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本編

モテる幼馴染の秘密 10【※】

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 俺の言葉を聞いたマルクスが、息を呑んだのがわかった。

「……ロドルフ」

 マルクスが俺の名前を呼んで、唇にちゅっと音を立ててキスをしてくれる。

 かと思えば、その手が俺の下肢に伸びていく。

「……脱がしても、いいか?」

 そう問いかけられて、俺はほんの少し視線を彷徨わせた。

 ……でも、覚悟を決めよう。

「い、いい、よ……」

 今にも消え入りそうなほどに小さな声でそう言えば、マルクスの手が俺のスラックスにかけられた。

 自然とごくりと息を呑む。心臓が、バクバクと大きく音を鳴らしている。

「うわぁ、すご……」

 俺のスラックスを脱がせたマルクスが、小さくそう呟いた。

「シミになってるな」
「……言うな!」

 先走りが溢れ出て、下穿きにシミが出来ている。それくらい、俺にもよくわかっていた。

 ただ、人に指摘されるのと自分で理解するのは、全然違う。あと、言葉にされるといたたまれなくてたまらない。

「だ、大体、俺ばっかり脱がされて……理不尽だ!」

 そんなの、ただの言いがかりだった。

「お前も脱げ!」

 マルクスの意識を、俺の身体から逸らしたくて。俺は、マルクスの上着に手をかけた。

 騎士団のエンブレムが刺繍された上着は、割と重量があった。……こんなのを着ながら、あんなにも動いているのか。

「じゃあ、脱がせてくれ」

 マルクスが、上着を脱ぎ捨ててそう囁いてくる。

 ……これ、なんなんだろうか。

 心の奥底でそう思いつつ、俺は震える手でマルクスのシャツのボタンを外していく。

 一つ。二つ。外すたびに、俺の心臓が大きく音を鳴らす。少しずつ露わになるマルクスの肌に、柄にもなく欲情している。

「し、下は、さすがに、自分で脱げ……よ」

 マルクスのシャツの前をはだけさせながら、震える声でそう告げた。

 多分、今の俺は耳まで真っ赤だ。

(なんだろ。俺の、知らない奴……みたいだ)

 マルクスの胸には、俺の知らない傷がたくさんあった。きっと、これらは仕事中についた傷なんだろう。

 浅そうなものから、深そうなものまで。いろいろな傷がついていて、こいつは本当にすごい奴なんだって、今更理解した。

「……俺のも、触ってみるか?」

 そんな俺の考えも知らないマルクスが、下穿き一枚になって、そう問いかけてくる。

「なんで」
「いや、なんか、俺の胸をじっと見つめてたから」

 そう言ったマルクスが、俺の手を取って自身の胸に当てる。……どくどくと、大きな音を鳴らす心臓。

 あぁ、こんな気持ちになっているのは俺だけじゃないんだ。その事実が、嬉しい。でも、それ以上に――苦しい。

「……お前の胸、分厚い」

 マルクスにされたように、ペタペタと胸に触れていると、マルクスが笑った。

「くすぐったかったか?」

 顔を見てそう尋ねれば、マルクスはゆるゆると首を横に振った。

「いや、なんだろうな。……ロドルフに触られてるって思ったら、興奮した」
「……もうすでに、興奮してるじゃん」

 下穿きの中で強く主張をしているソレを見つめつつ、俺はそう呟いた。

 けど、マルクスは首を横に振る。

「いや、もっと興奮した」

 はっきりとそう言われて、本当にいたたまれない。

 そっと視線を逸らせば、手を掴まれる。驚いてマルクスのほうに視線を向ければ、マルクスが俺の人差し指を咥えた。

「……っ」

 ねっとりとした動きで、舐められた。

「ぁ、あっ、マルクスっ……!」

 舌で舐められて、身体にぞくぞくとしたなにかが這いまわってくる。

「ぅ、だめっ……!」

 今度は指の間に舌を這わせられた。ぬるりとした温かいもの。じゅうっと指を吸われて、身体の中が燃えるみたいに熱くなる。

「……指、感じる?」
「しゃ、べるなぁ……!」

 俺の指を咥えたまま、そう問いかけてくるマルクス。

 ぶんぶんと首を横に振って、マルクスの口腔内から指を引き抜こうと頑張ってみる。

 しかし、身体に上手く力が入ってくれなくて、それさえ難しかった。
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