『え?みんな弱すぎない?』現代では俺の魔法は古代魔法で最強でした!100年前の勇者パーティーの魔法使いがまた世界を救う

さかいおさむ

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第二章 冒険者ギルド

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「それではこちらが報奨金と……冒険者ランクのポイントになります」
 受付嬢は数枚の銅貨とスタンプが1つ押されたカードをアルカンタラに渡す。

「……このカードはなんだ?」
「それが冒険者ランクのスタンプカードです。そのスタンプがすべて埋まると1つ上のランクに上がれます。がんばってくださいね」
 受付嬢は天使のようにニッコリと微笑み、新人冒険者の初めてのクエストクリアを祝福してくれた。

「……こ、これがすべて埋まると……?」
 受付嬢の天使の笑顔とは真逆の怒りに震えるアルカンタラは鬼の形相でスタンプカードをにらみつける。

「……お、おい。スタンプあと100個くらい必要じゃねぇか……?」
「はい。Eランククエストをあと99回クリアするとDランクへランクアップできま――――」
「ふざけんじゃねぇぞぉぉお!!」
「ひいいぃ!」
 アルカンタラの怒号に受付嬢は震え上がる。

「ア、アルカンタラ! 受付嬢に怒鳴るなんてやめなさい!」
 ミルリーフは今にも暴れ出しそうなアルカンタラ抑えつける。
「あと……99回だと!? ふざけんなぁ! ミルリーフ、もう我慢ならん! 勝手に暗黒水晶ぶっ壊し行くぞ!」
「お、落ち着きなさいよ!」
 慣れない面接、細々とした薬草摘み、慣れない事の連続で100年前の自由な世界を生きてきたアルカンタラのストレスは限界を迎えた。

「うう……もうヤダ……こんなことになるなら氷漬けに戻りたい……100年前に戻りたい……タイムマシンが欲しい……」
 すっかり精神崩壊を起こしたアルカンタラだった。

「まったく……これだから原始人は……驚かせてごめんなさいね。この人、今ちょっとメンタルが崩壊してるみたいで」
 ミルリーフは震える受付嬢に頭を下げる。

「でも……流石にあと99回Eランクは時間がかかり過ぎると思うの。私たちは世界を平和にするために冒険者になったの。何とか早くランクをあげることができないかしら?」
 ミルリーフは冷静に受付嬢に話をする。

「うう……ですがルールですので……。あ、そういえば!」
 受付嬢は何か思い出したようにカウンターから1枚の紙を出す。

「本当はダメなんですけども、Cランクのクエストをするはずだった冒険者が現れなくて、よかったら代わりにこのCランクのクエストはどうですか……? 『魔の森のモンスター討伐クエスト』です。初心者には厳しいかもしれませんが……」

「モンスター討伐だと!?」
「ひいぃぃ!」
 モンスターと聞いて突然、正気に戻ったアルカンタラが受付嬢に詰め寄る。受付嬢はすっかりアルカンタラを怯えていた。

「やる! もう薬草摘みなんてまっぴらだぜ! モンスターをぶっとばせいいんだろ?」
「は、はひぃ……」
 涙目で返事をする受付嬢。

「サンキュー! Cランクをクリアすれば一気にランクも上がるんだろうな? 今すぐ行ってくるぜ!」
 アルカンタラは話も聞かず『魔の森』へ駆け出していく。

「ちょっと! もう、本当勝手なヤツね! ありがとうお嬢さん。そのクエスト、引き受けさせてもらうわ!」
 ミルリーフとポピーもアルカンタラを追って駆け出す。

「あ……クエストの説明がまだ……」
 嵐のように過ぎ去っていったアルカンタラ達に呆然とする受付嬢。
「まったく……クエストの内容分かってるのかしら?
『Cランククエスト 魔の森の入り口に生息するコウモリモンスターの討伐』なんだけどなぁ……」

 受付嬢の心配など、つゆ知らず久しぶりのモンスターとの戦闘に心を踊らせるアルカンタラだった。
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