『え?みんな弱すぎない?』現代では俺の魔法は古代魔法で最強でした!100年前の勇者パーティーの魔法使いがまた世界を救う

さかいおさむ

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第三章 エルフの森

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「触手!? 一体なにをしてるの!?」

 紫牙草の触手は眠るアルカンタラを完全に覆い尽くした。

「……まずいな……もしかすると紫牙草は人間の栄養を吸収するのかもしれん……」
 エルフの女剣士がつぶやく。

「きゅ、吸収!? アルカンタラを吸収するってこと?」

「植物の中には虫を取り込んで栄養を摂る種類もいる。そしてこの大きさの紫牙草なら人間を取り込んでもおかしくない」

「そんな……こうなったら、私たちだけでやるしかないのね……!」

「ああ、すぐに吸収され死んでしまうということはないと思うが……呑気に逃げてる時間はなさそうだな。ミルリーフ、絶対に花粉は吸うんじゃないぞ」

 二人の女剣士は絶体絶命の状況の中、少し微笑みながら剣を握った。
「いくぞ!」

 アルカンタラの体は持ち上げられ、今や花の中心で繭のように覆われている。
 巨大な花だ。アルカンタラを助けるため、茎を斬り倒そうとミルリーフはモンスターの太い茎を斬りつける。

『ザッ!』

 しかし、傷は入るものの茎を完全に斬る事は難しい。
 女剣士も続けて剣を振るうも、力はミルリーフに劣る女剣士の攻撃は茎にうっすらと跡が付くくらいだった。

「なんて丈夫なモンスターなの!? こうなったら……」
 ミルリーフはモンスターに向け、手をかざす。
 手のひらからは炎の弾丸が放たれる。

「魔法……! そうか、ミルリーフは魔法も使えるんだったな。それもこれほどの魔法を……」
 自分と同等の剣の技術に加え、本職の魔法は女賢者アゼリ譲りの高度な魔法を使えるミルリーフに恐ろしさを感じる女剣士だった。

 炎魔法にひるむモンスター。その隙に女剣士も剣で加勢する。
 しかし、紫牙草も反撃を繰り出す。
 花粉を撒き散らしながら、ツルを鞭のようにビュンビュンと振るう。
 二人はツルを剣で受け止め、花粉を吸い込まないように距離を取る。

「はぁはぁ……くそ! あのツルも邪魔だし、なにより花粉がやっかいね!」
 花粉を吸い込まないため口元を布で塞ぎながら戦う二人の体力の消耗を激しかった。

「そろそろアルカンタラも吸収され始める頃だろう……まずいな。そもそも私たちの剣がまるで通用しない」
 エルフの女剣士は悔しそうにうつむく。

 モンスターは二人に近づきツルを振り回す。

「く……もうしょうがないわね。本気でやってやるわ!」

「ほ、本気!? お前……本気でやってなかったのか!?」ミルリーフの言葉に驚く女剣士だった。

「いや……本気出してないわけじゃないけど……あれ以上強く斬ると剣が壊れちゃいそうで……」
 ミルリーフは以前、ヘビを斬った時に感じた剣の違和感、そしてアルカンタラが言った『ミルリーフの力に剣が耐えられない』という言葉を思い出していた。

「剣が壊れる……!? そんな馬鹿なことがあるのか……?」

「でも、もうそんなことも言ってられないわね。アルカンタラの命が危ないわ」

 地面を強く蹴り、モンスターへと飛びかかる。
 ミルリーフは今まで以上に剣を握りしめ、全力で太い茎に向かい斬りかかる。

『パキッ!』ミルリーフの剣から嫌な音が響く。
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