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第2章

見知らぬ部屋 5

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 胸を揺らして呼吸を整えていれば、俺の身体が一気にひっくり返された。驚いて目を見開けば、クォーツが俺の身体の上に跨っている。そして、その顔をぐっと近づけてきた。

「……くぉー、つ?」

 ぼうっとする意識の中、舌っ足らずな声でクォーツの名前を呼ぶ。すると、奴は俺の唇に口づけてきた。

 角度を変えて触れるだけのものを数回。かと思えば、舌を差し込まれて口腔内をかき回される。

「っはぁ、可愛い。……ねぇ、もう一回、いいですか……?」

 俺の顔を至近距離で見つめて、クォーツが真剣な声でそう囁いてくる。……いいもなにも。

「だ、めだ……」

 顔を背けて、口元に手を当てて拒否の言葉を口にする。だって、そうじゃないか。眠る前に貪られるように抱かれて、さっきも抱かれて。こんなの、普通に考えて俺の身体が持たないだろ!

「なんで、ですか?」

 なのに、クォーツは俺の言葉の意味をちっとも分かっていないようだった。きょとんとしつつそう問いかけられて、俺はしびれを切らしそうになる。重苦しい身体を思いきり起こして、クォーツの額に頭突きを食らわせた。

「……っ!」

 クォーツが驚いたように目を見開く。

「お前は……抱いているほうだから、いいかもしれない。でも、俺は抱かれるほうなんだぞ!?」

 それに、根本の体力も全然違う。あと、ここが何処なのか教えてもらうほうが先決だ。……先ほどは、流されてしまったけれど。

「フリント」
「もう嫌だ。……なんていうか、もう嫌だ……」

 もう嫌の理由はわからない。ただ、なんていうかこいつらの下で喘いでいた俺を思い出すと、羞恥心で死にたくなる。

 毛布を手繰り寄せて、抱きしめる。クォーツがおろおろとしているようだけれど、無視だ。

「フリント……?」
「お前なんて、本当に嫌いだ」

 我ながら子供っぽいと思う。クォーツの様子を窺うように上目遣いで奴を見れば、何故か奴は息を呑んでいた。

 ……心なしか、顔が赤いような気がする。それと、なによりも。

(な、なんで、興奮して……!)

 クォーツの陰茎が、また勃ち上がり始めていた。……頬が引きつる。

「フリント、今の上目遣いで、俺、興奮しちゃったんですけれど?」

 肩を押されて、また寝台に倒される。……ま、待て待て!

「なんだよ! お前、絶倫か……!?」

 やけくそになって、必死に手足を動かす。けれど、元よりこいつらより体力が劣る俺である。大した抵抗にはならず、すぐに疲れてしまった。……考えてみてほしい。ずっと抱かれていたのだ。体力の消耗は激しい。

「絶倫とか、そういうんじゃないです。……フリント見てると、こうなっちゃうんですよ」
「ひぃっ」

 クォーツが俺の手を取って、自身の肉棒を握らせる。……これが自分のナカに挿っていたのかと思うと、なんていうか怖い。

(こんなの……受け入れていたのか……)

 そりゃあ、奥の奥まで届くはずだ。それを実感して、そっと視線を逸らす。

「フリントのナカに、挿ってもいいですか?」

 丁寧に問いかけられるが、そんなの無理に決まっている。こちらの体力は並の成人男性なのだ。それに、もう精力が尽きている。

「そ、そもそも、もう俺、出ないし……」
「そんなのどっちでもいいじゃないですか。……ね?」

 どっちでもいいわけがない。だって、俺は男だ。このままだと、本当の意味でこいつらの女にされる。

(そんなの、絶対にごめんだ……!)

 そう思うからこそ、俺は思考回路を動かしてクォーツをどう萎えさせるかを考えていた……のだが。

「お前ら、朝から盛っていたのか」

 扉がなんの前触れもなく開いて、降ってきたのは呆れたような声。

 恐る恐るそちらに視線を向ける。……そこには、呆れたような表情を浮かべるジェムがいた。
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