1 / 15
本編
モテる幼馴染の秘密 1
しおりを挟む
俺の実家でもある、ヘルテル男爵家の離れ。
そこで、俺はほかでもない幼馴染の男、マルクスと一緒にいた。
「っていうか、マルクスはどういう相談がしたいんだ……?」
つい先日。マルクスが俺の元をいきなり訪れた。
そして、神妙な面持ちで「お前にしか出来ない相談がある」と言ってきたのだ。
その姿があまりにも思い詰めていたので、俺は了承。
今日、この時間に離れに来てほしいとマルクスに言った。
『お前にしか出来ない相談』ということは、他の人間には聞かれたくないことだろう。
そう思ったので、俺は気を回して使用人たちにも近寄らないようにと、指示を出した。あと、両親にも「マルクスと二人で話がしたいんだ」と言って、近寄らないようにしてもらった。
なので、この離れどころか、今、この付近には俺とマルクスしかいない。
「……あの、さ」
ティーカップをテーブルの上に置いて、俺は小首をかしげる。
そのままマルクスの真っ青な目を見つめれば、奴は露骨に視線を逸らした。
……もしかして、なにかあったのだろうか?
「俺にしか出来ない相談って、なに?」
直球だったかもしれない。が、このまま無言で見つめ合っていても、気まずいだけだ。
「……俺、マルクスのこと、この世界で一番よく理解してるって、自負してる」
産まれてからずっと、一緒だったのだ。
幼馴染とか、親友とか。それ以上の絆……みたいなのが、俺たちの間にはある。
「だからさ、なんでも、話せよ」
静かにそう促せば、マルクスが手を組んでその上に顎を置いた。
視線は下を向いており、やっぱりなにかがあったんだろう。
もしかして、騎士団のほうでなにかがあったのだろうか? それとも、恋愛関係だろうか?
(マルクス、本当にモテるからな……)
男女問わず、マルクスのファンは多い。
……恋愛未経験、交際経験ゼロの俺とは、全然違う。自分で言っていて、惨めだけれどさ。
「……ロドルフ」
「うん」
「俺が今からなにを言っても、驚かずに聞いてくれ。あと、笑わないでくれ」
「え、あ、あぁ」
笑うような要素が、あるのだろうか?
(驚かないでくれというのはともかく、笑う要素なんてあるのか……?)
俺は、大切な幼馴染の悩みを笑うつもりなんてない。けど、一応気を引き締めていよう。
その一心で気を引き締めれば、マルクスが大きく息を吐いて、顔を上げた。
「――俺、童貞なんだ」
「……は?」
だけど、さすがにその相談は予想もしていなくて。
俺は、ただぽかんとしながら間抜けな声を上げることしか出来なかった。
そこで、俺はほかでもない幼馴染の男、マルクスと一緒にいた。
「っていうか、マルクスはどういう相談がしたいんだ……?」
つい先日。マルクスが俺の元をいきなり訪れた。
そして、神妙な面持ちで「お前にしか出来ない相談がある」と言ってきたのだ。
その姿があまりにも思い詰めていたので、俺は了承。
今日、この時間に離れに来てほしいとマルクスに言った。
『お前にしか出来ない相談』ということは、他の人間には聞かれたくないことだろう。
そう思ったので、俺は気を回して使用人たちにも近寄らないようにと、指示を出した。あと、両親にも「マルクスと二人で話がしたいんだ」と言って、近寄らないようにしてもらった。
なので、この離れどころか、今、この付近には俺とマルクスしかいない。
「……あの、さ」
ティーカップをテーブルの上に置いて、俺は小首をかしげる。
そのままマルクスの真っ青な目を見つめれば、奴は露骨に視線を逸らした。
……もしかして、なにかあったのだろうか?
「俺にしか出来ない相談って、なに?」
直球だったかもしれない。が、このまま無言で見つめ合っていても、気まずいだけだ。
「……俺、マルクスのこと、この世界で一番よく理解してるって、自負してる」
産まれてからずっと、一緒だったのだ。
幼馴染とか、親友とか。それ以上の絆……みたいなのが、俺たちの間にはある。
「だからさ、なんでも、話せよ」
静かにそう促せば、マルクスが手を組んでその上に顎を置いた。
視線は下を向いており、やっぱりなにかがあったんだろう。
もしかして、騎士団のほうでなにかがあったのだろうか? それとも、恋愛関係だろうか?
(マルクス、本当にモテるからな……)
男女問わず、マルクスのファンは多い。
……恋愛未経験、交際経験ゼロの俺とは、全然違う。自分で言っていて、惨めだけれどさ。
「……ロドルフ」
「うん」
「俺が今からなにを言っても、驚かずに聞いてくれ。あと、笑わないでくれ」
「え、あ、あぁ」
笑うような要素が、あるのだろうか?
(驚かないでくれというのはともかく、笑う要素なんてあるのか……?)
俺は、大切な幼馴染の悩みを笑うつもりなんてない。けど、一応気を引き締めていよう。
その一心で気を引き締めれば、マルクスが大きく息を吐いて、顔を上げた。
「――俺、童貞なんだ」
「……は?」
だけど、さすがにその相談は予想もしていなくて。
俺は、ただぽかんとしながら間抜けな声を上げることしか出来なかった。
212
お気に入りに追加
488
あなたにおすすめの小説

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
捨て猫はエリート騎士に溺愛される
135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。
目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。
お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。
京也は総受け。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる