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第二章 冒険者ギルド
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「な、な、な…なんですって!? ドワーフに会って、エルフに会いに行くですって!?」
予想通り、ドワーフと会ったと話をするとポピーの父親は気が動転していた。
「あ、ああ……そのつもりだ……」
「まさか……ドワーフがこの街に……くぅ、見てみたかった、お話してみたかった!」
「うぅ……ワタクシもですわ、お父様」
抱き合い涙するポピー親子を呆れた目で見るアルカンタラ。
「と、とにかく、私たちは明日にでもこの街を発つつもりです。この数日間、本当にお世話になりました」
ミルリーフは涙を流すポピー親子に頭を下げる。
「そんな! みずくさいじゃないですか。私も連れて行ってくださいよ! 生きてる間にエルフを見れる機会なんてないですよ。いいですよね、アルカンタラ様!?」
アルカンタラにくっつき懇願する父親。
「……オッサン、アンタはギルドの所長だろ? なに馬鹿なこと言ってんだ」
「うう……こんなチャンス滅多にないのに……」
「アルカンタラ様の言う通りですわ! お父様は立場のある人なんですから、わきまえてください! その代わり……ワタクシを連れて行ってくださいぃ!」
ミルリーフに泣きつくポピー。
「まったく親子揃って……ポピーちゃん、あなたも無理よ。第一、ポピーちゃんは冒険者じゃないでしょう……?」
「うぅ……お父様! お父様の権力でワタクシもSランク冒険者に裏口合格させてください!」
泣きじゃくるポピー。
「……ほんとこいつら、勇者絡みなるとアホになるな……」
◇
「うぅ、分かりました。我々はご一緒するのを諦めますが……なにかレアなお土産を頼みますよ」
「ああ、なんだかんだ、お前ら親子には世話になったしな。なんかもらっておいてやるよ」
ようやく落ち着いた父親に現在のエルフの状況を尋ねることにした。
もともと、平穏な生活を求めるエルフは、魔王が滅び、世界が平和になってからというもの滅多に人前に姿を現す事はなくなった。
『エルフの森』と呼ばれるエルフだけが住む国で、ひっそりと暮らしている。このボアモルチの西に向かった先にある広大な森だ。
「エルフたちはとにかく別の種族への警戒心がすごいと聞きます。『うっかりエルフの森に踏み込んで生きて帰ってきたものはいない』なんて話も聞いたことがありますね……」
ポピーの父親はゴクリとツバを飲む。しかし、そんな父親にアルカンタラは言う。
「いやいや、エルフはそんな奴らじゃねぇぞ? ちょっとおとなしいけど、いつも歌ったり踊ったりしてる親切でいい奴らだったと思うけどなぁ」
「くぅ、さすがアルカンタラ様! エルフと親しくしていた人間なんて、今では世界中を探したってアルカンタラ様くらいのものですよ。勇者パーティーですもんね、彼らだって特別な扱いをしてくれたんでしょう」
父親は尊敬の眼差しをアルカンタラに向ける。
「あー、そういうことだったのか?
あの頃は魔王のせいで人間とかエルフとか言ってる場合じゃなかったってのもあんのかもな。今のエルフは変わっちまったのかもしれん」
「とにかく、アルカンタラがいればエルフとの話し合いもなんとかありそうね! エルフの知り合いとかはいるの?」ミルリーフが言う。
「うーん、知り合いってほどじゃねぇが……変なエルフがいたのは覚えてるな……」
アルカンタラは昔を思い出し、怪訝な顔をする。
予想通り、ドワーフと会ったと話をするとポピーの父親は気が動転していた。
「あ、ああ……そのつもりだ……」
「まさか……ドワーフがこの街に……くぅ、見てみたかった、お話してみたかった!」
「うぅ……ワタクシもですわ、お父様」
抱き合い涙するポピー親子を呆れた目で見るアルカンタラ。
「と、とにかく、私たちは明日にでもこの街を発つつもりです。この数日間、本当にお世話になりました」
ミルリーフは涙を流すポピー親子に頭を下げる。
「そんな! みずくさいじゃないですか。私も連れて行ってくださいよ! 生きてる間にエルフを見れる機会なんてないですよ。いいですよね、アルカンタラ様!?」
アルカンタラにくっつき懇願する父親。
「……オッサン、アンタはギルドの所長だろ? なに馬鹿なこと言ってんだ」
「うう……こんなチャンス滅多にないのに……」
「アルカンタラ様の言う通りですわ! お父様は立場のある人なんですから、わきまえてください! その代わり……ワタクシを連れて行ってくださいぃ!」
ミルリーフに泣きつくポピー。
「まったく親子揃って……ポピーちゃん、あなたも無理よ。第一、ポピーちゃんは冒険者じゃないでしょう……?」
「うぅ……お父様! お父様の権力でワタクシもSランク冒険者に裏口合格させてください!」
泣きじゃくるポピー。
「……ほんとこいつら、勇者絡みなるとアホになるな……」
◇
「うぅ、分かりました。我々はご一緒するのを諦めますが……なにかレアなお土産を頼みますよ」
「ああ、なんだかんだ、お前ら親子には世話になったしな。なんかもらっておいてやるよ」
ようやく落ち着いた父親に現在のエルフの状況を尋ねることにした。
もともと、平穏な生活を求めるエルフは、魔王が滅び、世界が平和になってからというもの滅多に人前に姿を現す事はなくなった。
『エルフの森』と呼ばれるエルフだけが住む国で、ひっそりと暮らしている。このボアモルチの西に向かった先にある広大な森だ。
「エルフたちはとにかく別の種族への警戒心がすごいと聞きます。『うっかりエルフの森に踏み込んで生きて帰ってきたものはいない』なんて話も聞いたことがありますね……」
ポピーの父親はゴクリとツバを飲む。しかし、そんな父親にアルカンタラは言う。
「いやいや、エルフはそんな奴らじゃねぇぞ? ちょっとおとなしいけど、いつも歌ったり踊ったりしてる親切でいい奴らだったと思うけどなぁ」
「くぅ、さすがアルカンタラ様! エルフと親しくしていた人間なんて、今では世界中を探したってアルカンタラ様くらいのものですよ。勇者パーティーですもんね、彼らだって特別な扱いをしてくれたんでしょう」
父親は尊敬の眼差しをアルカンタラに向ける。
「あー、そういうことだったのか?
あの頃は魔王のせいで人間とかエルフとか言ってる場合じゃなかったってのもあんのかもな。今のエルフは変わっちまったのかもしれん」
「とにかく、アルカンタラがいればエルフとの話し合いもなんとかありそうね! エルフの知り合いとかはいるの?」ミルリーフが言う。
「うーん、知り合いってほどじゃねぇが……変なエルフがいたのは覚えてるな……」
アルカンタラは昔を思い出し、怪訝な顔をする。
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