【完結】【R18】恋愛未経験なのに、モテる騎士の幼馴染に「童貞を拗らせた責任を取れ」と迫られています。正直知らない。

すめらぎかなめ(夏琳トウ)

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本編

モテる幼馴染の秘密 1

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 俺の実家でもある、ヘルテル男爵家の離れ。

 そこで、俺はほかでもない幼馴染の男、マルクスと一緒にいた。

「っていうか、マルクスはどういう相談がしたいんだ……?」

 つい先日。マルクスが俺の元をいきなり訪れた。

 そして、神妙な面持ちで「お前にしか出来ない相談がある」と言ってきたのだ。

 その姿があまりにも思い詰めていたので、俺は了承。

 今日、この時間に離れに来てほしいとマルクスに言った。

 『お前にしか出来ない相談』ということは、他の人間には聞かれたくないことだろう。

 そう思ったので、俺は気を回して使用人たちにも近寄らないようにと、指示を出した。あと、両親にも「マルクスと二人で話がしたいんだ」と言って、近寄らないようにしてもらった。

 なので、この離れどころか、今、この付近には俺とマルクスしかいない。

「……あの、さ」

 ティーカップをテーブルの上に置いて、俺は小首をかしげる。

 そのままマルクスの真っ青な目を見つめれば、奴は露骨に視線を逸らした。

 ……もしかして、なにかあったのだろうか?

「俺にしか出来ない相談って、なに?」

 直球だったかもしれない。が、このまま無言で見つめ合っていても、気まずいだけだ。

「……俺、マルクスのこと、この世界で一番よく理解してるって、自負してる」

 産まれてからずっと、一緒だったのだ。

 幼馴染とか、親友とか。それ以上の絆……みたいなのが、俺たちの間にはある。

「だからさ、なんでも、話せよ」

 静かにそう促せば、マルクスが手を組んでその上に顎を置いた。

 視線は下を向いており、やっぱりなにかがあったんだろう。

 もしかして、騎士団のほうでなにかがあったのだろうか? それとも、恋愛関係だろうか?

(マルクス、本当にモテるからな……)

 男女問わず、マルクスのファンは多い。

 ……恋愛未経験、交際経験ゼロの俺とは、全然違う。自分で言っていて、惨めだけれどさ。

「……ロドルフ」
「うん」
「俺が今からなにを言っても、驚かずに聞いてくれ。あと、笑わないでくれ」
「え、あ、あぁ」

 笑うような要素が、あるのだろうか?

(驚かないでくれというのはともかく、笑う要素なんてあるのか……?)

 俺は、大切な幼馴染の悩みを笑うつもりなんてない。けど、一応気を引き締めていよう。

 その一心で気を引き締めれば、マルクスが大きく息を吐いて、顔を上げた。

「――俺、童貞なんだ」
「……は?」

 だけど、さすがにその相談は予想もしていなくて。

 俺は、ただぽかんとしながら間抜けな声を上げることしか出来なかった。
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