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第2章
第3話
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それから五十分後。会社の最寄り駅についた私は、スマホをタップ。丞さんに電話をかける。
「では、迎えに行きますね」
彼はさも当然のようにそう言うと、私の大まかな居場所を聞いて、電話を一方的に切った。
……相変わらずというべきなのか。ちょっと強引な人だ。
(私が、行かなくちゃならないはずなんだけどなぁ……)
心の中でそう思いつつ、私は丞さんを待つ。
下手に動くと、余計に合流しにくくなるだろう。それがわかるので、私はじっと待つことにした。
(というか、本当に丞さんって御曹司らしくないというか……)
私のイメージする御曹司とは。
上から目線で人をこき使うイメージだった。けど、丞さんはそういう人ではない。
どちらかと言えば丁寧だし、強引なところはあるけれど、それは私を思ってのことだとわかる。
「……というか、この関係ってどういう関係なんだろ」
ぽつりと疑問が口から零れた。
私たちは付き合っているわけではない。上司と部下だ。ただ、そこに身体の関係があるというだけ。
……最後の一つが爆弾みたいなものだけれど、イマドキ一夜限りの関係とか、セフレとか。そういうのはまぁまぁあると思う。
別に、付き合っているから身体の関係があるという前提がある必要はない。……もちろん、あったほうがいいのはわかるけれど。
「丞さんは、私のことどう思っているんだろう。秘書ってだけだと……少し、悲しいかも」
身体の関係があるんだから、秘書というか、仕事仲間以上の感情を抱いていてほしい。
というのは、私の勝手な願望だ。丞さんモテそうだし、未経験の私とは違うだろう。
考えれば考えるほど頭の中が混乱して、ガーっと髪の毛を掻きむしりたくなる。が、今、ここでそんなことをすれば不審者は間違いない。それがわかるから、私はぐっとこらえた。
スマホをタップして、時計を見る。……まだ、通話を切ってから五分も経っていない。
「……話って、なんなんだろう」
あと、そうだ。彼が話したいことって、なんなんだろう。休日に呼び出されるのは別にいいけれど、用件くらい聞いておくべきだった――と思っていると。ふと、目の前に誰かが立つ。
丞さんかと思って顔を上げると、そこにはいかにも軽そうな茶髪の男が二人。
「ねぇ、お姉さん、暇?」
男の一人が、そう声をかけてくる。
……これは、いわばナンパだろうか。
(学生の頃は本当に声をかけられることが多かったけれど……)
最近はあんまりだったから、ある意味新鮮だった。
もちろん、ついて行ったことはない。私は好みではない男性には厳しいのだ。
「いえ、待ち合わせをしているので。……すみませんが、他を当たってください」
身体を横に背けて、男二人に断りの言葉をぶつける。でも、二人は引いてくれない。
「友達だったら、一緒に来てくれてもいいんだけど……」
「そうそう」
……友達という単語に、胸がむかむかする。
丞さんと私の関係は、本当になんなんだろうか。……友達じゃない。恋人じゃない。上司と部下ってだけ。
(本当は、いやでたまらない……)
処女を捧げただけで、ここまで執着するのはいかがなものだろうか。
自分でもわかる。だけど、このままだと私は丞さんに執着してしまいそうだ。
面倒くさい女になるのは、目に見えていた。
「では、迎えに行きますね」
彼はさも当然のようにそう言うと、私の大まかな居場所を聞いて、電話を一方的に切った。
……相変わらずというべきなのか。ちょっと強引な人だ。
(私が、行かなくちゃならないはずなんだけどなぁ……)
心の中でそう思いつつ、私は丞さんを待つ。
下手に動くと、余計に合流しにくくなるだろう。それがわかるので、私はじっと待つことにした。
(というか、本当に丞さんって御曹司らしくないというか……)
私のイメージする御曹司とは。
上から目線で人をこき使うイメージだった。けど、丞さんはそういう人ではない。
どちらかと言えば丁寧だし、強引なところはあるけれど、それは私を思ってのことだとわかる。
「……というか、この関係ってどういう関係なんだろ」
ぽつりと疑問が口から零れた。
私たちは付き合っているわけではない。上司と部下だ。ただ、そこに身体の関係があるというだけ。
……最後の一つが爆弾みたいなものだけれど、イマドキ一夜限りの関係とか、セフレとか。そういうのはまぁまぁあると思う。
別に、付き合っているから身体の関係があるという前提がある必要はない。……もちろん、あったほうがいいのはわかるけれど。
「丞さんは、私のことどう思っているんだろう。秘書ってだけだと……少し、悲しいかも」
身体の関係があるんだから、秘書というか、仕事仲間以上の感情を抱いていてほしい。
というのは、私の勝手な願望だ。丞さんモテそうだし、未経験の私とは違うだろう。
考えれば考えるほど頭の中が混乱して、ガーっと髪の毛を掻きむしりたくなる。が、今、ここでそんなことをすれば不審者は間違いない。それがわかるから、私はぐっとこらえた。
スマホをタップして、時計を見る。……まだ、通話を切ってから五分も経っていない。
「……話って、なんなんだろう」
あと、そうだ。彼が話したいことって、なんなんだろう。休日に呼び出されるのは別にいいけれど、用件くらい聞いておくべきだった――と思っていると。ふと、目の前に誰かが立つ。
丞さんかと思って顔を上げると、そこにはいかにも軽そうな茶髪の男が二人。
「ねぇ、お姉さん、暇?」
男の一人が、そう声をかけてくる。
……これは、いわばナンパだろうか。
(学生の頃は本当に声をかけられることが多かったけれど……)
最近はあんまりだったから、ある意味新鮮だった。
もちろん、ついて行ったことはない。私は好みではない男性には厳しいのだ。
「いえ、待ち合わせをしているので。……すみませんが、他を当たってください」
身体を横に背けて、男二人に断りの言葉をぶつける。でも、二人は引いてくれない。
「友達だったら、一緒に来てくれてもいいんだけど……」
「そうそう」
……友達という単語に、胸がむかむかする。
丞さんと私の関係は、本当になんなんだろうか。……友達じゃない。恋人じゃない。上司と部下ってだけ。
(本当は、いやでたまらない……)
処女を捧げただけで、ここまで執着するのはいかがなものだろうか。
自分でもわかる。だけど、このままだと私は丞さんに執着してしまいそうだ。
面倒くさい女になるのは、目に見えていた。
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