『え?みんな弱すぎない?』現代では俺の魔法は古代魔法で最強でした!100年前の勇者パーティーの魔法使いがまた世界を救う

さかいおさむ

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第二章 冒険者ギルド

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 アルカンタラたちはギルドの職員と思われる、ポピーの父親に連れられて、執務室の奥にある応接室に通された。
 豪華な作りの応接室をアルカンタラたちはキョロキョロと見渡し、緊張しながら席へと着いた。

「……なあ、俺たち勝手に森の主を倒しちまったから怒られんのかな?」
 アルカンタラ小声でミルリーフに耳打ちをする。
 ミルリーフは首をかしげながらも、「うーん、そんな怒ってる感じじゃなかったけどね……」と小声で返した。

 受付嬢がコーヒーをアルカンタラたちへ持ってきた。相変わらず緊張しているようだが、以前までの緊張感とは少し違っているようだ。
 アルカンタラがただのチンピラ冒険者ではなく、Aランククエストをクリアするほどの冒険者と分かったからだ。

「突然呼び出してすまない。それと娘のポピーが迷惑をかけてないと良いのだが……」
 父親はポピーにチラリとにらみつける。

「ふふふ、お父様。ワタクシ、すごいことがわかったんです! なんとこの方達――」
「ポピー! ここからは大人の話しだ。邪魔をするなら出て行きなさい」
「うぅ……すごいことなのに……」
 ポピーの言葉をさえぎって、厳しく注意する父親。ポピーはひとまずシュンとおとなしくなった。すぐにでもアルカンタラのこと、古代魔法のことを話したかったのだろう。

「さて、私はこのボアモルチのギルドの所長をしている者だ。
 お、なかなか渋い鎧だね? 復刻版かい?」
 男はアルカンタラの鎧を見て呟く。
「……なんか最近よく聞くなソレ……」
 アルカンタラは小さく苦笑いをする。

「……まず、森の主を倒したと言うのは君達で間違いないね?」
 そう言い、男は2人を真剣な眼差しで見つめる。
 ポピーのギルドに詳しいところは、ギルドの所長をしているこの父親から来ているようだ。

「は、はい……まあ、森の主を倒したのは私ではなく、彼……アルカンタラですが……」
 ミルリーフはアルカンタラを指差す。

「ほう、君が……ん……アルカンタラ……?」
 男は体を震わせ、表情が固くなる。

「アルカンタラ……アルカンタラ……ま、まさか……な」
 アルカンタラの全身を舐めるように見る。

「な、なんだよ……」
 嫌な予感を感じたアルカンタラはとっさに、腕に巻かれた魔方陣を隠すための包帯を無意識にさする。

「君、その包帯だが……いや、包帯ですが……中を見せてもらうことはできませんか……?」
 突然、アルカンタラへの話し方が丁寧語に変わる男。

「……うぅ」
 ヤバい! とか感じたアルカンタラとっさに横に座るミルリーフに目をやる。

「……すみませんが、先にご用件を教えていただけませんか?」
 きぜんとした態度で、ミルリーフは男に言った。

「あ、ああ……そうですね……。すみません、つい興奮してしまって……あ、いえ、なんでもありません……」
 先ほどまでとは打って変わって、モジモシとしだすポピーの父親は話を始めた。
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