『え?みんな弱すぎない?』現代では俺の魔法は古代魔法で最強でした!100年前の勇者パーティーの魔法使いがまた世界を救う

さかいおさむ

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第一章 勇者パーティーの魔法使い

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「そうか……お主は勇者パーティーの生き残りか。とても信じられん話じゃが、あの戦いぶり……真実のようじゃな」
 国王はジッと考えてから静かに呟く。嘘のような話だが、アルカンタラの魔法を目の当たりにした国王に疑いの余地はなかった。

「いや、俺は勇者パーティーだったけど……他のメンバーに比べたら全然弱くてな……それでも勇者ソーサーは見捨てずに最後まで冒険してくれたけど」
 急に弱気になるアルカンタラ。

「謙遜はいらんぞアルカンタラ!
 王国自慢の兵士たちが束になっても敵わなかったモンスターをお主は1人で倒したんじゃ!」
 国王はアルカンタラの肩にガシッと手を置く。

「……いや、それは今の人間が弱すぎるから……」
「こら! アルカンタラ!」
 ボソッとつぶやくアルカンタラを叩くミルリーフ。

「このアムハイナ王国は魔王を倒した勇者たちを生んだ国じゃ。アルカンタラもこの国の出身じゃろ?
 行くあてもないならしばらくこの国でゆっくりしてくれ。お主は100年前に魔王を倒し世界を救い、今日もこの国を救ってくれた英雄じゃ!」
「いやそんな……英雄だなんて」
 国王の言葉にアルカンタラは顔を赤くした。100ぶりに目を覚ました自分の今後について不安はあったが、国王の言葉に胸をなでおろすアルカンタラであった。

「いや待てよ……モンスターが現れ始めた今となっては、お主にはこの国を守ってもらいたいくらいじゃ!」
 国王はアルカンタラの手を強く握りしめる。

「うーん……俺もさっき起きたばかりで、なんとも言えないんだがな……」
 生返事でごまかすアルカンタラだった。

 ◇

 それからというもの、国王はアルカンタラに質問攻めをした。
 勇者を生んだ国、アムハイナの国王は大の勇者ファンだった。

「――ということは……アルカンタラはワシの祖父のサドラー国王にも会ったことが!?」
 目を輝かせる孫のウェルズ国王。

「ああ、もちろん! アンタそっくりだぜ」
「アルカンタラ! さっきから国王になんて口の聞き方をしてるのよ!」
 国王にタメ口を使うアルカンタラを引っ叩くミルリーフ。

「はっはっは! かまわんぞ。アルカンタラは今118歳らしいではないか! ワイが敬語を使わないといけないくらいじゃよ」
「ふふ、やっぱりアンタは器がデカい! サドラー国王にそっくりだ!」
「そうか……嬉しいのう……。ワシが生まれた頃には祖父にはもう他界しておったからのう。
 色々と昔話が聞けてるのはいいものじゃ……まてよ? 118歳……? おい、誰か! 長老のペドロを呼べるか?」
 国王は何かを思い出し、部下に声をかける。

「ペドロ?」
「ああ、この国で最高齢の男じゃ。いま110歳くらいだったはずじゃ。確か幼い頃に勇者パーティーの世話をしたことがあると言っておったな?」
「ペドロ……ペドロ……どっかで聞いたことあるような気が? 勇者パーティーの世話をしたって?」
 アルカンタラは首をかしげた。

 ◇

 しばらくして王室に1人の老人が入ってきた。

「国王様、お呼びでしょうか?」
 ローブを着た、ヒゲまで真っ白ないかにも長老といったたたずまいの老人だ。この男がペドロという勇者パーティーの世話をしたと言う男らしい。

「すまないな、急に呼び出して。ペドロ、この者を知っておるかのう?」
 国王はアルカンタラを指差す。

「ん、誰ですか、その小僧? え……? いや、そんな訳ないか……」
 ペドロはアルカンタラを目にして一瞬ハッとしたが、まさかそんなはずはないとブツブツ言いながら、不気味なものを見るような目でアルカンタラを見る。

「ペドロ……ペドロ……あっ! 思い出した! お前、城下町のアイテムショップのガキだったペドロか!?」
 アルカンタラはペドロを指差す。

「な、なぜそれを!?」
 突然の言葉に驚くペドロ長老。確かにペドロは子供の頃、家のアイテムショップで手伝いをしていた。

「どうなんじゃ? ペドロは彼を知っておるのか?」
「いや……その……大昔にあんな感じの小僧が親父のやっていた店に来たことがあるような気がするんですが……たしか勇者パーティーの弱っちい魔法使いだったような? なにしろ大昔のことでハッキリとは……
 この小僧……その魔法使いの子孫かなにかで?」
 ペドロは怪訝な目でアルカンタラを見る。

「……やはりか」
 間違いないと分かってはいたものの国王は確信した。

 そして、国王はペドロ長老に事の経緯を話した。
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