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仕掛けた罠にかかったのは私だった
罠にかけたのはこっちだった(アンリ視点)
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アンリ・ミストラルは生まれてこの方すべてを持っていた。王国の名門公爵家の一人息子として生を受け、その美しい容姿で数多くの女性を惑わせた。さらには類まれなる魔法の才能を持ち、周囲は彼を『稀代の天才』や『神様の子』などと呼んだ。
しかし、アンリは常に孤独だった。周囲の人間は自身の顔色を窺い続け、対等に話をしてくれる人物はいない。同年代ならば尚更そうだった。
そんな中、アンリが出逢ったのが――当時はまだ普通の伯爵令嬢だったリゼットだった。
「リゼット・ラ・トゥールですわ」
ふんわりと笑って一礼をする彼女に一目で心を奪われた。さらには誰にでも分け隔てなく接し、優しい彼女にどんどんのめりこんだ。
けれど、彼女はいつしか社交界に姿を現さなくなってしまった。そして、その原因が――実家の困窮だと知ったのは今からほんの数年前。
(ふふっ、ジョフロワにも使い道があったものだね)
アンリを敵対視し、一方的に貶めようとするジョフロワ・ジェラルダン。彼がリゼットに近づいたと知ったときは、腸が煮えくり返るかと思うほどの怒りを抱いたものだ。が、その行動のおかげでアンリはリゼットと身体で結ばれることが出来た。あとは責任を取ると言ってプロポーズすればいい。
(そして、リゼットを一生愛するんだ。もう、僕の元からいなくならないでね)
――愛しい人。
隣で眠るリゼットの額に口づけをする。
彼女にならば、どんなウェディングドレスが似合うだろうか。きっと、どんなものを着ても着こなすに違いない。
そう思いながら、アンリは媚薬の効力が切れすやすやと寝息を立てるリゼットの身体を優しく抱きしめる。
「――もう絶対に、逃がしてあげない」
しかし、アンリは常に孤独だった。周囲の人間は自身の顔色を窺い続け、対等に話をしてくれる人物はいない。同年代ならば尚更そうだった。
そんな中、アンリが出逢ったのが――当時はまだ普通の伯爵令嬢だったリゼットだった。
「リゼット・ラ・トゥールですわ」
ふんわりと笑って一礼をする彼女に一目で心を奪われた。さらには誰にでも分け隔てなく接し、優しい彼女にどんどんのめりこんだ。
けれど、彼女はいつしか社交界に姿を現さなくなってしまった。そして、その原因が――実家の困窮だと知ったのは今からほんの数年前。
(ふふっ、ジョフロワにも使い道があったものだね)
アンリを敵対視し、一方的に貶めようとするジョフロワ・ジェラルダン。彼がリゼットに近づいたと知ったときは、腸が煮えくり返るかと思うほどの怒りを抱いたものだ。が、その行動のおかげでアンリはリゼットと身体で結ばれることが出来た。あとは責任を取ると言ってプロポーズすればいい。
(そして、リゼットを一生愛するんだ。もう、僕の元からいなくならないでね)
――愛しい人。
隣で眠るリゼットの額に口づけをする。
彼女にならば、どんなウェディングドレスが似合うだろうか。きっと、どんなものを着ても着こなすに違いない。
そう思いながら、アンリは媚薬の効力が切れすやすやと寝息を立てるリゼットの身体を優しく抱きしめる。
「――もう絶対に、逃がしてあげない」
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