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本編

モテる幼馴染の秘密 9【※】

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 すると、マルクスの大きな手が、俺の薄い胸に触れた。

 瞬間、びくりと俺の身体が跳ねる。

「……驚いたか?」

 マルクスが、きょとんとした面持ちでそう問いかけてきた。

 なので、俺は少しだけ躊躇ってこくんと首を縦に振る。

「けど、大丈夫。……触っていい、から」

 なんだか無性に恥ずかしくて、マルクスから顔を背ける。けど、言葉はしっかりと伝わっていたらしい。

 マルクスは俺の胸をペタペタと手のひらで触れてくる。なんだか、変な感覚だった。

「……きれいな胸だな」

 小さな声でマルクスがそう告げてくるので、俺はいたたまれない。

 そもそも、愛撫ってこういうものではないだろう。

(もっと、ほら。なんていうか……)

 もっと際どいところに触れるとか、快感を与えるとか。そういうものだと思うのに。

 今のマルクスの触れ方は、どちらかと言えば友人にべたべた触れるみたいな感じで――。

「あっ」

 と思っていると、マルクスの指が俺の胸の突起に触れる。

 そのとき、今までとはなんだか違う感覚が身体中を駆け巡った。自然と声が漏れてしまう。

「ここって、男でも感じるのか?」

 マルクスがそう言って、俺の乳首をつまむ。

 それだけで、言葉にしがたい快感が身体中を這いまわる。

「ぁ、あっ、そ、そこ」

 マルクスの指が、俺の乳首を弄ってくる。つまんで、はじいて、こねくり回して。

 それだけで、バカみたいに気持ちがいい。

 ぴくん、ぴくんと身体を跳ねさせる俺の姿は、マルクスには一体どういう風に映っているのか。

 ……怖くて、聞けない。

「ここ、いいのか?」

 耳元に唇を近づけて、マルクスがそう問いかけてくる。

 その声が身体中を敏感にして、さっきよりももっと感じてしまった。

「ぁっ、い、いい、きもち、いぃ……!」

 自然と口からそんな声が漏れて、快感から涙が溢れて視界が歪む。

「……ん、そっか」

 俺の耳元で、マルクスがそう囁く。その声だけで、おかしくなりそうだった。

 ……俺、バカみたいにマルクスのことが好き……だった、らしい。

「じゃあ、こういうの、どうだ?」

 マルクスがそう続ける。そして――俺の耳朶を、甘噛みした。

「ぁぅ、んっ!?」

 身体が跳ねた。

「ぁ、あっ、や、やめ、それ、やだぁ……!」

 マルクスの舌が、俺の耳の孔に入ってくる。そのままぴちゃぴちゃと音を立てて舐められて、身体中が途方もなく熱くなる。

 至近距離で聞こえる水音は、俺の気持ちを淫靡にしていく。先ほどまで緩く勃ち上がっていた陰茎は、もう完全に勃ち上がっている。それは、俺にもよくわかる。

「やだ、じゃない。……感じてくれているんだろ?」
「ぁ」

 マルクスの指が、俺の乳首に爪を立てる。

 ぴりりとした快感が身体中を駆け巡って、はらりと涙が零れた。

「ひぅ、ぁ、も、むり、むりぃ……!」

 なんだろうか。

 俺の口から零れる声は、ひどく甘ったるくて、胸焼けしてしまいそうなほどだ。

 ぶんぶんと首を横に振って、マルクスの愛撫から逃れようとする。でも、マルクスは俺の身体をしっかりと押さえつけている。

 その所為で、逃げられない。俺は、ソファーの上で身体を跳ねさせることしか出来ない。

「ぁあっ! だ、だめ、だめ……!」
「ダメじゃない。……ここだって、ほら」

 そう言ったマルクスが、俺の下肢に手を伸ばす。

 スラックスの上から硬くなった陰茎に触れられて、もうどうしたらいいかがわからない。

「ここ、硬くなってる。……俺に触れられて、感じた?」

 意地の悪い問いかけだと思った。

 けど、答えなくちゃ。

 その一心で、俺はこくこくと首を縦に振る。

「か、かんじた……」

 今にも消え入りそうなほどに、小さな声だった。でも、熱を孕んだ、欲情のこもった声だ。

「マルクスに触られて……かんじ、た、からぁ……!」

 こんなの、正気だったら口にすることも出来ない言葉だ。

 だけど、今の俺は何処か満たされていて。たった一度の触れ合いでもいい。

 ……マルクスに抱いてほしかった。
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