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病室へ行く僕ら。
病院は慌ただしかった。
数か月眠っていたサクラちゃんの体に異変が起きている。
ネクロマンサーの呪いが解けた反動だろうか。
「サクラ! 目を覚ませ!」
寝ているサクラちゃんに声をかけるアスカさん。
その姿はトップ冒険者などではなく、ただのお姉ちゃんだ。
「サクラ!」
「……ん」
「サクラ??」
「んー……お姉ちゃん?」
「サ、サクラ……ッ!」
「あれ……アタシ……寝てたの?」
「……よかった」
サクラちゃんを抱きしめるアスカさんの目には涙があふれていた。
「うう……よかった……」
ガイドもなぜか号泣している。
「うう……よかった……」
僕ももちろん号泣している
◇
「そっか……アタシ、モンスターの呪いで……」
「ああ、数か月寝たきりだったんだぞ」
「そうなんだ……ありがとうね! お姉ちゃんが呪いをかけたモンスター倒してくれたんでしょ?」
「……いや。私じゃないよ」
「え?」
「彼がサクラの呪いを解いてくれたんだ」
「……彼?」
サクラちゃんが僕を見る。
夢のような瞬間だ。
憧れのアイドル サクラちゃんの呪いを解き、目を覚ませる。
ふふ、さながら王子様のキッスで目覚める白雪姫ってところかな?
「え? あの人が……?」
「は、はじめま―――」
「えっ!? きっも。なに? あのキモいオタクは? この病院は警備いないの?」
「サ、サクラ……木本君はな……」
「お姉ちゃん、あんなのと知り合いなの? どうしちゃったのよ?」
「サクラ……やめて……」
「……は、ははは……」
僕はもちろん号泣している
「す、すまない失礼な妹で……そ、その……多分、目を覚ましたばかりでまだ呪いの影響もあるのかも……!?!?」
「ははは……そうですね……呪いのせいですよね……きっと……」
さすがネクロマンサーの呪いだ……死後の念というやつか!? 除念師が必要なのか?
「キモオタ君……元気出して……」
さすがにガイドも今は優しい。
積もる話もあるだろう。僕とガイドは病院をあとにする。
「はー……それにしても可愛かったなぁ」
「えー? そんなですかね?」
「ガイドは女子に厳しいなぁ」
「あれくらい全然普通ですよ! 私の世界じゃ石を投げればあのレベルの女の子に当たりますよ!」
「……その世界行きたいな……」
「ちょっとアンタ!」
「ん?」
女性の声に呼び止められる。
「……え!?」
「アンタ……アタシの呪いを解いてくれたんだって?」
「サ、サ、サクラちゃん!?」
「誰がサクラちゃんよ! 馴れ馴れしいわね!!」
振りむくとそこにはサクラちゃんが。
「……ふん、お姉ちゃんもお世話になったみたいだし……とりあえずお礼を言っておくわ!」
「……い、いえ……」
「ありがとうねっ! ふん!」
不機嫌に去っていくサクラちゃん。
「なんですか? あの生意気な態度!」
「……くぅうう! 生きててよかった!!」
「えぇ……あんなのでいいんですか?」
「あのツンデレ具合がサクラちゃんの魅力なんだよ!!」
「……キモいですねぇ……」
なにはともあれ、ネクロマンサーを倒しサクラちゃんの呪いは解けた。
次はいよいよ魔王を倒しに行くのだろう。
「ガイド! もっとレベル上げに行こう!!」
「もう、なに急にやる気出してるんですか?」
「ふふふ、勇者に休みはないのだよ?」
この世界でレベルアップできるのは僕だけだ。
僕がこの世界を……いや、この世界もガイドの世界も守ってやるんだ。
「あ!」
「どうしました!?」
「しまった……サクラちゃんとツーショットの写真を撮ってもらえばよかった……」
「……」
病院は慌ただしかった。
数か月眠っていたサクラちゃんの体に異変が起きている。
ネクロマンサーの呪いが解けた反動だろうか。
「サクラ! 目を覚ませ!」
寝ているサクラちゃんに声をかけるアスカさん。
その姿はトップ冒険者などではなく、ただのお姉ちゃんだ。
「サクラ!」
「……ん」
「サクラ??」
「んー……お姉ちゃん?」
「サ、サクラ……ッ!」
「あれ……アタシ……寝てたの?」
「……よかった」
サクラちゃんを抱きしめるアスカさんの目には涙があふれていた。
「うう……よかった……」
ガイドもなぜか号泣している。
「うう……よかった……」
僕ももちろん号泣している
◇
「そっか……アタシ、モンスターの呪いで……」
「ああ、数か月寝たきりだったんだぞ」
「そうなんだ……ありがとうね! お姉ちゃんが呪いをかけたモンスター倒してくれたんでしょ?」
「……いや。私じゃないよ」
「え?」
「彼がサクラの呪いを解いてくれたんだ」
「……彼?」
サクラちゃんが僕を見る。
夢のような瞬間だ。
憧れのアイドル サクラちゃんの呪いを解き、目を覚ませる。
ふふ、さながら王子様のキッスで目覚める白雪姫ってところかな?
「え? あの人が……?」
「は、はじめま―――」
「えっ!? きっも。なに? あのキモいオタクは? この病院は警備いないの?」
「サ、サクラ……木本君はな……」
「お姉ちゃん、あんなのと知り合いなの? どうしちゃったのよ?」
「サクラ……やめて……」
「……は、ははは……」
僕はもちろん号泣している
「す、すまない失礼な妹で……そ、その……多分、目を覚ましたばかりでまだ呪いの影響もあるのかも……!?!?」
「ははは……そうですね……呪いのせいですよね……きっと……」
さすがネクロマンサーの呪いだ……死後の念というやつか!? 除念師が必要なのか?
「キモオタ君……元気出して……」
さすがにガイドも今は優しい。
積もる話もあるだろう。僕とガイドは病院をあとにする。
「はー……それにしても可愛かったなぁ」
「えー? そんなですかね?」
「ガイドは女子に厳しいなぁ」
「あれくらい全然普通ですよ! 私の世界じゃ石を投げればあのレベルの女の子に当たりますよ!」
「……その世界行きたいな……」
「ちょっとアンタ!」
「ん?」
女性の声に呼び止められる。
「……え!?」
「アンタ……アタシの呪いを解いてくれたんだって?」
「サ、サ、サクラちゃん!?」
「誰がサクラちゃんよ! 馴れ馴れしいわね!!」
振りむくとそこにはサクラちゃんが。
「……ふん、お姉ちゃんもお世話になったみたいだし……とりあえずお礼を言っておくわ!」
「……い、いえ……」
「ありがとうねっ! ふん!」
不機嫌に去っていくサクラちゃん。
「なんですか? あの生意気な態度!」
「……くぅうう! 生きててよかった!!」
「えぇ……あんなのでいいんですか?」
「あのツンデレ具合がサクラちゃんの魅力なんだよ!!」
「……キモいですねぇ……」
なにはともあれ、ネクロマンサーを倒しサクラちゃんの呪いは解けた。
次はいよいよ魔王を倒しに行くのだろう。
「ガイド! もっとレベル上げに行こう!!」
「もう、なに急にやる気出してるんですか?」
「ふふふ、勇者に休みはないのだよ?」
この世界でレベルアップできるのは僕だけだ。
僕がこの世界を……いや、この世界もガイドの世界も守ってやるんだ。
「あ!」
「どうしました!?」
「しまった……サクラちゃんとツーショットの写真を撮ってもらえばよかった……」
「……」
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