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第2章

見知らぬ部屋 3【※】

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「な、に言って……」

 クォーツの顔を見つめる。さすがに、冗談だよな……?

 そう思っていたのに、俺を見つめるクォーツの目は真剣だった。だから、察する。こいつは本気なのだと。

「ほら、フリント。……言えますよね?」
「……ぅ」

 奴の手が、やたらと厭らしい動きをする所為で、身体が震えた。

(というか、どういう風におねだりすればいいんだ……?)

 言ってはなんだが、おねだりの方法なんてわからない。その所為で、俺の頭が混乱する。けれど、欲望だけはどんどん大きくなって。

 ……どうにでもなれと思ったからなのか、俺は掴まれている手の指を、クォーツの指に絡めた。

「ど、どう言えば、いいのか……わからない……んだけれど」

 頭の中がぐちゃぐちゃで、自分でもなにを思っていて言っているのかがわからない。

 だけど、口が自然と動く。

「も、俺、我慢したくない……」
「……フリント」
「……お願い」

 クォーツに顔を向けて、自然と上目遣いになる。クォーツが息を呑んで、手の動きを速めた。

「っはぁ、もう、無理です。……挿れたい」

 小さくそう呟いたかと思うと、鈴口を刺激された。そこから溢れた先走りを竿の部分に塗りたくって、そのぬめりで快楽を感じる。口からは自然と息が零れて、びくんびくんと身体が反応した。

「ぁ、あっ!」
「出そう? いいですよ、ほら、出してください」

 耳元でそう囁かれるとほぼ同時に――快楽が爆発した。大きく身体を跳ねさせて、鈴口から白濁がほとばしる。

 しばらくの間はその快楽に浸っていたものの、後から気が付いた。……俺、スラックスと下穿き履いたままだった。

(……うわぁ、なんていうか)

 感覚として、ひどい。冷静になれば、自分の言動の痛さとか、いろいろなことに羞恥心を刺激される。

「ふふっ、出しちゃいましたね」

 そんな俺の気持ちなんて知りもしないクォーツは、端的にそう告げると俺の身体を寝台にうつぶせにさせた。

「お、おい、なに、して……」

 クォーツの手が俺の腰を高く持ち上げる。尻を突き出すような格好にされて、スラックスと下穿きをずり下ろされた。

「あ、まだほぐれてますね」
「ひぃっ」

 後孔になにかが触れた。……なにかなんて言っているけれど、その正体を知っている。クォーツの指だ。

「や、やめっ!」

 容赦なく指を挿れられて、心が焦りだす。顔を後ろに向けて、クォーツを見つめるものの、奴は気にも留めなかった。

「後ろで感じてほしいんですよね。……まぁ、媚薬とかないと無理ですかね、まだ」
「……ま、だって」

 正直、そんな身体にされたら困る。いや、もうすでに半分くらいその状態なのかもしれないけれど、いざそういうことを言われたら顔から血の気が引くような感覚だった。

「だって、フリントは俺とジェムにとっての女の子になるんですよ」
「む、無理、だって……」

 いろんな意味でそれは無理だ。ゆるゆると首を横に振っていれば、クォーツはきょとんとしていた。

「いつか、本気で孕ませたいって思ってるんですけれど……」
「そ、それは本当に無理だ!」

 俺は男だ。どれだけ精を注がれたところで、孕むことなんて未来永劫あるわけがない。

 抗議するのに、クォーツは俺の後孔から指を抜いてくれない。それどころか、容赦なくナカを掻きまわされる。

 クォーツの指には俺の先走りがべったりとついていて、それが潤滑油の役割を果たしているようだった。

 合わせ、クォーツの言葉通りまだ後孔はほぐれているらしく、痛みなんてちっとも感じない。むしろ……変な感じだ。

「んっ」

 粘膜を刺激されて、喉が鳴る。違う、違う。こんなの、俺じゃなくて――!

「ぁっ、あっ」

 一点をクォーツの指がかすめて、身体がびくんと跳ねる。ダメだ。ダメだ。こんなこと、こんなこと――。

「んっ、ぁぁっ!」

 必死に枕を手繰り寄せて、それに顔をうずめる。ぎゅっと枕を握って、快楽を逃そうとも試みる。

 ……無理だった。
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