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Re:1st 《錬金術師》と狂気の異世界
第14話 学校探索?
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放課後。
みことに案内されて、進がたどり着いたのは結局薄暗い____否、意図的に明かりを薄暗くしているとでも思えるような空間だった。
「……ここ、は?」
生徒が頻繁に出入りしているくせにそこはその明るさなのだ。
まるでできるだけ劣化するのを防ぐ意図があるかのような。さながらそれは大切なものを隠しているようである。
「“仮想戦闘場“だな」
あながち、進の考えは間違っていなかったのか。
みことがいうように、その空間は特殊な機械で埋め尽くされていた。
「なんだ、これ」
その機械の一つに手を伸ばして、触れてみるがただ冷たいだけで他の大型機械と何が違うのかはよくわからない。
そんな進を見ながらみことがハハハと笑って、しかしバカにすることもなくきちんと説明を返してくれた。
「それ本体が俺たちを“仮想戦闘場“に運んでくれる装置、かな」
「それはまた便利な……」
進はそう答えて、機械に触れていた手を離した。
みことがやってみるか、というような目を向けていたが、進は首を横に振った。
「流石に今日は疲れた。寮に帰って休みたい」
それに、寮そのものへの引っ越し作業が完全に終わったわけではないのだし。
彼自身、この世界にきて一ヶ月もせずに引っ越しをすることになるとは思っていなかった。
そもそも、自身が学園に従学することになるなど、あのメモリーと話した瞬間には考えてもいなかったことだろう。
(学校に縛られるのは、嫌だったはずなのになーー。なんでだろーなーー)
心当たりのある少女に心の中で、わざとらしい声を送って。
進は、そっと考えた。
今進の生きているこの状況はメモリーにはどう見えているのだろうか、と。
彼女のことだから、この状況になることも全て見通していた可能性もあるか。
(そう思うと、なんか不思議な感覚だな)
手のひらの上で転がされている、というか。
「ま、進と同じで俺も今日は早く帰って寝たい気分なんだ」
「なんで?」
「んーと。今日一日進のボケに突っ込まされて疲れたからかな」
「しょうがない。それはお前のセンスが良かったんだから」
フフッ、とお互いに笑い合った。そんな中、みことの視線がゆらりと揺れた気がして、進はその目をハッと見返す。
「どうした?」
しかし、そこにそんな目は存在しておらず不審に思ったらしいみことに聞き返されるだけだった。
見間違いか____否、そうではない。
(こいつにも何か隠し事が存在する、か)
ま、そうだろうなと進は早めに理解していた。
何も隠さずに生きてきている人間なんていないだろうし、無理だろうし。
《オリジン》という進の元いた世界よりも多少物騒な場所ならば尚更のことだろう。
「____ん、あっちで何か」
みことがそう言う。
視線の先、その方向を見てみるが、その先にはただ壁があるだけで。
「どうしたみこと。もしかして幻覚でも見えてるのか?」
「いやいや、んなことはねぇよ。ただ、ずっと向こうで戦闘が起こったみたいだから、なんなんだろうってな」
「戦、闘?」
「しかもこれは____《風神》?」
それを聞いて、怪訝そうな顔をした進はみことの方を改めて見つめ直した。
その顔に書いてあることを読み取ったのか、みことは大丈夫だろうと静かに言う。
確かに、流星学園序列No3、全国S級序列No4という破格の戦績をもつ彼女ならそうか____とならないのが進クオリティ。
(強者が絶対に負けない、なんて世界は間違ってる)
だとしてもそれは今ではないだろう。彼女のことだ。
多少のピンチはどうにかして切り抜けてくれるはずだから。
「つか、なんで戦闘になってるんだよ」
まさかまた襲撃のようなものにあったのか、と呆れながらに進は呟く。
その意味を汲み取れなかったのかみことはコテンと首をかしげている。
それにはなんでもないよ、と進は返した。
「……まぁ、いいけどさ。」
「そういやみこと。どうやって遠くの戦闘がわかったんだよ。おまえの《ウエポン》?」
「いいや?」
じゃぁ本当にどうやったんだよ、と進が聞くと企業秘密だ、とみことは返す。
どうやら、そういうことらしかった。
どう言うことだか。
「俺の《ウエポン》はバリバリの攻撃系だよ……。そう、攻撃以外何もできない脳筋のな?」
なぜか自嘲するような言葉だったが、進にその理由を理解することはできなかった。
他人のことをそうそう簡単にできたら、それは本当の意味での《エスパー》だが。
気遣う……わけではないが、進はニヤリと笑う。
「チッチッチ、力こそパワーなんだよみことくん」
「力もパワーも同じ意味だし、何を言いたいのか全くわからないけどね!?」
「何を言っている、俺にも理解できないんだから勝手に理解してろ!」
いや無理だよっ、というみことの叫びは置いておいて。
薄暗い中でも、人の多い場所だったからそれですら不快には感じなかった。
進は思う。
(ヤベェ、結局この学校の構図全く覚えれてねぇ……)
なんせ、敷地が広すぎる。
さすが、一万人規模を収集する学校である。
しかも、それに加えて《ウエポン》の研究等々の施設も専門的に扱っているらしく、そのための施設が校舎を二、三倍にまで拡張してしまっているのだ。
……それに加えて、地下まであるとか聞いてない。
「そんなに俺の《ウエポン》が知りたいなら、一回戦ってみるか?」
だから、今日は疲れたんだってといいかけて進はそういえばといった調子で訪ねる。
「お前、強いの?」
単純にして、紛れもない素朴。
それでいて、この世界では嫌と思うくらいに大切なもの。
それの順位によっては進路も、就職先も全てが変わってしまう、というのに。
みことはフフッと笑って進の方をしっかりと見つめた。
「____この学園の中でいけばNo5。つまり、校内S級順位の暫定序列5位」
「っ!?」
「それとも、能力名で《災害》と言った方がいいか?」
ゾクリ。
進の体を駆けたのは言葉に表すことのできないそんな感覚。
嫌悪感、なんてものとは月とスッポンくらいかけ離れていて、それでも正反対となる愛好感ともまたかけ離れている。
故にそれを無理やり言葉に表すとすれば、高揚感といったところだろうか。
「もう一回聞くけどさ。お前は強いのか?」
「あぁ、強いよ」
断定にして断言。
しかしそれを驕り高ぶっていると冷やかすものは周囲のどこにもいない。
自他ともに認めるこの学園屈指の戦力だと、進が判断するのに時間はかからなかった。
クハハ、と無意識に進は笑いをこぼす。
「なんだ、俺はこんなに面白そうなやつとの戦闘を避けてたのかよ」
「……進?」
みことが、大丈夫かお前と心配そうに覗き混んできたが進はそれに目線で答えて大きく深呼吸を数回しなおした。
「試合をしてくれるのか? S級様」
「様いうな! っていうツッコミは今いらないので?」
「やってください、俺と一試合だけでも手合わせしてください、よろしくお願いしますみこと様ーー! なんでもやりますから。食事のご用意でも、夜の御相手でもぉ!?」
「一個だけ不穏なものが進の口から聞こえたことに関しては無視してもいいよな!?」
一通りにツッコミをしてから、みことははぁとため息を一度だけつく。
____そこまで言われなくとも、一試合くらいはやってやるっての。
この言葉聞いた時に、どれだけ歓喜したか進は思い出せないくらいには舞い上がっていた。
「それに、この学校では転入生をS級がボコボコにしてトラウマを植え付けるっていう伝統があるんだ」
「ほぅ。せいぜい俺にもトラウマを植え付けることができるように頑張るんだなみこと」
「だいたい、最後に泣くやつはそう言うんだよ」
コツン、と両者の拳が軽く触れ合った。
それが、一般人から戦闘師へ精神を切り替えるスイッチであった。
進は三度思う。
(S級が圧倒的な力を持っているなんてわかってる)
と。
しかしながらそれでも進は勝負を仕掛けたのだ。
彼にしてしまえば、勝算も戦略もあったもんじゃなかったが、単純に自分がどれくらいの戦力なるのかを確かめておきたかった。
少なくとも。
(俺がこの世界で上位に立ってるとかそんなわけがないからね! 別に《錬金術》はチートスキルじゃないよ!)
チートスキル“錬金術“で無双するラノベのそれは結局、主人公の頭の作りが自分と違うか、錬金術がその域を超えて得るんだよ、と羨ましげに進は舌打ちした。
(控えめに言って俺にできない錬金術チートは死ね!! ____あ、はいすみません。俺の扱い方が下手なだけです)
この世界にはいないはずのオタクたちに怒られた気がした。
それと同時に、進は浮遊感に包まれる。
不思議とそれは、初めて体験したような気がしなかった。
みことに案内されて、進がたどり着いたのは結局薄暗い____否、意図的に明かりを薄暗くしているとでも思えるような空間だった。
「……ここ、は?」
生徒が頻繁に出入りしているくせにそこはその明るさなのだ。
まるでできるだけ劣化するのを防ぐ意図があるかのような。さながらそれは大切なものを隠しているようである。
「“仮想戦闘場“だな」
あながち、進の考えは間違っていなかったのか。
みことがいうように、その空間は特殊な機械で埋め尽くされていた。
「なんだ、これ」
その機械の一つに手を伸ばして、触れてみるがただ冷たいだけで他の大型機械と何が違うのかはよくわからない。
そんな進を見ながらみことがハハハと笑って、しかしバカにすることもなくきちんと説明を返してくれた。
「それ本体が俺たちを“仮想戦闘場“に運んでくれる装置、かな」
「それはまた便利な……」
進はそう答えて、機械に触れていた手を離した。
みことがやってみるか、というような目を向けていたが、進は首を横に振った。
「流石に今日は疲れた。寮に帰って休みたい」
それに、寮そのものへの引っ越し作業が完全に終わったわけではないのだし。
彼自身、この世界にきて一ヶ月もせずに引っ越しをすることになるとは思っていなかった。
そもそも、自身が学園に従学することになるなど、あのメモリーと話した瞬間には考えてもいなかったことだろう。
(学校に縛られるのは、嫌だったはずなのになーー。なんでだろーなーー)
心当たりのある少女に心の中で、わざとらしい声を送って。
進は、そっと考えた。
今進の生きているこの状況はメモリーにはどう見えているのだろうか、と。
彼女のことだから、この状況になることも全て見通していた可能性もあるか。
(そう思うと、なんか不思議な感覚だな)
手のひらの上で転がされている、というか。
「ま、進と同じで俺も今日は早く帰って寝たい気分なんだ」
「なんで?」
「んーと。今日一日進のボケに突っ込まされて疲れたからかな」
「しょうがない。それはお前のセンスが良かったんだから」
フフッ、とお互いに笑い合った。そんな中、みことの視線がゆらりと揺れた気がして、進はその目をハッと見返す。
「どうした?」
しかし、そこにそんな目は存在しておらず不審に思ったらしいみことに聞き返されるだけだった。
見間違いか____否、そうではない。
(こいつにも何か隠し事が存在する、か)
ま、そうだろうなと進は早めに理解していた。
何も隠さずに生きてきている人間なんていないだろうし、無理だろうし。
《オリジン》という進の元いた世界よりも多少物騒な場所ならば尚更のことだろう。
「____ん、あっちで何か」
みことがそう言う。
視線の先、その方向を見てみるが、その先にはただ壁があるだけで。
「どうしたみこと。もしかして幻覚でも見えてるのか?」
「いやいや、んなことはねぇよ。ただ、ずっと向こうで戦闘が起こったみたいだから、なんなんだろうってな」
「戦、闘?」
「しかもこれは____《風神》?」
それを聞いて、怪訝そうな顔をした進はみことの方を改めて見つめ直した。
その顔に書いてあることを読み取ったのか、みことは大丈夫だろうと静かに言う。
確かに、流星学園序列No3、全国S級序列No4という破格の戦績をもつ彼女ならそうか____とならないのが進クオリティ。
(強者が絶対に負けない、なんて世界は間違ってる)
だとしてもそれは今ではないだろう。彼女のことだ。
多少のピンチはどうにかして切り抜けてくれるはずだから。
「つか、なんで戦闘になってるんだよ」
まさかまた襲撃のようなものにあったのか、と呆れながらに進は呟く。
その意味を汲み取れなかったのかみことはコテンと首をかしげている。
それにはなんでもないよ、と進は返した。
「……まぁ、いいけどさ。」
「そういやみこと。どうやって遠くの戦闘がわかったんだよ。おまえの《ウエポン》?」
「いいや?」
じゃぁ本当にどうやったんだよ、と進が聞くと企業秘密だ、とみことは返す。
どうやら、そういうことらしかった。
どう言うことだか。
「俺の《ウエポン》はバリバリの攻撃系だよ……。そう、攻撃以外何もできない脳筋のな?」
なぜか自嘲するような言葉だったが、進にその理由を理解することはできなかった。
他人のことをそうそう簡単にできたら、それは本当の意味での《エスパー》だが。
気遣う……わけではないが、進はニヤリと笑う。
「チッチッチ、力こそパワーなんだよみことくん」
「力もパワーも同じ意味だし、何を言いたいのか全くわからないけどね!?」
「何を言っている、俺にも理解できないんだから勝手に理解してろ!」
いや無理だよっ、というみことの叫びは置いておいて。
薄暗い中でも、人の多い場所だったからそれですら不快には感じなかった。
進は思う。
(ヤベェ、結局この学校の構図全く覚えれてねぇ……)
なんせ、敷地が広すぎる。
さすが、一万人規模を収集する学校である。
しかも、それに加えて《ウエポン》の研究等々の施設も専門的に扱っているらしく、そのための施設が校舎を二、三倍にまで拡張してしまっているのだ。
……それに加えて、地下まであるとか聞いてない。
「そんなに俺の《ウエポン》が知りたいなら、一回戦ってみるか?」
だから、今日は疲れたんだってといいかけて進はそういえばといった調子で訪ねる。
「お前、強いの?」
単純にして、紛れもない素朴。
それでいて、この世界では嫌と思うくらいに大切なもの。
それの順位によっては進路も、就職先も全てが変わってしまう、というのに。
みことはフフッと笑って進の方をしっかりと見つめた。
「____この学園の中でいけばNo5。つまり、校内S級順位の暫定序列5位」
「っ!?」
「それとも、能力名で《災害》と言った方がいいか?」
ゾクリ。
進の体を駆けたのは言葉に表すことのできないそんな感覚。
嫌悪感、なんてものとは月とスッポンくらいかけ離れていて、それでも正反対となる愛好感ともまたかけ離れている。
故にそれを無理やり言葉に表すとすれば、高揚感といったところだろうか。
「もう一回聞くけどさ。お前は強いのか?」
「あぁ、強いよ」
断定にして断言。
しかしそれを驕り高ぶっていると冷やかすものは周囲のどこにもいない。
自他ともに認めるこの学園屈指の戦力だと、進が判断するのに時間はかからなかった。
クハハ、と無意識に進は笑いをこぼす。
「なんだ、俺はこんなに面白そうなやつとの戦闘を避けてたのかよ」
「……進?」
みことが、大丈夫かお前と心配そうに覗き混んできたが進はそれに目線で答えて大きく深呼吸を数回しなおした。
「試合をしてくれるのか? S級様」
「様いうな! っていうツッコミは今いらないので?」
「やってください、俺と一試合だけでも手合わせしてください、よろしくお願いしますみこと様ーー! なんでもやりますから。食事のご用意でも、夜の御相手でもぉ!?」
「一個だけ不穏なものが進の口から聞こえたことに関しては無視してもいいよな!?」
一通りにツッコミをしてから、みことははぁとため息を一度だけつく。
____そこまで言われなくとも、一試合くらいはやってやるっての。
この言葉聞いた時に、どれだけ歓喜したか進は思い出せないくらいには舞い上がっていた。
「それに、この学校では転入生をS級がボコボコにしてトラウマを植え付けるっていう伝統があるんだ」
「ほぅ。せいぜい俺にもトラウマを植え付けることができるように頑張るんだなみこと」
「だいたい、最後に泣くやつはそう言うんだよ」
コツン、と両者の拳が軽く触れ合った。
それが、一般人から戦闘師へ精神を切り替えるスイッチであった。
進は三度思う。
(S級が圧倒的な力を持っているなんてわかってる)
と。
しかしながらそれでも進は勝負を仕掛けたのだ。
彼にしてしまえば、勝算も戦略もあったもんじゃなかったが、単純に自分がどれくらいの戦力なるのかを確かめておきたかった。
少なくとも。
(俺がこの世界で上位に立ってるとかそんなわけがないからね! 別に《錬金術》はチートスキルじゃないよ!)
チートスキル“錬金術“で無双するラノベのそれは結局、主人公の頭の作りが自分と違うか、錬金術がその域を超えて得るんだよ、と羨ましげに進は舌打ちした。
(控えめに言って俺にできない錬金術チートは死ね!! ____あ、はいすみません。俺の扱い方が下手なだけです)
この世界にはいないはずのオタクたちに怒られた気がした。
それと同時に、進は浮遊感に包まれる。
不思議とそれは、初めて体験したような気がしなかった。
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