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第2章
不可抗力で 1【※】
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「……フリント」
ジェムが俺の名前を呼ぶ。微かに歪む視界の中、奴の手が俺の頬を撫でた。
するりと撫でられて、息を呑む。
「……ジェム」
「いいんだな?」
そう問いかけられて、ハッとした。
俺は今、なんでもするって言った。それすなわち……そういうことなのかもしれない。
「……いい」
けれど、辛さのほうが勝った。ぼうっとしつつ、頷く。
すると、また唇が重なった。触れるだけの口づけを繰り返したかと思えば、舌を差し込まれる。
「ぁ、じぇ、む」
その舌に、自らの舌をこすりつける。こうすると、少しだけ身体が楽になるような気がしたから。
ジェムの舌に意識を集中させていると、耳元に息がかかった。驚いて身を跳ねさせれば、ぬるりとしたものが耳に入ってくる。
「二人で楽しまないでください。……俺も、交ぜてくださいよ」
……クォーツだった。
クォーツの奴は、俺の耳をくちゅくちゅと音を立てて舐める。身をよじって逃げようとするが、ジェムに抱きこまれていることもあり逃げられなかった。
「ジェム。俺も、フリントとキスしたいです」
その言葉を聞いたためなのか、ジェムの唇が俺から離れた。俺とジェムの間に、銀色の糸が伝う。惚けた頭でも、わかる。
この光景はとても淫靡なものだと。
「こっち、向いてください」
俺の耳元で、クォーツがそう囁く。まるで主人に従う従僕のように、俺はその声に逆らうことなくそちらに顔を向ける。
瞬間、唇をふさがれた。
「んっ、んぅ」
クォーツの口づけは、その丁寧な口調には似合わないほどに荒々しいものだった。俺の口腔内を容赦なく掻きまわす舌。頬の内側をつつかれたかと思うと、舌を絡め取られる。ぐちゅぐちゅという水音が、口元から聞こえてくる。
「んっ」
さらには、ほんの少し上を向かされて、唾液を注ぎ込まれた。生理現象なのだろう。俺はなんのためらいもなくその唾液を飲む。
「……いい子、ですね」
クォーツの顔が俺の唇から離れて、にたりと笑った。……その表情は、とても淫靡なもの。身体の奥底から、熱が這い上がってくるような感覚に襲われる。
「ぁ、くぉー、つ」
目の前の男の名前を呼ぶ。そうすれば、奴の手が俺の腰を撫でた。自然と身体が跳ねる。
「あぁ、興奮してきました。……こんな、可愛い反応をしてくれるなんて」
クォーツの目に、確かな情欲が宿る。……背筋がゾクゾクとする。呼吸がどんどん荒くなって、潤んだ目でクォーツを見つめてしまう。
「……もう、キスは満足したか?」
俺の真後ろからの問いかけに、クォーツはこくんと首を縦に振っていた。
「それに、これ以上焦らすのは得策じゃなさそうですしね」
そう言ったクォーツが、また俺の腰を撫でた。かと思えば、その手のひらが移動して……下肢に伸びる。
「ぁっ」
声が漏れる。だって、仕方がない。すっかり昂った陰茎をスラックス越しに、なんの前触れもなく触れられたのだから。
「ほら、興奮してます」
その言葉は、図星だった。その所為で、なにも言えない。
「クォーツ、あんまり虐めてやるな。……フリントの気が変わったら最悪だろう」
「それも、そうですね」
気が変わったら最悪って、こいつら側のことだよな……?
頭の中に浮かんだその考えが、一瞬で消える。ジェムの奴が、俺の身体を後ろから羽交い絞めにしてきたのだ。
「じぇ、ジェム……!」
「あんまり暴れるな。……痛くないようにしてやるから」
俺のつむじに口づけを落として、ジェムがそう続けた。痛くないようにって……!
(つまり、俺が抱かれる側っ……!)
そりゃあ、そうだろうと思っていたけれど! だけど、いきなり突きつけられると頬が引きつるのがわかった。
なのに、俺の身体は昂り続ける。じんじんと身体の奥が疼いて、もう辛くて苦しくて。
(も、それでもいいや……)
抱かれるほうだろうが、抱くほうだろうが、なんでも構わない。とにかく、楽になりたくてたまらない。
だから、俺はジェムの腕から逃れようとするのを止めた。
ジェムが俺の名前を呼ぶ。微かに歪む視界の中、奴の手が俺の頬を撫でた。
するりと撫でられて、息を呑む。
「……ジェム」
「いいんだな?」
そう問いかけられて、ハッとした。
俺は今、なんでもするって言った。それすなわち……そういうことなのかもしれない。
「……いい」
けれど、辛さのほうが勝った。ぼうっとしつつ、頷く。
すると、また唇が重なった。触れるだけの口づけを繰り返したかと思えば、舌を差し込まれる。
「ぁ、じぇ、む」
その舌に、自らの舌をこすりつける。こうすると、少しだけ身体が楽になるような気がしたから。
ジェムの舌に意識を集中させていると、耳元に息がかかった。驚いて身を跳ねさせれば、ぬるりとしたものが耳に入ってくる。
「二人で楽しまないでください。……俺も、交ぜてくださいよ」
……クォーツだった。
クォーツの奴は、俺の耳をくちゅくちゅと音を立てて舐める。身をよじって逃げようとするが、ジェムに抱きこまれていることもあり逃げられなかった。
「ジェム。俺も、フリントとキスしたいです」
その言葉を聞いたためなのか、ジェムの唇が俺から離れた。俺とジェムの間に、銀色の糸が伝う。惚けた頭でも、わかる。
この光景はとても淫靡なものだと。
「こっち、向いてください」
俺の耳元で、クォーツがそう囁く。まるで主人に従う従僕のように、俺はその声に逆らうことなくそちらに顔を向ける。
瞬間、唇をふさがれた。
「んっ、んぅ」
クォーツの口づけは、その丁寧な口調には似合わないほどに荒々しいものだった。俺の口腔内を容赦なく掻きまわす舌。頬の内側をつつかれたかと思うと、舌を絡め取られる。ぐちゅぐちゅという水音が、口元から聞こえてくる。
「んっ」
さらには、ほんの少し上を向かされて、唾液を注ぎ込まれた。生理現象なのだろう。俺はなんのためらいもなくその唾液を飲む。
「……いい子、ですね」
クォーツの顔が俺の唇から離れて、にたりと笑った。……その表情は、とても淫靡なもの。身体の奥底から、熱が這い上がってくるような感覚に襲われる。
「ぁ、くぉー、つ」
目の前の男の名前を呼ぶ。そうすれば、奴の手が俺の腰を撫でた。自然と身体が跳ねる。
「あぁ、興奮してきました。……こんな、可愛い反応をしてくれるなんて」
クォーツの目に、確かな情欲が宿る。……背筋がゾクゾクとする。呼吸がどんどん荒くなって、潤んだ目でクォーツを見つめてしまう。
「……もう、キスは満足したか?」
俺の真後ろからの問いかけに、クォーツはこくんと首を縦に振っていた。
「それに、これ以上焦らすのは得策じゃなさそうですしね」
そう言ったクォーツが、また俺の腰を撫でた。かと思えば、その手のひらが移動して……下肢に伸びる。
「ぁっ」
声が漏れる。だって、仕方がない。すっかり昂った陰茎をスラックス越しに、なんの前触れもなく触れられたのだから。
「ほら、興奮してます」
その言葉は、図星だった。その所為で、なにも言えない。
「クォーツ、あんまり虐めてやるな。……フリントの気が変わったら最悪だろう」
「それも、そうですね」
気が変わったら最悪って、こいつら側のことだよな……?
頭の中に浮かんだその考えが、一瞬で消える。ジェムの奴が、俺の身体を後ろから羽交い絞めにしてきたのだ。
「じぇ、ジェム……!」
「あんまり暴れるな。……痛くないようにしてやるから」
俺のつむじに口づけを落として、ジェムがそう続けた。痛くないようにって……!
(つまり、俺が抱かれる側っ……!)
そりゃあ、そうだろうと思っていたけれど! だけど、いきなり突きつけられると頬が引きつるのがわかった。
なのに、俺の身体は昂り続ける。じんじんと身体の奥が疼いて、もう辛くて苦しくて。
(も、それでもいいや……)
抱かれるほうだろうが、抱くほうだろうが、なんでも構わない。とにかく、楽になりたくてたまらない。
だから、俺はジェムの腕から逃れようとするのを止めた。
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