62 / 76
62
しおりを挟む
「はぁはぁ……」
「ふっ、やっぱり大したことないわね!」
サクラちゃんとの稽古、やはり全然敵わない。
ボコボコにされ腫れあがった顔で倒れる僕。
一度もサクラちゃんに攻撃ができなかった。
一直線に突っ込むだけの僕に対して、軽やかに舞うサクラちゃん。
「はぁはぁ、蝶のように舞い……ってやつだね」
「え? 超すごいって? そりゃそうでしょう!」
「……」
「木本君、どうだ? サクラはなかなか手ごわいだろ?」
妹の身のこなしに得意げなアスカさん。
「そうですね……速いです……」
「ふふ、そうだろう。でも木本君。単純なスピードならきっと木本君の方が速いはずだぞ?」
「そ、そうですか?」
とてもそうは思えないが……
「ああ、パワーやスピードはレベルの高さに比例する。
本来、木本君のレベルならこの世界でもトップクラスのスピードのはずだ」
「でも……」
「そう、それでもサクラにはなんで追いつけないのか? それが実戦経験の差なんだろうな」
「なるほど……」
「今はとりあえずサクラに追いつけるように頑張るんだ」
「は、はい……それまでにどれだけボコボコにされるか……」
僕とサクラちゃんは木刀で戦っている。
木刀でなかったら今頃僕は何回死んでいただろうか……
「大丈夫だ! 今回は回復魔法が得意な政府の人間を用意してある。いくらでもやられて大丈夫だぞ!」
「はい……」
「いつまでお喋りしてんのよ! とっとと始めましょうよ」
僕と違い元気なサクラちゃん。
「くっ……! ちょっと可愛いからって生意気な!」
「ふふふ、妹なりに木本君に強くなってほしいんだろう」
「そうですかね?」
「よし、じゃあ木本君。次からはサクラの足さばき、ステップに注目して戦ってみるといい」
「足……ですか?」
「ああ、いまの木本君に足りないのは攻撃ではなく、身のこなしと先読みだ」
「わかりました」
なるほど、身のこなしと先読みね。
サクラちゃんの足をしっかりとは見させて頂こうとしよう。
「ふふふ、参るよサクラちゃん……」
ジロリ!
「な、なんかキモイ視線を感じるわね……」
◆
それからもサクラちゃんとの稽古は続く。
かわされてばかりだが……なるほど、サクラちゃんの足さばきに注目してみてよく分かった。
無駄のない軽やかステップ、たまに混ぜるフェイント、そして僕の動きを読む、すごい技術だ。
今まで戦ってきたモンスターとの違いを見せつけられる。
魔王の分身にも歯が立たないわけだ。
「キモオタ、どうしたのよ? 全然追いつけないじゃないの!」
「く、くそぉ」
いくら僕が追いかけてもすぐに逃げられてします。
鬼ごっこがオリンピック種目ならサクラちゃんは金メダリストだろう。
ダメだ、やみくもに追いかけて逃げられてしまう……
僕もステップを意識してみる。
軽やかに、フェイントを混ぜながらサクラちゃんを追いかける。
「ん? アンタ……」
サクラちゃんの表情がこわばる。本気になったようだ。
なるほど……これが実戦の動き方なのか……分かってきたぞ!
「ふっ、やっぱり大したことないわね!」
サクラちゃんとの稽古、やはり全然敵わない。
ボコボコにされ腫れあがった顔で倒れる僕。
一度もサクラちゃんに攻撃ができなかった。
一直線に突っ込むだけの僕に対して、軽やかに舞うサクラちゃん。
「はぁはぁ、蝶のように舞い……ってやつだね」
「え? 超すごいって? そりゃそうでしょう!」
「……」
「木本君、どうだ? サクラはなかなか手ごわいだろ?」
妹の身のこなしに得意げなアスカさん。
「そうですね……速いです……」
「ふふ、そうだろう。でも木本君。単純なスピードならきっと木本君の方が速いはずだぞ?」
「そ、そうですか?」
とてもそうは思えないが……
「ああ、パワーやスピードはレベルの高さに比例する。
本来、木本君のレベルならこの世界でもトップクラスのスピードのはずだ」
「でも……」
「そう、それでもサクラにはなんで追いつけないのか? それが実戦経験の差なんだろうな」
「なるほど……」
「今はとりあえずサクラに追いつけるように頑張るんだ」
「は、はい……それまでにどれだけボコボコにされるか……」
僕とサクラちゃんは木刀で戦っている。
木刀でなかったら今頃僕は何回死んでいただろうか……
「大丈夫だ! 今回は回復魔法が得意な政府の人間を用意してある。いくらでもやられて大丈夫だぞ!」
「はい……」
「いつまでお喋りしてんのよ! とっとと始めましょうよ」
僕と違い元気なサクラちゃん。
「くっ……! ちょっと可愛いからって生意気な!」
「ふふふ、妹なりに木本君に強くなってほしいんだろう」
「そうですかね?」
「よし、じゃあ木本君。次からはサクラの足さばき、ステップに注目して戦ってみるといい」
「足……ですか?」
「ああ、いまの木本君に足りないのは攻撃ではなく、身のこなしと先読みだ」
「わかりました」
なるほど、身のこなしと先読みね。
サクラちゃんの足をしっかりとは見させて頂こうとしよう。
「ふふふ、参るよサクラちゃん……」
ジロリ!
「な、なんかキモイ視線を感じるわね……」
◆
それからもサクラちゃんとの稽古は続く。
かわされてばかりだが……なるほど、サクラちゃんの足さばきに注目してみてよく分かった。
無駄のない軽やかステップ、たまに混ぜるフェイント、そして僕の動きを読む、すごい技術だ。
今まで戦ってきたモンスターとの違いを見せつけられる。
魔王の分身にも歯が立たないわけだ。
「キモオタ、どうしたのよ? 全然追いつけないじゃないの!」
「く、くそぉ」
いくら僕が追いかけてもすぐに逃げられてします。
鬼ごっこがオリンピック種目ならサクラちゃんは金メダリストだろう。
ダメだ、やみくもに追いかけて逃げられてしまう……
僕もステップを意識してみる。
軽やかに、フェイントを混ぜながらサクラちゃんを追いかける。
「ん? アンタ……」
サクラちゃんの表情がこわばる。本気になったようだ。
なるほど……これが実戦の動き方なのか……分かってきたぞ!
1
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!


異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。

元勇者のデブ男が愛されハーレムを築くまで
あれい
ファンタジー
田代学はデブ男である。家族には冷たくされ、学校ではいじめを受けてきた。高校入学を前に一人暮らしをするが、高校に行くのが憂鬱だ。引っ越し初日、学は異世界に勇者召喚され、魔王と戦うことになる。そして7年後、学は無事、魔王討伐を成し遂げ、異世界から帰還することになる。だが、学を召喚した女神アイリスは元の世界ではなく、男女比が1:20のパラレルワールドへの帰還を勧めてきて……。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる