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Re:1st 《錬金術師》と狂気の異世界
第15話 《仮想戦闘》
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『これより、生徒名“如月みこと“と生徒名“言野原進“のランク外通常戦闘を始めます』
機械の音が頭上から流れてきて、進はゆっくりと目を開けた。
そして目に入ってきたのは、田舎の畦道、あるいは農道……。
「いや、なんでやねん!」
どうして自分がその場所にいるのか、理解できずに進は思わずそう突っ込んだ。
それに反応したのか、それともそれが説明されるように設定されていたのか機械音はどうやらまだ続くようだ。
『生徒名“言野原進“の初参加を確認。開始前のチュートリアルを再生します』
(チュート、リアル……?)
ジジッ、とこの場に似合わないノイズが景色に混ざった。
機械音の質が、少し高くなった気がする。
『この空間は極めて現実的な仮想空間であり、仮想であって現実です』
相変わらず、厨二病設定が溢れた世界だなと進は呆れたように、どこから響いてくるのかもわからない機械音にため息をつく。
そんなもの、まるでどこかの《フルダイブシステム》じゃないか、とそんな思考を込めて。
そんな進の考えが読まれたのか、読まれていないのか。
『とはいえども、ここへは肉体ごと転移しているわけですのでVRゲームのように肉体が破損することがなかったり、体力というものがなかったりするわけではありません。あくまでも、別の世界に閉じ込められたと考えるのが妥当であります』
「おいおい、機械が比喩的用法を使うなんて聞いてない……」
『なお、この空間で死んだ場合は《蘇生》が行われます』
つまりは遠回しに、人を殺すことを推奨すると言われたようなものだ。
まぁもっとも、コロッセオとみことが言っていたので進には予想がついていたのだが。
それから数個の指摘、注意を受けたのちに、改めてカウントが始まる。
『両者残りライフ五。仮装戦闘開始まで残り五秒。四、三、二、一____』
けたたましく、ビィーーーーとサイレンがなる。
瞬間、場の雰囲気が戦場へとへ変化した。
____そういう演出?
(いや、ちがっ____)
閃光。
遅れて爆音。
花火なんかよりも、もっと心臓に悪い、そんな音が周囲に残響した。
進は遅れて理解する。
《雷撃》。
おそらく、《災害》とみことが言っていたあたりからこんなウエポンだろう、とはどこか予想していたがしかし。
「早いなぁ、おい!」
試合開始早々にこうなるとは思っていなかった。
少なくとも襲撃に備える時間くらいはあると思っていたのに。
遮蔽物の少ないこの場所だと、その一撃一撃が狙いやすいのか。
もう一発。今度は、進の左の指先をかすめていった。
(痛……くはない? この仮想空間の性質か)
流石に異世界とはいえど、学生に苦痛を与えるようなふざけた趣味はしていなかったようだ。
と、そんなことにホッとしている場合ではなかった。
「っ、またっ!?」
今度はスレスレの位置で回避した進は、嫌な笑みを顔に浮かべながらその攻撃の主を探そうと視線を動かす。
人間が雷の速度に反応できるわけがないので、今のは完全に雷が真っ直ぐに落ちてくれないで助かったと言ったところか。
(再攻撃までの間は、三秒くらいか?)
その感覚を考えてみて、進は首を横に振った。
相手がRPGじゃないんだから相手が常に一定の攻撃速度を保っているはずがないんだ、と。
視界の中には、その対峙している人間の姿はない。
まさか、彼は進を一切目視することなく攻撃を繰り返しているのか?
(流石に、否だろうな)
今ならば、脳筋という本当の意味がわかる気がする。
周囲さえも巻き込んで、圧倒的な威力を敵に突き付ける。
まさに“ディザスター“。
災害をその身に宿すもの。
ヒュウと風を切る音が聞こえた。
進は無意識にそれに向かって《変形》を唱える。
それで手応えがあったのならば案の定、というべきか。
「《落石》。そりゃぁ、こんな典型的な災害ならちゃんと“再現“されるよな」
十数センチメートルほどの、岩。
それだけ聞けば、両手の中に収まってしまいそうで全く怖さに書けるものだが、それが上空から落とされれば人一人を殺すくらい造作もない。
どうして《落雷》から《落石》へ能力の展開を変えたのか。
たった一つの理由、落石の方が安定した場所へ落とすことが可能だから、だろう。
進は畦道の先、稲が植えられた水田の中に体を投げ込んだ。
と、同時に先ほどまで進が存在していた空間に岩が降り注ぐ。
「チィ、このままじゃ……」
そう呟いて、周囲を見渡した進はその視界の端に何かをとらえた。
「あ、悪りぃ俺死んだ」
「これはそういう勝負だからな」
お互いにその声が聞こえる距離ではない場所。
しかし、お互いが何を言いたいのか察した様子で。
《災害》と《錬金術》は対峙して刹那の時間にそれは終わった。
『言野原進の死亡を確認。《蘇生転移》します。現在残りライフ数、五対四』
ハッと進は目を覚ます。
____何が起きた?
それは自分が蘇生されたことに関して放った疑問ではない。
自分の感覚を取り戻した左指先をじっと見つめながらそう思った。
(何をされた? どこから攻撃を喰らった? どこにそこの攻撃はあった?)
みことの姿をあの一瞬確かに捉えたのに、そのすぐ後には何をされたのかもわからずにただ一方的に瞬殺された。
その事実が進の心の中に蓄積する。
(何をされたのか、は一旦おいておいたとしても。上空からの攻撃には変わりがなかったはずなのに……、まったく知覚できなかったってのはどういう)
雷で打たれた、というのも何か違う気がする。
もっと何か、全身が押しつぶされるような。
しかしてそれは重いと感じるようなものでもなかったか。
「____空気?」
例えばこの学校には、風神の名を冠する能力を使う少女がいる。
彼女の能力は、効果範囲内のすべての空気の流れの掌握だが、まさかそれと同じことをやり遂げた?
断じて否である。
そもそも、みことにそれができるのならば多彩の才がある彼の方が、ただ“風を掌握する“というだけの能力を持つ彼女よりも順位的に上にいることだろう。
故に、もっと何か異なるもの。
やっていることは同じだとしても、方法が異なる。
彼の能力が《災害》の名を冠していて、それを再現できるというのならば。
「《下降気流》?」
ヒュゴォォォ、と上空で何かが鳴くようなそんな音がした。
「……確定、か」
まったく、と進は苦笑いをこぼす。
面倒臭いことをしてくれるな……と。
不可視というのは本当に厄介だ。
「ったく、みことのやつ……」
「同じ場所に止まって置くべきではないと思うけどな」
「っ、さっきから……。お前なんで俺の場所がわかるんだよぉ!?」
今回は、障害物の裏に隠れていたのに。
そうして早々に、進は二回死んだ。
もう一度《リスポーン》。
相変わらず、傷ひとつ無くなるまでに回復された自分の体に違和感を感じながらも進は、今度こそは、と移動を開始する。
(基本的に、みことは俺が攻撃する前に仕掛けてくる____。つまり待ち構えておけば必ず攻撃をしに来るわけだけど)
正面衝突になれば必ず負ける、ということが一回目の死によって検証されているので簡単にそれがいいとは言い切れなかった。
かといって、逃げ続けるというのも現実的ではない。
動けば体力を消費する。
それでみことと鉢合わせた場合はもっと最悪だ。
「《錬成》」
ということで、進は地面に向かって《ウエポン》を発動した。
少しでも時間を稼ぐために壁を作ろう……と。
もしもそれが、水田の中で作られていなかったら結果は変わっていたのかもしれない。
ポツ、
ポツリ、
ポツリポツリ、
ポツポツポツポツ、
ザァァァァァァ!!
ゴロゴロ、
ズドーン!
もはやそんな擬音でしか表すことのできない風景が公開されたのだから。
大洪水、雷雨。
あるいは、台風ですら再現してしまっているのかもしれない。
しかもそれ一つ一つが災害の名を冠した上位互換なのだからたまったものではない、か。
水は大地を侵食し、運搬し、そして大きな爪痕を残す。
進の作った壁もあっさりと。
「ちょっ、勘弁して……」
くれよ、と言おうとしたその続きは口にできなかった。
「勘弁はしてやらないさ。俺はS級なんだから」
「だからなんでお前は毎回いるんだよぉぉぉぉ!!」
撃沈!
***
『残りライフ五対零。試合終了。勝者、如月みこと。《帰還転移》まで三、二、一____』
「いや、強すぎ!」
現実へと戻ってきた進は思わず、と言った様子で叫んだ。
隣で同じように帰ってきたみことがそんな進を見てフフン、と自慢げに笑みを浮かべている。
ちぃ、と進は舌打ちをこぼしてその顔にチョップを落としてやった。
「あだっ!」
「ささやかな仕返しだよ、みことくん」
かなり強めに振り下ろしたので、かなりの痛みを伴うのだろう。
……仕掛けておいて進の方も痛い思いをしているし。
「つか、進。よく誤解も殺されておいて平然としていられるな……」
「いやいやいーや。動揺しまくりですよ!? まさか自分があれだけなぶり殺される羽目になるとは思ってなかったし……。でも、」
進は一度だけ言葉を切った。
「お前がどこまで強いのか認識できたしなぁ……」
「はぁ?」
「次は一本でも取ってやる。S級さまの泣きっ面を拝んでやる!」
「ライバル宣言かな!? なんかちょっと腹黒い部分が漏れ出してる気がしないでもないでもないけど!!」
ニシシ、と進は笑う。
今だけはこの世界の厳しさを忘れて、ただただ屈託なく。
そうしていつの間にか物語は進むのだ。
____最悪の。
否、定められた方向へと……。
機械の音が頭上から流れてきて、進はゆっくりと目を開けた。
そして目に入ってきたのは、田舎の畦道、あるいは農道……。
「いや、なんでやねん!」
どうして自分がその場所にいるのか、理解できずに進は思わずそう突っ込んだ。
それに反応したのか、それともそれが説明されるように設定されていたのか機械音はどうやらまだ続くようだ。
『生徒名“言野原進“の初参加を確認。開始前のチュートリアルを再生します』
(チュート、リアル……?)
ジジッ、とこの場に似合わないノイズが景色に混ざった。
機械音の質が、少し高くなった気がする。
『この空間は極めて現実的な仮想空間であり、仮想であって現実です』
相変わらず、厨二病設定が溢れた世界だなと進は呆れたように、どこから響いてくるのかもわからない機械音にため息をつく。
そんなもの、まるでどこかの《フルダイブシステム》じゃないか、とそんな思考を込めて。
そんな進の考えが読まれたのか、読まれていないのか。
『とはいえども、ここへは肉体ごと転移しているわけですのでVRゲームのように肉体が破損することがなかったり、体力というものがなかったりするわけではありません。あくまでも、別の世界に閉じ込められたと考えるのが妥当であります』
「おいおい、機械が比喩的用法を使うなんて聞いてない……」
『なお、この空間で死んだ場合は《蘇生》が行われます』
つまりは遠回しに、人を殺すことを推奨すると言われたようなものだ。
まぁもっとも、コロッセオとみことが言っていたので進には予想がついていたのだが。
それから数個の指摘、注意を受けたのちに、改めてカウントが始まる。
『両者残りライフ五。仮装戦闘開始まで残り五秒。四、三、二、一____』
けたたましく、ビィーーーーとサイレンがなる。
瞬間、場の雰囲気が戦場へとへ変化した。
____そういう演出?
(いや、ちがっ____)
閃光。
遅れて爆音。
花火なんかよりも、もっと心臓に悪い、そんな音が周囲に残響した。
進は遅れて理解する。
《雷撃》。
おそらく、《災害》とみことが言っていたあたりからこんなウエポンだろう、とはどこか予想していたがしかし。
「早いなぁ、おい!」
試合開始早々にこうなるとは思っていなかった。
少なくとも襲撃に備える時間くらいはあると思っていたのに。
遮蔽物の少ないこの場所だと、その一撃一撃が狙いやすいのか。
もう一発。今度は、進の左の指先をかすめていった。
(痛……くはない? この仮想空間の性質か)
流石に異世界とはいえど、学生に苦痛を与えるようなふざけた趣味はしていなかったようだ。
と、そんなことにホッとしている場合ではなかった。
「っ、またっ!?」
今度はスレスレの位置で回避した進は、嫌な笑みを顔に浮かべながらその攻撃の主を探そうと視線を動かす。
人間が雷の速度に反応できるわけがないので、今のは完全に雷が真っ直ぐに落ちてくれないで助かったと言ったところか。
(再攻撃までの間は、三秒くらいか?)
その感覚を考えてみて、進は首を横に振った。
相手がRPGじゃないんだから相手が常に一定の攻撃速度を保っているはずがないんだ、と。
視界の中には、その対峙している人間の姿はない。
まさか、彼は進を一切目視することなく攻撃を繰り返しているのか?
(流石に、否だろうな)
今ならば、脳筋という本当の意味がわかる気がする。
周囲さえも巻き込んで、圧倒的な威力を敵に突き付ける。
まさに“ディザスター“。
災害をその身に宿すもの。
ヒュウと風を切る音が聞こえた。
進は無意識にそれに向かって《変形》を唱える。
それで手応えがあったのならば案の定、というべきか。
「《落石》。そりゃぁ、こんな典型的な災害ならちゃんと“再現“されるよな」
十数センチメートルほどの、岩。
それだけ聞けば、両手の中に収まってしまいそうで全く怖さに書けるものだが、それが上空から落とされれば人一人を殺すくらい造作もない。
どうして《落雷》から《落石》へ能力の展開を変えたのか。
たった一つの理由、落石の方が安定した場所へ落とすことが可能だから、だろう。
進は畦道の先、稲が植えられた水田の中に体を投げ込んだ。
と、同時に先ほどまで進が存在していた空間に岩が降り注ぐ。
「チィ、このままじゃ……」
そう呟いて、周囲を見渡した進はその視界の端に何かをとらえた。
「あ、悪りぃ俺死んだ」
「これはそういう勝負だからな」
お互いにその声が聞こえる距離ではない場所。
しかし、お互いが何を言いたいのか察した様子で。
《災害》と《錬金術》は対峙して刹那の時間にそれは終わった。
『言野原進の死亡を確認。《蘇生転移》します。現在残りライフ数、五対四』
ハッと進は目を覚ます。
____何が起きた?
それは自分が蘇生されたことに関して放った疑問ではない。
自分の感覚を取り戻した左指先をじっと見つめながらそう思った。
(何をされた? どこから攻撃を喰らった? どこにそこの攻撃はあった?)
みことの姿をあの一瞬確かに捉えたのに、そのすぐ後には何をされたのかもわからずにただ一方的に瞬殺された。
その事実が進の心の中に蓄積する。
(何をされたのか、は一旦おいておいたとしても。上空からの攻撃には変わりがなかったはずなのに……、まったく知覚できなかったってのはどういう)
雷で打たれた、というのも何か違う気がする。
もっと何か、全身が押しつぶされるような。
しかしてそれは重いと感じるようなものでもなかったか。
「____空気?」
例えばこの学校には、風神の名を冠する能力を使う少女がいる。
彼女の能力は、効果範囲内のすべての空気の流れの掌握だが、まさかそれと同じことをやり遂げた?
断じて否である。
そもそも、みことにそれができるのならば多彩の才がある彼の方が、ただ“風を掌握する“というだけの能力を持つ彼女よりも順位的に上にいることだろう。
故に、もっと何か異なるもの。
やっていることは同じだとしても、方法が異なる。
彼の能力が《災害》の名を冠していて、それを再現できるというのならば。
「《下降気流》?」
ヒュゴォォォ、と上空で何かが鳴くようなそんな音がした。
「……確定、か」
まったく、と進は苦笑いをこぼす。
面倒臭いことをしてくれるな……と。
不可視というのは本当に厄介だ。
「ったく、みことのやつ……」
「同じ場所に止まって置くべきではないと思うけどな」
「っ、さっきから……。お前なんで俺の場所がわかるんだよぉ!?」
今回は、障害物の裏に隠れていたのに。
そうして早々に、進は二回死んだ。
もう一度《リスポーン》。
相変わらず、傷ひとつ無くなるまでに回復された自分の体に違和感を感じながらも進は、今度こそは、と移動を開始する。
(基本的に、みことは俺が攻撃する前に仕掛けてくる____。つまり待ち構えておけば必ず攻撃をしに来るわけだけど)
正面衝突になれば必ず負ける、ということが一回目の死によって検証されているので簡単にそれがいいとは言い切れなかった。
かといって、逃げ続けるというのも現実的ではない。
動けば体力を消費する。
それでみことと鉢合わせた場合はもっと最悪だ。
「《錬成》」
ということで、進は地面に向かって《ウエポン》を発動した。
少しでも時間を稼ぐために壁を作ろう……と。
もしもそれが、水田の中で作られていなかったら結果は変わっていたのかもしれない。
ポツ、
ポツリ、
ポツリポツリ、
ポツポツポツポツ、
ザァァァァァァ!!
ゴロゴロ、
ズドーン!
もはやそんな擬音でしか表すことのできない風景が公開されたのだから。
大洪水、雷雨。
あるいは、台風ですら再現してしまっているのかもしれない。
しかもそれ一つ一つが災害の名を冠した上位互換なのだからたまったものではない、か。
水は大地を侵食し、運搬し、そして大きな爪痕を残す。
進の作った壁もあっさりと。
「ちょっ、勘弁して……」
くれよ、と言おうとしたその続きは口にできなかった。
「勘弁はしてやらないさ。俺はS級なんだから」
「だからなんでお前は毎回いるんだよぉぉぉぉ!!」
撃沈!
***
『残りライフ五対零。試合終了。勝者、如月みこと。《帰還転移》まで三、二、一____』
「いや、強すぎ!」
現実へと戻ってきた進は思わず、と言った様子で叫んだ。
隣で同じように帰ってきたみことがそんな進を見てフフン、と自慢げに笑みを浮かべている。
ちぃ、と進は舌打ちをこぼしてその顔にチョップを落としてやった。
「あだっ!」
「ささやかな仕返しだよ、みことくん」
かなり強めに振り下ろしたので、かなりの痛みを伴うのだろう。
……仕掛けておいて進の方も痛い思いをしているし。
「つか、進。よく誤解も殺されておいて平然としていられるな……」
「いやいやいーや。動揺しまくりですよ!? まさか自分があれだけなぶり殺される羽目になるとは思ってなかったし……。でも、」
進は一度だけ言葉を切った。
「お前がどこまで強いのか認識できたしなぁ……」
「はぁ?」
「次は一本でも取ってやる。S級さまの泣きっ面を拝んでやる!」
「ライバル宣言かな!? なんかちょっと腹黒い部分が漏れ出してる気がしないでもないでもないけど!!」
ニシシ、と進は笑う。
今だけはこの世界の厳しさを忘れて、ただただ屈託なく。
そうしていつの間にか物語は進むのだ。
____最悪の。
否、定められた方向へと……。
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