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第3章
これからのこと 2
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そんなことを考えつつ、ローゼは手早く下着とナイトドレスを身に着けた。シュミーズは身に着けていなかったので、何となく胸元が心もとない。
でも、クローゼットに入るような元気はなかった。自分では体力があるほうだと思っていたローゼだが、性交渉は思ったよりも体力を使うらしい。
「……これが、今後、毎日」
彼がローゼを雇ったのは、跡継ぎを生んでもらうためだ。それすなわち、ローゼがいち早く孕む必要がある。
じっと自身の下腹部を撫でる。ここに、いずれは子供が宿って――……。
(って、なに考えているのよ。今はそんなこと、考えている余裕なんてないじゃない)
ぶんぶんと首を横に振っていれば、イグナーツが寝室に戻ってきた。彼はグラスを持っており、どうやら水を持ってきてくれたらしい。
「冷たいほうがいいだろうと思って」
彼が水の入ったグラスを差し出してくれる。それをありがたく思いながら、ローゼは口に運んだ。冷たい水が喉を潤す。
昨日散々喘いだ所為なのだろう。気が付かないうちに、喉はカラカラだったようだ。
「メイドに朝食はここに運ばせるようにと命じておいた」
「あ、ありがとう、ございます」
「いや」
彼のその態度は、特別なことなどしていないとでも言いたげだ。
まぁ、実際彼は気の利く男性なので、これくらいは普通なのかもしれないが。
(なんて。私が知っているのは表向きのことだけだものね)
イグナーツは女性嫌いだ。それほどまでに、女性とは深くかかわらない。
だから、ローゼの知っている彼は所詮誰もが知っている彼でしかない。……ただ唯一、彼が性交渉の際に甘くなることだけは、ローゼしか知らないことなのだろう。
そんなことを考えていると、ふと肩を抱き寄せられた。驚いてそちらに視線を向ければ、イグナーツはローゼの隣に腰掛けている。
「ちょ、イグナーツ、さまっ……!」
彼の分厚い胸に顔が当たる。頬にカーっと熱が溜まっていく。
その所為で暴れていれば、彼はローゼの顎をすくい上げた。ローゼとイグナーツの視線が、交わった。
「……可愛い」
ボソッと、彼がそう呟く。その言葉にローゼは目を見開いた。……可愛い、なんて。
「き、昨日も、散々おっしゃっていましたよね……」
「あぁ」
ローゼがそう確認すれば、彼が力強く頷く。その態度を見つめつつ、ローゼはそっと視線を逸らした。
「私、可愛くないです……」
今にも消え入りそうなほど小さな声で、そう抗議をした。
「……どうしてだ?」
「だ、だって、私、背丈も女性にしては高いですし、顔立ちだって……」
しどろもどろになりながらそう告げれば、彼はきょとんとしていた。まるで、本気で意味がわからないと言いたげだ。
「俺から見れば、ローゼは可愛い。ローゼ以上に可愛い存在を、俺は知らない」
「っつ」
彼の言葉に、ローゼの顔に一瞬にして熱が溜まった。
(というか、本当にイグナーツ様はどうなさったの? こんな、こんなに可愛いって連呼するようなお方じゃないわよね……?)
ローゼの知っているイグナーツという人物は、いつも無表情。女性を褒めたりするような男性ではなかった。甘い言葉なんてもってのほかだ。
そんな彼が、ローゼに「好きだ」と言って、「可愛い」と言っている。……まるで、外見だけそのままで中身が知らない誰かのようだ。
「視線を彷徨わせるローゼも可愛い。……もっと、触れたい」
彼がそう言ってローゼの身体を自身の膝の上に乗せる。身体の向きをひっくり返されたことにより、彼と向かい合わせに座る形になってしまった。……恥ずかしい。
「本当は、もっとつけたかったんだ」
イグナーツはそのごつごつとした指でローゼの赤い痕を撫でつつ、そう言ってくる。
するりと身体を撫で上げられると、何とも言えない感覚がローゼの身体を這う。
「んっ」
思わず身をよじれば、イグナーツの身体がほんの少し震えた。それに気が付き、ローゼは恐る恐る彼の目を見つめる。
……彼の目は、完全に欲情していた。
(い、今、朝よ……?)
身の危険を感じて、ローゼがイグナーツの膝の上から下りようとした。が、それよりも先にイグナーツがローゼの腰を抱き寄せる。彼にしがみつくような形になったかと思えば、彼の手がまたローゼの顎をすくい上げた。
「可愛い」
まるで熱に浮かされたかのように「可愛い」と言ったイグナーツは、ローゼの唇にちゅっと口づける。
「んんっ」
何度も何度も、角度を変えて口づけられた。かと思えば、彼の肉厚の舌がローゼの口腔内に入ってくる。
「んぁ」
ローゼの舌を絡め取るイグナーツの舌。彼はローゼの口腔内を舌で舐め上げてくる。そして、唾液を注いできた。
「んんっ」
自然とローゼの喉が鳴り、彼の唾液を呑み込んでしまう。
(あぁ、頭がくらくらとする……)
徐々に身体に力が入らなくなり、イグナーツの寝間着に縋った。ぎゅっと彼の寝間着を握りしめれば、彼の身体がまた震える。
その後、彼の手がローゼのナイトドレスの腰ひもに触れた。
(脱がされるっ――!)
ローゼの本能が危険を察知した。このままだと、彼は朝から行為にもつれ込もうとする。
そう思ったからこそ、ローゼは彼の胸をたたいた。
でも、クローゼットに入るような元気はなかった。自分では体力があるほうだと思っていたローゼだが、性交渉は思ったよりも体力を使うらしい。
「……これが、今後、毎日」
彼がローゼを雇ったのは、跡継ぎを生んでもらうためだ。それすなわち、ローゼがいち早く孕む必要がある。
じっと自身の下腹部を撫でる。ここに、いずれは子供が宿って――……。
(って、なに考えているのよ。今はそんなこと、考えている余裕なんてないじゃない)
ぶんぶんと首を横に振っていれば、イグナーツが寝室に戻ってきた。彼はグラスを持っており、どうやら水を持ってきてくれたらしい。
「冷たいほうがいいだろうと思って」
彼が水の入ったグラスを差し出してくれる。それをありがたく思いながら、ローゼは口に運んだ。冷たい水が喉を潤す。
昨日散々喘いだ所為なのだろう。気が付かないうちに、喉はカラカラだったようだ。
「メイドに朝食はここに運ばせるようにと命じておいた」
「あ、ありがとう、ございます」
「いや」
彼のその態度は、特別なことなどしていないとでも言いたげだ。
まぁ、実際彼は気の利く男性なので、これくらいは普通なのかもしれないが。
(なんて。私が知っているのは表向きのことだけだものね)
イグナーツは女性嫌いだ。それほどまでに、女性とは深くかかわらない。
だから、ローゼの知っている彼は所詮誰もが知っている彼でしかない。……ただ唯一、彼が性交渉の際に甘くなることだけは、ローゼしか知らないことなのだろう。
そんなことを考えていると、ふと肩を抱き寄せられた。驚いてそちらに視線を向ければ、イグナーツはローゼの隣に腰掛けている。
「ちょ、イグナーツ、さまっ……!」
彼の分厚い胸に顔が当たる。頬にカーっと熱が溜まっていく。
その所為で暴れていれば、彼はローゼの顎をすくい上げた。ローゼとイグナーツの視線が、交わった。
「……可愛い」
ボソッと、彼がそう呟く。その言葉にローゼは目を見開いた。……可愛い、なんて。
「き、昨日も、散々おっしゃっていましたよね……」
「あぁ」
ローゼがそう確認すれば、彼が力強く頷く。その態度を見つめつつ、ローゼはそっと視線を逸らした。
「私、可愛くないです……」
今にも消え入りそうなほど小さな声で、そう抗議をした。
「……どうしてだ?」
「だ、だって、私、背丈も女性にしては高いですし、顔立ちだって……」
しどろもどろになりながらそう告げれば、彼はきょとんとしていた。まるで、本気で意味がわからないと言いたげだ。
「俺から見れば、ローゼは可愛い。ローゼ以上に可愛い存在を、俺は知らない」
「っつ」
彼の言葉に、ローゼの顔に一瞬にして熱が溜まった。
(というか、本当にイグナーツ様はどうなさったの? こんな、こんなに可愛いって連呼するようなお方じゃないわよね……?)
ローゼの知っているイグナーツという人物は、いつも無表情。女性を褒めたりするような男性ではなかった。甘い言葉なんてもってのほかだ。
そんな彼が、ローゼに「好きだ」と言って、「可愛い」と言っている。……まるで、外見だけそのままで中身が知らない誰かのようだ。
「視線を彷徨わせるローゼも可愛い。……もっと、触れたい」
彼がそう言ってローゼの身体を自身の膝の上に乗せる。身体の向きをひっくり返されたことにより、彼と向かい合わせに座る形になってしまった。……恥ずかしい。
「本当は、もっとつけたかったんだ」
イグナーツはそのごつごつとした指でローゼの赤い痕を撫でつつ、そう言ってくる。
するりと身体を撫で上げられると、何とも言えない感覚がローゼの身体を這う。
「んっ」
思わず身をよじれば、イグナーツの身体がほんの少し震えた。それに気が付き、ローゼは恐る恐る彼の目を見つめる。
……彼の目は、完全に欲情していた。
(い、今、朝よ……?)
身の危険を感じて、ローゼがイグナーツの膝の上から下りようとした。が、それよりも先にイグナーツがローゼの腰を抱き寄せる。彼にしがみつくような形になったかと思えば、彼の手がまたローゼの顎をすくい上げた。
「可愛い」
まるで熱に浮かされたかのように「可愛い」と言ったイグナーツは、ローゼの唇にちゅっと口づける。
「んんっ」
何度も何度も、角度を変えて口づけられた。かと思えば、彼の肉厚の舌がローゼの口腔内に入ってくる。
「んぁ」
ローゼの舌を絡め取るイグナーツの舌。彼はローゼの口腔内を舌で舐め上げてくる。そして、唾液を注いできた。
「んんっ」
自然とローゼの喉が鳴り、彼の唾液を呑み込んでしまう。
(あぁ、頭がくらくらとする……)
徐々に身体に力が入らなくなり、イグナーツの寝間着に縋った。ぎゅっと彼の寝間着を握りしめれば、彼の身体がまた震える。
その後、彼の手がローゼのナイトドレスの腰ひもに触れた。
(脱がされるっ――!)
ローゼの本能が危険を察知した。このままだと、彼は朝から行為にもつれ込もうとする。
そう思ったからこそ、ローゼは彼の胸をたたいた。
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