【朱いセーターの女】

ガネード

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【朱いセーターの女】

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【朱いセーターの女】

 不運続きの海雲誠司(かいうん せいじ)は、久し振りに会った元会社の後輩の斗北寅吉(とぼく とらきち)から幸せそうな話を聞いた。
「その朱いセーターを着た占い師の人が、水晶球を眺めて言ったんです。北東を目指せば幸運が訪れるって。で、東北の方に旅行に行ったら、出会っちゃったんです。今の嫁さんに。どうですか?凄くないですか?」
「うーん。ただの幸せ話にしか聞こえんが」
「とにかく、朱いセーターを着た占い師の女性を見付けたら、絶対、占って貰った方が良いですよ」
「分かった。もし、見つけたら、そうするよ」
全然、信じていない海雲だったが、何気に、携帯で検索してみると、信憑性の高い結果が出てきた。朱いセーターを着た占い師のお告げがヤバすぎる!そんな言葉ばかりだった。海雲は、その占い師が占っている場所を検索していた。すると、だいたい、関東の何処か、主に、東京の23区。特に新宿の出現率が一番高く、占いで、占う場所を決めているらしい。海雲は、気付けば、その占い師を捜していた。

 全然、見つからなかった。まぁ、当然である。よくある情報と言えば、ここで占っているという情報。しかし、そこに行くといないのだ。まるで、避けられているように。
「くそぉ、なんなんだよ」
海雲は、イライラしていたが、考え方を変えた。普通に考えれば、おかしい考えだが、正攻法ではダメだと思い、海雲は、占いを始めた。タロットカードである。その中でも、方角を占うホロスコープスプレッドだ。カードの結果に従って、その方角に望むものがあるという感じである。で、何回か、挑戦してみたが、見当違いの結果しか導かれなかった。
「先輩、この前、朱いセーターの占い師に会ったんですよ」
「はぁ?俺は、ずっと捜してるのに。どうやって、見つけたんだ?」
「いや。普通に出現場所を検索して……」
海雲は、自分の不運を呪った。
「その時、その占い師が、変な事、言ったんですよ。もし、貴方の身近で、わたしを捜している人がいたら伝えてください。『まだ、会うのは早過ぎると』って。もしかして、先輩の事ですか?」
「なんだ?その解答は??」
やっぱり、自分は、意図的に避けられていると確信した海雲。その占い師の名は、浦名桔梗(うらな ききょう)。絶対に見つけてやる。その海雲の意志とは比例せず、彼が、彼女と出会うのは、そこから3年後の話である。それまで、彼は彼女を捜し続けた。

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