『え?みんな弱すぎない?』現代では俺の魔法は古代魔法で最強でした!100年前の勇者パーティーの魔法使いがまた世界を救う

さかいおさむ

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第一章 勇者パーティーの魔法使い

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「……なるほど。それで今の魔法使いは魔法陣を持っていないザコばかりなのか」
 氷漬けになっていた知らない100年間の出来事だ。ペドロ長老の言葉を静かに聞くアルカンタラ。

「そうだ。禁止になってしばらくは使う者もおったがな、そういう輩は勇者様が片っ端からさばいていったんだ!」
「さすがソーサーだ!」
「そして、魔法陣を作る魔術付与師もいなくなり、現代の人間も異種族でも、古代魔法を使える魔法使いはいなくなったって訳だ。
 平和な時代になり戦闘用の古代魔法は忘れ去られたのよ」
 ペドロ長老は魔法陣禁止の歴史を話し終えた。


「そういうことだったのか……え? 今って魔法陣禁止なのか!? 俺、魔法陣の入れ墨が入ってるけど大丈夫か!?」
 慌ててアルカンタラは国王を見る。

「うーん、まあアルカンタラは特殊なケースじゃからのう。なにかあったらコチラで対処しよう。
 ワシだってアムハイナ王国の国王じゃ。それなりの力はあるわい」
「よかった。助かるぜ」
 ホッと胸をなでおろすアルカンタラ。

「そうは言っても、これからはその入れ墨は隠して生活しましょう? その入れ墨が魔法陣だって分かる人は滅多にいないでしょうけど……念の為ね」
 アルカンタラに少し心配そうにミルリーフは言う。
 ◇

 ペドロ長老は昔を懐かしむ。

「しかし懐かしいな、古代魔法か……ワシらが子供の時には戦士を夢見るガキは15歳を超えたくらいで魔法陣の入れ墨を入れたもんだ。
 ワシもそろそろ入れ墨を入れようかと思っていたら魔王が滅びて、魔法陣の入れ墨は禁止されてしまったんだ」

「ああ、この入れ墨が大人の証だったな。
 だいたいみんな入れ墨を入れたら、すぐにサンダーバードを狩って食ったもんんだよ」
「え? おばあちゃん……女賢者アゼリも入れ墨を入れてたの!?」
 ミルリーフはアルカンタラに尋ねる。

「もちろんだよ。アゼリはもちろんソーサーもな。
 あのな……お前らはコレを古代魔法なんて大げさに言ってるけど、当時はみんな普通に使っていたんだって。魔法使いじゃないソーサーの魔法でも俺より全然強かったぞ?」
「そうなんだ……知らなかったわ。
 ん? おじいちゃん達もあのサンダーバードの肉を食べてたの……? マジ……?」
 恐ろしいサンダーバードを思い出し、複雑な心境のミルリーフだった。


「魔法陣が禁止されてからは世界中で魔法陣の情報の規制がされていんだろうな。
 すでに魔法陣の入れ墨を入れていた者も禁止されてからは隠して生活していたからな。
 今生きてる人間で知ってるのワシらくらいの老人だけだろう。
 そもそも若いモンは異種族の者を見たこともないだろうな」

「そうね……ドワーフとかエルフとか……昔話の登場人物だわ……」
 ペドロ長老の言葉にミルリーフは呟く。

「まあ、強力な魔法を使う必要がないくらい平和な時代だったってことだろ? いいじゃねぇか。勇者ソーサーの望んだ世界だよ」
 アルカンタラは笑った。

「しかし、アルカンタラ……お主も知ってるとは思うがここ最近、状況が変わってきたのじゃ……」
 国王が重々しく口を開いた。
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