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第1章

⑩【※】

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 亜玲が俺の身体をベッドの上に投げる。幸いにもマットレスがふかふかだったこともあり、身体は痛くない。

 だけど、亜玲自身もベッドの上に乗り上げてきた所為で、俺は身体を硬くした。

「……亜玲」

 小さな声で、亜玲の名前を呼ぶ。

 亜玲は、笑った。その後、舌なめずりをする。

 その姿は、まるで獲物を前にした肉食獣のような姿だ。

 仕草、姿。すべてがあまりにも艶めかしくて、俺の中になにかが膨れ上がってくる。

 亜玲の手が、俺の身体をベッドに押し倒す。突き飛ばそうとするのに、上手くいかない。簡単に押さえ込まれて、亜玲が俺の唇を親指でなぞった。

「可愛い」

 そう呟いて、亜玲が俺の唇と自身の唇を重ねた。

 何度も何度も触れるだけの口づけを施されて、今度は強引に口腔内に舌をねじ込まれる。

 驚いて舌を押し返そうとした。上手く、いかない。

 むしろ、逆効果だった。亜玲が俺の舌と自らの舌を絡める。逃げようとしても、上手く逃げられない。

「んっ、ふぅ、ぁ」

 口元からくちゅくちゅという水音が聞こえてくる。

 俺の身体の芯が、俺自身の意思とは関係なく熱くなっていく。下肢に熱が溜まるのがわかってしまう。

「ぁ、あっ」

 徐々に息苦しくなって、亜玲の胸をたたく。けれど、解放されることはなかった。

 むしろ、亜玲は俺の口の中に唾液を注いでくる。死なないためには、飲むしかなかった。

「んっ」

 ごくんと喉が嚥下して、亜玲の唾液を呑み込む。

 亜玲は、まるで俺のことを褒めるかのように頭を撫でた。……その触れ方が、心地いい。

(な、んで……)

 頭の中が徐々にふわふわとしてきて、気持ちよくて。

 身体からくたりと力が抜けて、亜玲の衣服を掴む気力もなかった。

 唇が離れる。亜玲の口元と、俺の口元を銀色の糸が伝う。……なんだろうか、この、淫靡な光景は。

「……祈」

 亜玲が俺の名前を呼ぶ。

 かと思えば、俺のシャツをまたまくり上げた。胸の先端はまだとがっていて、亜玲につままれると強烈な快楽をもたらした。

「んっ」

 ぴくんと身体が跳ねる。

 亜玲は、俺の乳首をこね回す。どんどん下肢に熱が溜まっていく。視界が涙で潤んで、亜玲を見上げた。

「祈、可愛い」

 亜玲がそう呟いて、もう片方の乳首を舌先で舐めた。

 ぬるりとした舌の感触が気持ちよくて、自然と背中がのけ反る。

「んんっ!」

 やめてほしい。

 頭の中では確かにそう思っている。だけど、やめてほしくないと思う自分もいて。

 ただ、シーツを手で掻くことしか出来なかった。

「あ、あっ、や、やめっ!」

 俺は男だ。なのに、女性のように胸で感じている。

 それが、恥ずかしくてたまらない。羞恥心で穴があったら入りたいとも思ってしまう。

「やーだ。……やめない」

 楽しそうに俺の乳首を咥えて、亜玲がそう呟く。

 やだ、そこで、しゃべらないでほしい。

 息が当たるだけでも、快感を覚えてしまうから……。

「あぁあっ!」

 亜玲が、俺の乳首を甘噛みした。

 微かな痛みと、確かな快感。ぶるりと自身の身体が震える。

「……ははっ、可愛いね」

 そう言って、亜玲の手が俺の身体を伝って、下肢に触れた。

 すっかり熱を持ったソコは、すでに緩く勃ち上がっている。

「もう、脱いじゃおうか」

 きれいな笑みを浮かべた亜玲がそう言って、俺のベルトに手を伸ばす。

 そのまま慣れた手つきでベルトを抜き去り、下着ごとジーンズをずり下げた。

「……可愛い。もう、勃ち上がってる」

 亜玲が、そのきれいな手で俺のものをしごく。

 ゆるゆると陰茎を撫でられて、さらに下肢に熱が溜まっていく。
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