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第2章
見知らぬ部屋 7
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「連絡、入れてくれたのか?」
きょとんとしつつジェムを見つめれば、ジェムは頷いた。そして、床に腰を下ろす。
寝台に腰掛けている俺は、ただジェムの顔を見下ろした。
「あぁ、もちろん、本当の理由は言っていない」
「……そ、っか」
それならば、安心だ。まさか、媚薬か興奮剤に犯されて、性行為に耽っていたなんて言えるわけがない。……そんなことになったらクビだ、クビ。
「一応倉庫の近くで倒れていて、そのまま運んだことにした。そのうえで、熱が高いから今日は休ませると」
ジェムが淡々とそう言う。……よかった。それならば、怪しまれることはないだろう。
ほっと胸をなでおろしていれば、ジェムが俺の顔を見つめてくる。……なにか、ついているのだろうか?
「……ジェム?」
ぼうっとジェムの名前を呼ぶと、ジェムがハッとしたように顔を逸らす。その顔は、仄かに赤い。
「いや、なんでもない。……ところで、フリントはなにか気になることはあるか? あったら、答えるが……」
気を取り直したようにそう言うジェムに、俺は思考回路を張り巡らせる。……とりあえず、無断欠勤の件は大丈夫そうだし。
「えぇっと、この部屋は、誰の部屋だ?」
室内を見渡して、そう問いかける。見たところ、宿屋とかそういう類のところではないような気がする。
うまく言葉には出来ないけれど、生活感があるというか、馴染んでいるというか……。
「ここは俺とクォーツが共同で借りているアパートの一室だ。ちょうど、物置になっていた場所だな」
「……そっか」
なんでも、二人は俺を自身のアパートに運んでくれたらしい。……ちょっといろいろと危機的状況なのかもしれないが、変なところに運ばれるよりはマシだ。病院とかに行っても、面倒なことになるだろうし。
「……前々から思ってたけど、お前ら共同生活しているんだな」
それは間違いなく、今聞くことじゃない。それはわかっていたけれど、気になったのでそう問いかける。
俺の問いかけを聞いてジェムは驚いたように目を見開くものの、肩をすくめていた。
「まぁ、俺らは金を貯める必要があるからな。……基本的に、こういうところは折半。節約している」
「……そっか」
ジェムやクォーツほどの冒険者ともなれば、あっさりとある程度の金を貯められそうなものだ。が、未だに金を貯めているということは、もしかしたらかなりの大金なのかもしれない。……俺が口を挟むことじゃない。
「俺もクォーツも、いろいろと訳ありでな。……こうやって共同生活をしているほうが、都合がいいんだ」
「……ふぅん」
俺には意味がわからなかったけれど、こいつらがそう言うのならばそうなのだろう。納得した。
「……とりあえず、助けてくれてありがと。……俺、もうちょっとしたら自分のアパートに帰るから」
いつまでもお世話になるわけにはいかない。だって、こいつらだって仕事があるんだ。俺が居候するのもある意味迷惑だろう。
……っていうか、ここに居たら余計に抱かれるような気がする。俺の身体が、持たない。
「……フリント」
だが、ふとジェムが真剣な声で俺を呼び止めた。……なんだろうか。そう思って、俺が奴の顔を見つめる。
「正直、これは提案するべきかしないべきか、迷っていたんだ。……だが、背に腹はかえられない」
「……あぁ」
なんだろう。歯切れが悪い。……ジェムのこういう態度は珍しいっていうか、なんていうか。
(こいつ、普段豪快だしな……)
豪快すぎて、ちょっとついて行けないことも多い男なのに。
そう思いつつ俺が眉をひそめていれば、ジェムは意を決したように俺のことを見つめた。
「……フリント、お前、今日からここに住め」
そして、少しためらいがちにそう言ってきた。
きょとんとしつつジェムを見つめれば、ジェムは頷いた。そして、床に腰を下ろす。
寝台に腰掛けている俺は、ただジェムの顔を見下ろした。
「あぁ、もちろん、本当の理由は言っていない」
「……そ、っか」
それならば、安心だ。まさか、媚薬か興奮剤に犯されて、性行為に耽っていたなんて言えるわけがない。……そんなことになったらクビだ、クビ。
「一応倉庫の近くで倒れていて、そのまま運んだことにした。そのうえで、熱が高いから今日は休ませると」
ジェムが淡々とそう言う。……よかった。それならば、怪しまれることはないだろう。
ほっと胸をなでおろしていれば、ジェムが俺の顔を見つめてくる。……なにか、ついているのだろうか?
「……ジェム?」
ぼうっとジェムの名前を呼ぶと、ジェムがハッとしたように顔を逸らす。その顔は、仄かに赤い。
「いや、なんでもない。……ところで、フリントはなにか気になることはあるか? あったら、答えるが……」
気を取り直したようにそう言うジェムに、俺は思考回路を張り巡らせる。……とりあえず、無断欠勤の件は大丈夫そうだし。
「えぇっと、この部屋は、誰の部屋だ?」
室内を見渡して、そう問いかける。見たところ、宿屋とかそういう類のところではないような気がする。
うまく言葉には出来ないけれど、生活感があるというか、馴染んでいるというか……。
「ここは俺とクォーツが共同で借りているアパートの一室だ。ちょうど、物置になっていた場所だな」
「……そっか」
なんでも、二人は俺を自身のアパートに運んでくれたらしい。……ちょっといろいろと危機的状況なのかもしれないが、変なところに運ばれるよりはマシだ。病院とかに行っても、面倒なことになるだろうし。
「……前々から思ってたけど、お前ら共同生活しているんだな」
それは間違いなく、今聞くことじゃない。それはわかっていたけれど、気になったのでそう問いかける。
俺の問いかけを聞いてジェムは驚いたように目を見開くものの、肩をすくめていた。
「まぁ、俺らは金を貯める必要があるからな。……基本的に、こういうところは折半。節約している」
「……そっか」
ジェムやクォーツほどの冒険者ともなれば、あっさりとある程度の金を貯められそうなものだ。が、未だに金を貯めているということは、もしかしたらかなりの大金なのかもしれない。……俺が口を挟むことじゃない。
「俺もクォーツも、いろいろと訳ありでな。……こうやって共同生活をしているほうが、都合がいいんだ」
「……ふぅん」
俺には意味がわからなかったけれど、こいつらがそう言うのならばそうなのだろう。納得した。
「……とりあえず、助けてくれてありがと。……俺、もうちょっとしたら自分のアパートに帰るから」
いつまでもお世話になるわけにはいかない。だって、こいつらだって仕事があるんだ。俺が居候するのもある意味迷惑だろう。
……っていうか、ここに居たら余計に抱かれるような気がする。俺の身体が、持たない。
「……フリント」
だが、ふとジェムが真剣な声で俺を呼び止めた。……なんだろうか。そう思って、俺が奴の顔を見つめる。
「正直、これは提案するべきかしないべきか、迷っていたんだ。……だが、背に腹はかえられない」
「……あぁ」
なんだろう。歯切れが悪い。……ジェムのこういう態度は珍しいっていうか、なんていうか。
(こいつ、普段豪快だしな……)
豪快すぎて、ちょっとついて行けないことも多い男なのに。
そう思いつつ俺が眉をひそめていれば、ジェムは意を決したように俺のことを見つめた。
「……フリント、お前、今日からここに住め」
そして、少しためらいがちにそう言ってきた。
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