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第1章
ギルドでも有名な二人組 4
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二人の視線が、一気に俺に注がれた。誰もが視線を奪われる、精悍な美形。その二人の視線が、俺に集中している。
……まったく、これっぽっちも嬉しくない。
「……フリントは、こいつらを許すと言うのか?」
ジェムのほうが、俺にそう問いかけてくる。許すとか許さないとか、そういう問題じゃない。
「言っておくけれど、俺が許すとか許さないとか、そういう問題じゃない。……俺が裁くわけじゃないし」
そう。俺は警察官でも、裁判官でもない。ただのギルドの受付だ。
「それに、俺はもうどうでもいいよ。……別に、襲われたわけでも実害があったわけでもないし」
実際問題、襲うとかそういうことは未遂に終わっているし、誘拐も未遂だ。強盗だって、未遂に終わった。
まぁ、こいつら強盗に慣れていそうだから、余罪があるかもだけれどさ。
「実害がないとか、嘘言わないでください」
後ろから、そんな声が聞こえてきた。振り向く前に、俺の背中にガバッと覆いかぶさる生き物。
ちらりと視界に入った、きれいな銀色の髪。
「俺らには、すでに実害があったんで。フリントに触れられるっていう、実害が」
もう一人の男――クォーツがそう言って俺の肩に顎を置く。……重いわけじゃないけれど、なんていうか面倒だ。
「俺ら以外にフリントが触れられるの、どうにも俺には耐えられなくて」
クォーツがそう呟いて、俺の手を握る。ぎゅっと握られたその手は、硬い。さすがは普段剣を握っているだけはある。
「まぁ、そうだな。……俺も、独占欲強いし」
ジェムの奴も、クォーツに同意する。……うん、独占欲とかそういう問題以前なんだよな。
だって俺――こいつらのこと、恋人にした覚えがないからさ。
「言っておくけど、俺はお前らの恋人になった覚えはないからな」
はっきりとそう言って、クォーツの手を振り払う。すると、奴が捨てられた子犬のような目をした。
……潤んだ目。可愛い顔立ちだったら、大層いいだろう。が、こいつは精悍な男である。俺の好みじゃない。
「どっちかを、選ぶということか?」
「いっつも言ってるけど、そういうことでもないから。……俺、今は恋とかそういうのより、仕事に力を入れたい」
本当はこいつらのことが好みじゃないからなんだけれど。でも、人気の高い二人組をそういう理由で振ると、いろいろと怖いじゃんか。主に、こいつらに恋い焦がれる奴らになにされるかわかったもんじゃない。
もちろん、俺がこいつらを振ったことで、いい思いをする奴らだっている。けれど、好きな男を袖にされた~とか言って、俺を逆恨みする奴も一定数居るんだ。……なんていうか、人間って面倒だよな。
「俺は、結婚してもフリントに仕事続けてほしいって、思ってますけれど」
「あぁ、俺も構わない。俺ら以外の人間の元に行かないんだったらという前提が付くが」
……こいつら、俺の話聞いてた?
しかも、こいつらの頭の中では結婚まで行ってるし……。
「あのなぁ、俺はお前らと恋人になるつもりも、結婚するつもりもないからな」
はっきりと拒絶の言葉を口にする。長年モテている俺はわかる。こういうタイプは、中途半端に断ると調子に乗る。だから、はっきりと断らなくちゃならない。
「あと、俺はこの後いろいろと上層部に報告に行くから。……お前らは、適当に茶でも飲んでろ」
それだけ言って、俺は奥に引っ込む。オーナーとか、責任者とか。そういうお偉いさんたちに、今回の強盗の件について報告しなきゃなんだよな……。この報告っていう作業が一番面倒だ。
(とはいっても、報連相は大切だし……)
またいつ強盗が現れるかわからない以上、情報共有はしっかりとしておくべきだ。
だから、俺は上層部に連絡するつもりだった。……そう、そのつもりだったのだ。
だけど、まさか――。
「フリント君。報告のほうは僕がしておくから、キミはとりあえずお昼を食べてくるといいよ」
先輩がそんなことを言うなんて、思いもしなかったから。
……まったく、これっぽっちも嬉しくない。
「……フリントは、こいつらを許すと言うのか?」
ジェムのほうが、俺にそう問いかけてくる。許すとか許さないとか、そういう問題じゃない。
「言っておくけれど、俺が許すとか許さないとか、そういう問題じゃない。……俺が裁くわけじゃないし」
そう。俺は警察官でも、裁判官でもない。ただのギルドの受付だ。
「それに、俺はもうどうでもいいよ。……別に、襲われたわけでも実害があったわけでもないし」
実際問題、襲うとかそういうことは未遂に終わっているし、誘拐も未遂だ。強盗だって、未遂に終わった。
まぁ、こいつら強盗に慣れていそうだから、余罪があるかもだけれどさ。
「実害がないとか、嘘言わないでください」
後ろから、そんな声が聞こえてきた。振り向く前に、俺の背中にガバッと覆いかぶさる生き物。
ちらりと視界に入った、きれいな銀色の髪。
「俺らには、すでに実害があったんで。フリントに触れられるっていう、実害が」
もう一人の男――クォーツがそう言って俺の肩に顎を置く。……重いわけじゃないけれど、なんていうか面倒だ。
「俺ら以外にフリントが触れられるの、どうにも俺には耐えられなくて」
クォーツがそう呟いて、俺の手を握る。ぎゅっと握られたその手は、硬い。さすがは普段剣を握っているだけはある。
「まぁ、そうだな。……俺も、独占欲強いし」
ジェムの奴も、クォーツに同意する。……うん、独占欲とかそういう問題以前なんだよな。
だって俺――こいつらのこと、恋人にした覚えがないからさ。
「言っておくけど、俺はお前らの恋人になった覚えはないからな」
はっきりとそう言って、クォーツの手を振り払う。すると、奴が捨てられた子犬のような目をした。
……潤んだ目。可愛い顔立ちだったら、大層いいだろう。が、こいつは精悍な男である。俺の好みじゃない。
「どっちかを、選ぶということか?」
「いっつも言ってるけど、そういうことでもないから。……俺、今は恋とかそういうのより、仕事に力を入れたい」
本当はこいつらのことが好みじゃないからなんだけれど。でも、人気の高い二人組をそういう理由で振ると、いろいろと怖いじゃんか。主に、こいつらに恋い焦がれる奴らになにされるかわかったもんじゃない。
もちろん、俺がこいつらを振ったことで、いい思いをする奴らだっている。けれど、好きな男を袖にされた~とか言って、俺を逆恨みする奴も一定数居るんだ。……なんていうか、人間って面倒だよな。
「俺は、結婚してもフリントに仕事続けてほしいって、思ってますけれど」
「あぁ、俺も構わない。俺ら以外の人間の元に行かないんだったらという前提が付くが」
……こいつら、俺の話聞いてた?
しかも、こいつらの頭の中では結婚まで行ってるし……。
「あのなぁ、俺はお前らと恋人になるつもりも、結婚するつもりもないからな」
はっきりと拒絶の言葉を口にする。長年モテている俺はわかる。こういうタイプは、中途半端に断ると調子に乗る。だから、はっきりと断らなくちゃならない。
「あと、俺はこの後いろいろと上層部に報告に行くから。……お前らは、適当に茶でも飲んでろ」
それだけ言って、俺は奥に引っ込む。オーナーとか、責任者とか。そういうお偉いさんたちに、今回の強盗の件について報告しなきゃなんだよな……。この報告っていう作業が一番面倒だ。
(とはいっても、報連相は大切だし……)
またいつ強盗が現れるかわからない以上、情報共有はしっかりとしておくべきだ。
だから、俺は上層部に連絡するつもりだった。……そう、そのつもりだったのだ。
だけど、まさか――。
「フリント君。報告のほうは僕がしておくから、キミはとりあえずお昼を食べてくるといいよ」
先輩がそんなことを言うなんて、思いもしなかったから。
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