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第1部 第4章 最悪とハジメテ

⑮【※】

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 しばらくして、キリアンの唇が離れていく。

 僕はキリアンを見つめた。僕たちの口元を伝うのは銀色の糸。

「――キリアン」

 彼が愛おしくてたまらなくて、僕の口は無意識のうちにキリアンを呼ぶ。

 キリアンが息を呑んで、僕の身体を起こした。

「後ろ、向けるか?」

 問いかけられて、僕は首を縦に振った。

 四つん這いの体勢をとるのは恥ずかしいけど、必要なことだと自分に言い聞かせる。

「こ、こうで、いいの――?」

 キリアンのほうに臀部を向けるかたちになると、彼が「あぁ」と返事をしてくれる。ついでとばかりに、僕の頭のてっぺんにキスを落としてくれた。

「苦しかったら、きちんと言ってくれ」
「う、うん……ぁっ」

 窄まりに濡れた指を押し当てられたのがわかった。

 僕が息を呑むとほぼ同時に、窄まりにキリアンの指が挿ってくる。

「んっ、ぁっ……!」

 指がどんどん奥へと吞み込まれていく。

 苦しくて、僕の息が上がってくる。身体を支える腕がプルプルと震えていた。

「ジェリー、指を増やすぞ」

 背後から聞こえる声に返事をするように首を縦に振ると、後孔に埋まる質感が増えたのがわかった。

「き、キリアン――」
「苦しいか?」

 問いかけの答えに迷った。

 苦しいのは間違いない。けど、続けてほしいとは思っている。

「苦しいよ……でも、続けて」
「――だが」

 キリアンがためらっているのがわかる。

 キリアンはとっても優しいから。僕が苦しむ姿を見たくないんだろう。

「大丈夫……僕も、キリアンが欲しいから――」

 とぎれとぎれになりつつも、必死に自分の気持ちを言葉にした。キリアンが息を漏らして、後孔に挿しこんだ指を動かし始める。

「ぁ、あっ! やぁっ――!」

 初めはゆっくりと単調な動きを繰り返される。

 でも、硬い腸壁がほぐれてきたのがわかったのか、キリアンの指が徐々にバラバラの動きをとりはじめた。

 僕のいいところを探るみたいにうごめく指。僕のナカをかき回す。

「ひぅっ、ぁああっ!」

 僕の腕が震えている。それでもと思って必死に体勢を保っていると、身体に強い快楽が走って。

 僕のナカがぎゅうって締まって、キリアンの指を締め付けてしまった。

「――ここが、いいのか?」

 確認とばかりに指でそこを刺激された。

 首を縦に振ることしか出来ない。

「いいの、そこ、いぃの――!」

 気が付いたら、僕の陰茎はまた熱を持ち昂り始めている。

「そうか。じゃあ、もっと触ってやろうな」

 僕の耳に唇を近づけて、一度だけぺろりと舐めて。キリアンは指をさらに激しく動かし始めた。

「なぁ、ジェリー。指が三本も挿っているの、わかるか?」

 そんなことを言われても、わかるわけがない。

 首を横に振ると、キリアンが声を上げて笑う。笑い声が僕にはいじわるな声に聞こえてしまった。振り返って、キリアンを見つめる。

「い、いじわるっ!」

 抗議の意味をこめてキリアンをにらみつけるものの、涙で潤んでいる目では大した威力なんてないだろう。

 キリアンが笑う。

「あぁ、いじわるだ。あんりにもジェリーが可愛いから、いじわるをしたくなる」

 キリアンの指が、僕の後孔から引き抜かれた。

 引き抜かれた刺激で、僕は耐え切れなくなった。崩れ落ちて突っ伏してしまう。

「ぁ、あっ」
「ジェリー、可愛いな。ここが物欲しそうにひくついてるぞ」

 キリアンが僕の窄まりを指で撫でて、言う。

 恥ずかしいから、言わないでほしいのに――僕の身体はさらに昂る。熱が冷めることはない。

 屹立が痛いほどに張りつめていて、お腹の奥が熱くてたまらない。

 キリアンのほうを一瞥すると、彼がスラックスの前をくつろげているところだった。

 張りつめたソコが、僕の視界に映る。僕のよりも、ずっと大きくて太い。

 僕は息を呑んでしまう。
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