『え?みんな弱すぎない?』現代では俺の魔法は古代魔法で最強でした!100年前の勇者パーティーの魔法使いがまた世界を救う

さかいおさむ

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第二章 冒険者ギルド

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「うわぁ……思ってたより良い剣ばかりね……」

 倉庫にはズラッと剣が並べられていた。
 さすがはギルドの所長、どの剣も質の良いものばかりだった。
 飾るほどではない剣ということで、それほどの剣は期待していなかったミルリーフは驚いた。

「ふふふ、アイテム収集は私の趣味ですからね。このあたりの剣だって、勇者の剣には劣りますが、なかなかの品を集めてありますよ?」
 父親は得意げな笑みを浮かべる。

「この中から好きなものを差し上げますよ」

「気前が良いなオッサン! 見直したぞ、タダの勇者オタクじゃわかったんだな」
 アルカンタラは父親の背中をバンっと叩く。


 ミルリーフは剣の山から1本の剣を選んだ。シンプルな作りだが質のいい鉄を使われていそうな1本だ。

「ほう、さすがミルリーフ様、お目が高い! その剣はかつて魔族を倒した戦士が――――」

 いつものように長ったらしいウンチクを聞き流すアルカンタラたちだった。


「なるほど……良い剣なんですね。じゃあ……この剣をいただきます」

「どうぞ、この剣がいつか新たな魔王を斬るかもしれないなんて……くぅ! その時は私の1番の自慢になりますよッ!」

「はは……そうなるといいんですけどね……」父親の興奮に苦笑いのミルリーフだった。

 よかったら庭で試し斬りでも、という父親の言葉で一同は庭に集まった。


 さっそくもらったばかりの剣を構えるミルリーフ。

「ほう、さすがソーサーの子孫だ……雰囲気あるな」
 いつもはザコ魔法使いとバカにするアルカンタラだったが、この時のミルリーフには驚かされた。

「お前、魔法使いより剣士の方が向いてるんじゃねぇか?」

「ふふ、考えておくわ。久しぶりね、剣なんて……」
 そう言いミルリーフは強く踏み出し、剣を振り下ろす。

『ザッ』
 という、風切り音が庭に響く。

「おお……やるな……」
 ミルリーフの剣のセンスにアルカンタラは目を見開く。

 それからもミルリーフは剣を振り回す。まるで踊っているかのように軽やかに剣を振る。

「うう、まるで勇者ソーサー様を見ているようです……」
「お父様……ワタクシには見えます……ソーサー様の幻影が……!」
 ミルリーフの舞に涙を流すポピー親子。

「うるさいなこのオタクどもは……」
 3人はしばらくミルリーフの剣舞に魅入っていた。


「ふう、久しぶりだったけど、なかなかのものだったんじゃないかしら?」
 心なしかいつもよりも得意げなミルリーフだった。

「フン! まだまだ全然だ、ソーサーには遠く及ばないな!」
「当たり前でしょ! 勇者と比べないでちょうだい!」

 怒るミルリーフだったが、ソーサーと比較するほどの才能を感じたアルカンタラだった。

「いやぁ、素晴らしいものを見せていただきました……感激です……ソーサー様の生き写しのような……まあ、ソーサー様を見た事あるわけじゃないですが……」
 ポピーの父親は涙を流していた。

 ここでアルカンタラは1つ良いことを思いついた。

「ふふ、おいオッサン、ソーサーはもう見れないが……あの勇者の剣を使った舞なら見れるんじゃねぇか?
 勇者の子孫が勇者の剣を使う姿なんて、なかなか見れるもんじゃねぇぞ?」

 アルカンタラはニヤリと笑う。アルカンタラ自身、その光景を見てみたくなっていたのだ。
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