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第2章

⑤【※】

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 その後、俺は殿下によって身にまとっていたものをすべて取り払われた。

 一糸まとわぬ姿にされた俺の上に殿下が跨り、微笑む。美しいが憎たらしい笑みだった。

「これは、なんのつもりですか」

 様々な感情を押し殺し、冷静を装って問いかけた。

 殿下はわずかに思案する様子を見せ、にっこりと笑う。

「あなたに俺の愛を教え込む儀式です。大丈夫です、きちんと学びましたから――」

 ――そういう心配をしているんじゃない!

 喉元まで出かかった言葉は、口から出ることはない。殿下は俺の唇に自身の唇を重ねた。

 強引に唇を割り、舌を差し込まれる。殿下の舌が俺の口内を好き勝手に暴れ回った。感じてはならないとわかっているのに――気持ちよさが身体の奥底から湧き上がる。

 しばらくして、殿下の手のひらが俺の身体を撫で始めた。

 横腹を撫でて、胸を撫でる。まるで俺の身体を堪能するかのような手の感覚に、背筋がぞわぞわとしてくる。

「ひっ、ぐっ」

 喉が鳴った。唇を離した殿下が俺を見下ろし、嬉しそうに笑う。

「感じてくれてます? 気持ちいいですか?」

 手のひらで胸元を撫でまわされる。

 感じるわけがないと言いたいのに、言えない。

(くそ、なんか変な感じだな……)

 唇を噛んでおぞましい感覚に耐える。殿下は俺の反応を見て、どう思ったのだろうか。

 今まで特に気にしたことのない尖りを指先でつまんだ。

「ぁ、あっ――」

 俺の身体の震えを察し、殿下は指先をぐりぐりと動かす。

 身体の中に快感が蓄積していく。もどかしいほどに小さな快感に、身体が翻弄される。

「ここ気持ちいいです? 男の人でも感じるらしいですよ」

 胸の尖りを絶え間なく刺激する殿下の目は明らかに欲情していた。

 よくもまぁこんな年上の男に――と言うことさえ叶わない。

「あがっ、あ、あっ!」

 殿下が俺の乳首を爪で引っかいた。硬くなり始めていた乳首はそれだけで快感を覚え、じぃんと熱くなっていくようだ。

「や、やめっ! 殿下――!」
「気持ちいいんですね」

 指先でぎゅうっとつまみ上げ、ぐりぐりと押しつぶす。こねくり回すような殿下の指先の動きは予測不可能で、次にどういう刺激が来るかわからない。翻弄されているうちに、下肢に熱が溜まっていく。

 こんなの不本意なのに、生理現象とは憎たらしい。

「ここも勃ちあがってきた」

 殿下のきれいな手が俺のモノを撫でる。するりと撫で上げられ、腰がぶるりと震えてしまう。

 なにも身に着けていないということは、感じているのはバレバレということだ。

「殿下、はなし――」
「ダメです。こういう風にされると、気持ちはずなんですけど」

 手のひらで竿を握られて、こすられる。特別気持ちいい動きではないはずなのに、感じてしまう。刺激しているのが他人の手だからだろうか。

「大きくなってきた。……気持ちいいんですね」

 先端から溢れた先走りを竿に絡めるように殿下の手が動く。

 気持ちいい。気持ちいい。頭の中でバカみたいに同じ言葉が繰り返される。

 こんなの間違っているとわかっているはずなのに――。

「一度出してくれて大丈夫ですよ。この後のことを考えると、ここで出しておいたほうが楽ですし」

 この後のことなど考えたくはない。けど、出したいという欲望には勝てそうにない。

「あ、ぐっ、ぅあっ!」

 本気で拒絶しようとしたら、できたはずだ。なのに、頭がどこかぼんやりとしていて、思考回路は靄がかかっているかのよう。

「ね、出してください。俺の手で達して――!」

 殿下が手の動きを速める。容赦なく絶頂へと導こうとする動きに、抗うことはできなかった。

「や、だ、めだっ――!」

 俺の必死の訴えも、殿下には通じない。

 殿下はにっこりと笑って、俺の耳元に唇を寄せた。

「ねぇ――出してください」

 甘く堕とすような声に、我慢が決壊した。

「あ、あぁっ――!」

 殿下の手のひらに飛び散る白濁。もう、いっそ死んでしまえたら――と思うほどに、苦しい絶頂だった。
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