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第2章

本当の夫婦になるために 6【※】

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 それから一体何分経った頃だろうか。

 ローゼの身体を襲う痛みが激痛ではなくなっていく。そして、それとほぼ同時に――身体の奥底がほんのりと疼いた。

(……ぁ、もど、かしぃ)

 そう思い、ローゼがイグナーツの目を見つめる。彼はローゼの顔をまじまじと見つめていた。

「……ローゼ、可愛い」

 本日幾度目になるかわからないそんな言葉を呟いて、イグナーツがローゼの唇に触れるだけのくちづけを落とす。

 だからこそ、ローゼは彼の唇を自ら食んだ。

「……ローゼ?」

 彼が驚いたように唇を離す。

 そのため、ローゼはイグナーツのたくましい身体に縋りついた。

「も、大丈夫、です。……動いて、ください」

 きっと、ローゼ自身の顔は耳まで赤くなっているだろう。

 心の中でそんな風に考えて、ローゼが今にも消え入りそうなほど小さな声でそう告げる。

 すると、イグナーツがごくりと息を呑んだ。

「……あぁ」

 彼はそれだけを言うと、ゆっくりと腰を動かし始める。

 熱杭が抜けきるぎりぎりまで引き抜き、一気にローゼの最奥を突く。

 たったそれだけ。それだけなのに……ローゼの身体は、小さな快感を拾い集めていた。

「ぁんっ! あ、あぁあっ!」

 蜜壺がまるで出て行かないでとでも言いたげなほどに、彼のものを締め付けている。

 それを認識しつつ、ローゼはイグナーツの身体に必死にしがみつく。

「ぁんっ! あんっ!」

 小さな快感を拾い集めると、あっという間に快楽へと押し上げられた。

「っはぁ、ローゼ。締め付け、きつい……」

 イグナーツがそう言って、ふと手を伸ばす。彼の手はローゼの胸の頂を捉え、そこを刺激してきた。

「やぁあっ! だ、だめ、いっしょ、だめぇ……!」

 ぶんぶんと首を横に振ってローゼがそう訴える。胸の頂が与えてくる小さなぴりりとした快感の所為で、蜜壺がぎゅっと締まったのがローゼ自身にもわかってしまった。

「ローゼ、ローゼ、可愛い、可愛い……」

 ローゼの顔の上で、イグナーツがまるで熱に浮かされたかのようなうっとりとした声を発する。

 けれど、その言葉に意識を向ける余裕などローゼにはなかった。

「あぁ、ローゼ……」
「ひぃっ」

 ふと、喉元に強い痛みが走る。驚けば、イグナーツがローゼの喉に噛みついていた。

 まるで、捕食するかのような姿だと思う。しかし、そこに長く意識を向けることはできなかった。

 彼の抽挿が激しくなり、それに伴いローゼの身体を襲う快楽も強いものになったためだ。

「ローゼ……ダメだ、一度、出させてくれっ……!」

 イグナーツがそう言って、ローゼの最奥をひときわ強く突いた。

 その瞬間、ローゼは甘く達してしまう。先ほどのような強すぎる絶頂じゃない。甘くて、溶かされそうなほどに優しい絶頂だった。

「……ぁ、いぐ、なーつさ、ま」

 彼がローゼの身体を抱きすくめ、肩口に顔をうずめる。最奥に、彼の欲が注がれているのがローゼにもわかった。

 ……上手くいけば、これで孕むことが出来るのだろう。

「ローゼ……」

 顔を上げて、彼がうっとりとしたような声でローゼのことを呼ぶ。

 なので、ローゼはそっと彼と視線を合わせた。……彼の目に宿る情欲は、全く収まっていない。

 イグナーツの両手が、ローゼの頬を挟む。優しく挟まれたかと思えば、唇に触れるだけの口づけが降ってきた。

「んんっ」

 ちゅっと音を立てて、何度も何度も口づけられる。その口づけはとても心地よく、ローゼの意識がそちらに集中していく。

 でも、ふと気が付く。……ローゼの蜜壺に埋まっているイグナーツの熱杭が、硬さを取り戻しつつあることに。

(男性って、一度出したら落ち着くものじゃ……)

 ローゼの拙い閨知識では、そうだったはずだ。なのに、彼の熱杭は硬度を失っていない。それどころか、先ほどよりもずっと硬いような気がする。

「あ、あの、イグナーツ、さま……?」

 恐る恐る彼の名前を呼べば、彼がきょとんとしたような表情でローゼを見つめてきた。

「どうした?」
「ま、まだ、硬くない、ですか……?」

 結合部に視線を向けようとするも、恥ずかしくて向けられなかった。

 でも、ローゼの言いたいことはわかったのだろう。イグナーツがふっと口元を緩めて、一度腰を引く。

 そして――。

「ぁんっ!」

 また、一気にローゼの最奥を突いた。

「ローゼが、悪いんだ」

 彼がさも当然のように、そう言ってくる。意味が、わからない。

「ローゼが、ローゼがあんまりにも可愛いからっ……! 一度じゃ、収まるわけがないんだっ……!」
「ひぃっ!」

 今度の抽挿は、ローゼのいい部分を入念に刺激してくるものだった。熱杭がローゼの膣壁を撫で上げる。

 ずるりと寸前まで引き抜かれたかと思えば、最奥を一気に穿つ。それだけ。たったそれだけのシンプルな動きなのに……ローゼは、これでもかというほどに感じてしまった。

「やだぁっ! も、も、だ、だめぇ……!」

 ただでさえもう何度も絶頂しているのだ。これ以上絶頂させられたら――身体が、壊れてしまう。

「も、ダメ、頭、惚けちゃう……!」

 ぶんぶんと首を横に振りながらそう訴える。そうすれば、ローゼの蜜壺に埋まったイグナーツの熱杭がさらに大きくなった。

 それに、ローゼが驚いて目を見開く。

「あぁ、一緒に惚けよう。……ローゼ、好きだ」
「っ――!」

 ふと耳元で囁かれた愛の言葉。その言葉にローゼの頭が混乱する。それとほぼ同時に――ローゼは絶頂し、意識を失ってしまうのだった。
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