【完結】【R18】ゆらり、波打つ【明石唯加の短編集】

すめらぎかなめ(夏琳トウ)

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仕掛けた罠にかかったのは私だった

仕掛けた罠にかかったのは私だった②【※】

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 アンリに連れてこられたのは、屋敷の客間だった。アンリは素早く侍女にワインを寄越すようにと指示を出す。

 それから数分後。侍女が持ってきたのは高級そうなラベルの貼られた赤ワイン。それをグラスに注ぎ終え、アンリは「どうぞ」と言ってリゼットに片方のグラスを手渡してくる。

「ありがとうございます」

 出来る限りにっこりと笑って、リゼットは悟られないようにと礼を言う。その後、アンリの隙を窺う。彼に隙が出来れば、その間に彼のワインに媚薬と自白剤を入れることが出来るからだ。

 そう思いリゼットがそっとアンリにしだれかかっていれば、アンリは「寒いだろうから、窓を閉めてくるよ」と言って立ち上がる。

 その後、彼が窓の方に近づいたのを見て、リゼットはそっと彼のワイングラスに二つの錠剤を投げ入れた。

「リゼット」

 何でもない風に名前を呼ばれ、リゼットの身体が熱くなる。もしかして、バレてしまった――……? そんな風に思ったものの、アンリは特に何かを言うことなく、ワイングラスを手に取る。

「リゼットは、きれいだね」

 そっとその肩を抱き寄せられ、リゼットは硬直してしまう。こんな風にされるのも、こんな風な空気になるのも生まれて初めてだ。だからこそ、上手い返しが思い浮かばない。

「あ、あのっ」
「――でも」

 しかし、それから数秒後。リゼットの視界が回転する。驚いて目を見開けば、リゼットはアンリによって寝台に押し倒されていた。それに驚いて目を見開けば、彼はワイングラスを揺らしながら「見え見えのハニートラップを仕掛けようなんて、どういうことかな?」と言いながら笑う。

「は、ハニートラップ、だなんて……」

 視線を逸らしてそう言えば、アンリは「嘘言わないの」と言いながらリゼットの上半身だけを起こし、その唇に自身のワイングラスを押し付ける。

「……飲める?」

 低い声でそう囁かれ、リゼットは顔が真っ青になるような感覚だった。このワインには媚薬と自白剤が入っている。そんなもの飲まされてはひとたまりもない。

 そう思いためらうリゼットに対し、アンリは「ほら、飲めないじゃない」と言いながらグイッとワイングラスを傾け――リゼットの喉に無理やりワインを流し込んだ。

「んんっ!」

 ごくん、ごくん。

 何度かワインを飲んでしまい、リゼットはその青色の目を真ん丸にする。……こんなの、予定にない。そう思っていれば、リゼットの身体からは力が抜けていった。

「……ぁ」

 艶っぽい息が漏れ、リゼットの身体が熱くなる。どうやら、媚薬は即効性のものだったらしく、リゼットの身体を高めているようだ。
 それに気が付き、リゼットは何とかアンリの腕の中から逃げられないかともがく。

 けれど、アンリはそんなリゼットをもう一度寝台の上に押し倒すと、そのままリゼットの身体の上に覆いかぶさってくる。

「……悪い子には、お仕置きしなくちゃダメだよね」

 そう言ってアンリは笑う。その目には確かな情欲がこもっており、リゼットの心臓がとくんと大きく音を鳴らす。

(……ぁ、だめ、だめ……!)

 そう思うのに、身体は素直に快楽が欲しいと脳内に強請ってくる。その感覚が恐ろしくて、怖くて。リゼットはそっと目を瞑ってしまった。

 その瞬間、唇に触れる何やら温かいもの。それに驚き目を開ければそこにはアンリの端正な顔が至近距離に迫っていた。

 彼は何でもない風にリゼットに触れるだけの口づけを数回施す。それだけでは飽き足らず、唇を無理やりこじ開けリゼットの口内までをも犯し始めた。

「んんっ、んぅ、ンぁ……!」

 嫌だという意味を込めて彼の胸をたたく。でも、アンリはお構いなしだった。リゼットの頬の内側の柔らかい部分を舌でつつき、舌の付け根を入念に攻めてくる。それだけで達してしまえそうなほど、気持ちよかった。

「ふふっ、腰が揺れてる」

 そして、アンリがリゼットの細い腰を撫で上げながらそう言う。その時初めてリゼットは自らの腰が揺れていることに気が付いた。その所為で顔に熱が溜まっていく。

 そんなリゼットを気に留めることなく、アンリはリゼットのドレスのスリットからドレスを破き始めた。

「い、いや、いやぁあっ!」

 するすると千切られていくドレスに気が付き、リゼットは大きな悲鳴を上げる。しかし、アンリは容赦がない。むしろ、「先に誘ったのはキミの方だ」とでも言いたげな視線をリゼットに向け、リゼットのドレスを切り裂いてしまった。

 残されたのは薄手のシュミーズとドロワーズだけ。その姿にリゼットが慌てふためき胸の前で手を交錯させようとする。が、その手をアンリはリゼット自身の顔の横に縫い留めてしまい、視線だけでリゼットの身体を凝視する。

 細い腰とは不釣り合いなほど大きな胸。その頂はツンととがり始めており、これが媚薬の効果なのだとリゼットにも嫌というほど理解が出来た。さらにはドロワーズの中も悲惨なことになっていることはリゼットにだってわかってしまう。

(……あぁ、ダメ、だめぇ……!)

 その情欲を孕んだ視線だけで達してしまえそうだった。それほどまでに媚薬は強力なものであり、リゼットの身体の中を暴れまわる。

 アンリのそのきれいな指がリゼットのシュミーズに触れる。そのまま彼女のシュミーズの肩ひもを外すと、リゼットの大きな胸が露わになった。大きなふくらみ。そして、桃色の頂はすでにとがっており、刺激を求めている。

「リゼット。……こことか、触ったらどうなるのかな?」

 優しくそう言われ、アンリがリゼットの胸の頂にふぅっと息を吹きかける。たったそれだけの行為だった。なのに、リゼットの身体には途方もない快楽の波が押し寄せてくる。

 ほんの少し胸を弄られただけで達してしまえそうなほど。それほどまでの強い快楽に、リゼットは酔いしれてしまいそうになる。

「ぁ、あっ」

 ちょんと舌先でつつかれれば、リゼットの身体が大きくのけ反った。白い喉をさらけ出し背を反らすリゼットは無意識のうちに胸の頂をアンリの口元にこすりつけてしまう。

 それを見かねのか、アンリはその胸の頂を口に含むと入念に舌で舐め上げてきた。

「ぁああっ、いや、いやぁああっ!」
「嫌じゃないでしょ。……ほら、こっちも弄ってあげる」

 もう片方の胸の頂は指で刺激された。指の腹でぐりぐりと刺激されれば今のリゼットにはひとたまりもない快楽だ。大きく声を上げリゼットが喘げば、アンリは楽しそうにリゼットの胸の頂を堪能する。

 爪で引っかかれれば、それだけで蜜口からとろりとした蜜が溢れ出るのがリゼットにもよく分かった。蜜壺がきゅうきゅうと切なげに引くつき、太いモノを求めているのもよく分かる。

 けれど、それを認めることは出来なくて。リゼットは首を横にゆるゆると振りながら快楽を逃そうと必死になる。

 いつの間にか手は自由になっていた。が、もう抵抗する気力も術も起きない。ただ強すぎる快楽を逃すことしか、頭は考えてくれない。

「ぁあんっつ、あんっ!」

 紅潮した頬。うるんだ目。真っ赤になった肌。それらはすべてアンリの情欲を注いでいる。それに気が付かず、リゼットはまた白い喉を晒して喘ぐことしか出来ない。

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