『え?みんな弱すぎない?』現代では俺の魔法は古代魔法で最強でした!100年前の勇者パーティーの魔法使いがまた世界を救う

さかいおさむ

文字の大きさ
上 下
9 / 77
第一章 勇者パーティーの魔法使い

しおりを挟む
「ゴホン、国王様、あたらめまして……この男は間違いなくアルカンタラです」
 ペドロはバツが悪そうにアルカンタラを指差し言う。

「うむ……そのようじゃな。あれほどの魔法使いなんじゃ、はじめから疑っておらんよ」
「あれほどの魔法って……俺の魔法って本当にそんなにすごいのか? ペドロもそう思うか?」
 アルカンタラは不思議そうにペドロに尋ねる。

「ふふ……魔法陣の入れ墨か。懐かしいな、最近じゃ目にすることもなくなったな」
 ペドロはアルカンタラの入れ墨を見て呟く。

「現代の魔法使いは魔法陣を使わないみたいだな? それであんなに弱いんだな」
「……アルカンタラ。お前にはワシからこの100年間の話をしておこう」
「おう、そうだな。俺が知っている人間はお前だけなんだしな」

 ペドロ長老はアルカンタラに、氷漬けになっていた100年間の話をした。

 ◆

 生き残った勇者ソーサーと女賢者アゼリは魔王を倒せたが、アルカンタラ達、パーティーの仲間をを失ったことを悲しんだ。
 2人はせめてものとパーティーの遺族たちの生活を生涯面倒をみた。

「さすがソーサーとアゼリだな」
「ああ、本当にご立派な勇者様だった……」
 ペドロ長老は涙を浮かべた。

「まあアルカンタラは身寄りがいなかったからな。勇者様はアルカンタラのような親のいない子供達の施設なんかに寄付もされていたな」
「くぅ……ソーサー、あの男は!」
「ああ! 男の中の男だ!」
 アルカンタラとペドロ長老は肩を組んだ。

「そして魔法陣のことだがな……」
 ペドロ長老は続けて魔法陣の話をした。
 100年前、魔王が滅び平和な日々が戻り、世界中大喜びだった。
 魔王に苦しめられていたのは人間だけではなく、エルフ族やドワーフ族、精霊族など、様々な種族にも平穏が訪れた。

「お、精霊族か! この魔法陣も精霊族の腕利き魔術付与師に入れてもらったんだ」
 アルカンタラは入れ墨を得意げに見せる。
「魔術付与師か……それも懐かしい言葉だ」
 ペドロ長老は言う。

 しかし、平和が訪れ数年が経ち、世界は変わり始めた。
 魔法陣を持つ魔法使い達が悪事を働くようになったのだ。
 魔法陣を持つだけで、体内の魔力を何倍にも増幅することができる。
 普通の魔法使いでは太刀打ち出来ない古代魔法に、一般市民は怯える生活が続く。

 このままでは世界の平和が再び脅かされると心配され、様々な種族の王が集まり会議が行われた。
 そして、古代魔法、つまり魔法陣を禁止するルールが作られた。
 魔王が滅び、モンスターが弱体化した時代では強い魔法は必要なかったのだ。

 それが勇者がパーティーが魔王を倒した2年後、現代から98年ほど前のことだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】 転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた! 元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。 相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ! ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。 お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。 金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...