『え?みんな弱すぎない?』現代では俺の魔法は古代魔法で最強でした!100年前の勇者パーティーの魔法使いがまた世界を救う

さかいおさむ

文字の大きさ
上 下
10 / 77
第一章 勇者パーティーの魔法使い

10

しおりを挟む
「……なるほど。それで今の魔法使いは魔法陣を持っていないザコばかりなのか」
 氷漬けになっていた知らない100年間の出来事だ。ペドロ長老の言葉を静かに聞くアルカンタラ。

「そうだ。禁止になってしばらくは使う者もおったがな、そういう輩は勇者様が片っ端からさばいていったんだ!」
「さすがソーサーだ!」
「そして、魔法陣を作る魔術付与師もいなくなり、現代の人間も異種族でも、古代魔法を使える魔法使いはいなくなったって訳だ。
 平和な時代になり戦闘用の古代魔法は忘れ去られたのよ」
 ペドロ長老は魔法陣禁止の歴史を話し終えた。


「そういうことだったのか……え? 今って魔法陣禁止なのか!? 俺、魔法陣の入れ墨が入ってるけど大丈夫か!?」
 慌ててアルカンタラは国王を見る。

「うーん、まあアルカンタラは特殊なケースじゃからのう。なにかあったらコチラで対処しよう。
 ワシだってアムハイナ王国の国王じゃ。それなりの力はあるわい」
「よかった。助かるぜ」
 ホッと胸をなでおろすアルカンタラ。

「そうは言っても、これからはその入れ墨は隠して生活しましょう? その入れ墨が魔法陣だって分かる人は滅多にいないでしょうけど……念の為ね」
 アルカンタラに少し心配そうにミルリーフは言う。
 ◇

 ペドロ長老は昔を懐かしむ。

「しかし懐かしいな、古代魔法か……ワシらが子供の時には戦士を夢見るガキは15歳を超えたくらいで魔法陣の入れ墨を入れたもんだ。
 ワシもそろそろ入れ墨を入れようかと思っていたら魔王が滅びて、魔法陣の入れ墨は禁止されてしまったんだ」

「ああ、この入れ墨が大人の証だったな。
 だいたいみんな入れ墨を入れたら、すぐにサンダーバードを狩って食ったもんんだよ」
「え? おばあちゃん……女賢者アゼリも入れ墨を入れてたの!?」
 ミルリーフはアルカンタラに尋ねる。

「もちろんだよ。アゼリはもちろんソーサーもな。
 あのな……お前らはコレを古代魔法なんて大げさに言ってるけど、当時はみんな普通に使っていたんだって。魔法使いじゃないソーサーの魔法でも俺より全然強かったぞ?」
「そうなんだ……知らなかったわ。
 ん? おじいちゃん達もあのサンダーバードの肉を食べてたの……? マジ……?」
 恐ろしいサンダーバードを思い出し、複雑な心境のミルリーフだった。


「魔法陣が禁止されてからは世界中で魔法陣の情報の規制がされていんだろうな。
 すでに魔法陣の入れ墨を入れていた者も禁止されてからは隠して生活していたからな。
 今生きてる人間で知ってるのワシらくらいの老人だけだろう。
 そもそも若いモンは異種族の者を見たこともないだろうな」

「そうね……ドワーフとかエルフとか……昔話の登場人物だわ……」
 ペドロ長老の言葉にミルリーフは呟く。

「まあ、強力な魔法を使う必要がないくらい平和な時代だったってことだろ? いいじゃねぇか。勇者ソーサーの望んだ世界だよ」
 アルカンタラは笑った。

「しかし、アルカンタラ……お主も知ってるとは思うがここ最近、状況が変わってきたのじゃ……」
 国王が重々しく口を開いた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

シロ
ファンタジー
神の都合により異世界へ転生する事になったエノク。『スキルコレクター』というスキルでスキルは楽々獲得できレベルもマックスに。『解析眼』により相手のスキルもコピーできる。 メニューも徐々に開放されていき、できる事も増えていく。 しかし転生させた神への謎が深まっていき……?どういった結末を迎えるのかは、誰もわからない。

転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!

ももがぶ
ファンタジー
猫たちと布団に入ったはずが、気がつけば異世界転生! せっかくの異世界。好き放題に思いつくままモノ作りを極めたい! 魔法アリなら色んなことが出来るよね。 無自覚に好き勝手にモノを作り続けるお話です。 第一巻 2022年9月発売 第二巻 2023年4月下旬発売 第三巻 2023年9月下旬発売 ※※※スピンオフ作品始めました※※※ おもちゃ作りが楽しすぎて!!! ~転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい! 外伝~

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

処理中です...