもちょっぴり残念な彼女もじつはキラキラふわふわなお姫様に憧れる隠れ乙女だった。
ある日体調不良から歩道橋の階段を上から下までまっさかさま!
目覚めると自分はふわふわキラキラな憧れのお姫様…なにこれ!なんて素敵な夢かしら!と思っていたが何やらどうも夢ではないようで…。
公爵家の一人娘ルミアーナそれが目覚めた異なる世界でのもう一人の自分。
命を狙われてたり鬼将軍に恋をしたり、王太子に襲われそうになったり、この世界でもやっぱり大人しくなんてしてられそうにありません。
身体を鍛えて自分の身は自分で守ります!


はじまりは初恋の終わりから~
秋吉美寿
ファンタジー
主人公イリューリアは、十二歳の誕生日に大好きだった初恋の人に「わたしに近づくな!おまえなんか、大嫌いだ!」と心無い事を言われ、すっかり自分に自信を無くしてしまう。
心に深い傷を負ったイリューリアはそれ以来、王子の顔もまともに見れなくなってしまった。
生まれながらに王家と公爵家のあいだ、内々に交わされていた婚約もその後のイリューリアの王子に怯える様子に心を痛めた王や公爵は、正式な婚約発表がなされる前に婚約をなかった事とした。
三年後、イリューリアは、見違えるほどに美しく成長し、本人の目立ちたくないという意思とは裏腹に、たちまち社交界の花として名を馳せてしまう。
そして、自分を振ったはずの王子や王弟の将軍がイリューリアを取りあい、イリューリアは戸惑いを隠せない。
「王子殿下は私の事が嫌いな筈なのに…」
「王弟殿下も、私のような冴えない娘にどうして?」
三年もの間、あらゆる努力で自分を磨いてきたにも関わらず自信を持てないイリューリアは自分の想いにすら自信をもてなくて…。

婚約破棄された国から追放された聖女は隣国で幸せを掴みます。
なつめ猫
ファンタジー
王太子殿下の卒業パーティで婚約破棄を告げられた公爵令嬢アマーリエは、王太子より国から出ていけと脅されてしまう。
王妃としての教育を受けてきたアマーリエは、女神により転生させられた日本人であり世界で唯一の精霊魔法と聖女の力を持つ稀有な存在であったが、国に愛想を尽かし他国へと出ていってしまうのだった。

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!


リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる