キモオタ レベル0★世界最弱のオタク高校生の僕だけレベルアップ!美女に囲まれハーレム青春物語

さかいおさむ

文字の大きさ
上 下
27 / 76

27

しおりを挟む
「くっ! つ、強い! レベル0のスライムとは一味違うな!」
 僕はスライムと一進一退の攻防を繰り広げる。

「キモオタ君……」
 熱戦を見守るガイド。ハイレベルな戦いに目を離せないようだ。

 (キモオタ君……あんなザコモンスターに苦戦するなんて……)
 ガイドがそんなことを思っていることは僕は知るよしもなかった。


 スライムは攻撃の手を緩めない。
「ぐあぁ! も、もうダメだ……」
 スライムにお室日されそうになる僕。

「うーん、もう無理みたいですね……」
 見かねたガイドはスライムに向けて炎を放つ。

「ほ、炎魔法!?」

「ピィィイイ」
 炎に包まれ燃えるスライム。
 僕があんなに手こずっていたモンスターを一撃で……

「ガイド……君はそんなすごい魔法使いだったのか!?」
 ただの精霊だと思っていたのに……恐ろしい力を秘めていたのか!?

「いえ、今のは弱い魔法ですよ……多分人間でも炎魔法のスキルがあれば子供でもあれくらいは……」

「そんなわけない!……君は謙虚な妖精だな!」

「うーん……ほんとに私の魔法は弱いんですけどね」

「魔法か……かっこいいな。僕も使ってみたいな!」


「しかし困りましたね。スライムも倒せないとなると、レベル1になるのも厳しいですよ……」

「……くっ、情けない……勇者らしく華麗に勝つつもりが……」
 ガイドの力のおかげで、レベルを上げることができる唯一の人間になれたっていうのに……

「……僕の代わりにガイドが倒すんじゃダメなのか……?」
 ガイドに情けない提案をする僕。

「ダメでしょうね。あくまでキモオタ君が戦闘で倒さないと……あっ!」
 なにかを思いつくガイド。

「いいこと思いつきましたよ! 私、催眠魔法も使えるんですよ」

「催眠魔法!? モンスターを眠らせたりする魔法かな?」

「はい! まずモンスターを私の催眠魔法で寝かせます。
 眠ったモンスターをキモオタ君が倒せば……キモオタ君の経験値になるかも?」

「なるほど! 素晴らしいアイデアだ! その手があったか!」

「……罪のないザコモンスターを眠らせ、剣で突き刺す……そんな戦いでよかったら協力します……」

「うぅ……言い方が良くないな……」
 戦いに犠牲は付き物なのだ……

 ◇

 すぐに次の獲物が見つかった。

「いたぞ! スライムだ!」

「はい! じゃあ催眠魔法、いきますよ!」
 ガイドがスライムに手のひらを向ける。
 催眠魔法が効いたようでスライムは動かなくなった。

「……眠ったかな……?」
 剣でチョンチョンと突く。
 反応はない。熟睡しているようだ。

「うん、眠ってるな……では……くらえっ!!」

『ザンッ!』

 僕はスライムを一刀両断した。動かないモンスター相手のは僕は無双モードだ。

「やりましたね!」
 喜ぶガイド。

「ああ、勇者への第一歩だ!」
 初めてのモンスター討伐。複雑な気持ちだがとりあえずうまくいってよかった。

「さっそくキモオタ君のステータスを見てみましょう……おっ! 次のレベルまでスライム9匹、ゴブリン5匹になってます! つまり……成功です! この戦い方でもレベルアップします!」

「よし! この調子でいこう!」

 ガイドがモンスターを寝かせ、僕が斬る。
 この作戦で僕はスライム10匹、ゴブリンを4匹倒した。そして……

「くらえぇぇえ!」
 僕はレベルアップに必要な、5匹目のゴブリンを斬る。

「はぁはぁはぁ」

「お疲れ様でした……じゃあ……ステータスを確認しますよ」

「頼む……レベルアップしていてくれ!」
 ガイドが僕の顔を覗き込む。

「……あっ!! おめでとうございます! キモオタ君、レベル1になってますよ!」

「ホントか!? うおおおお! やったぁぁぁあ!!」

 最弱のレベル0と知ってからずっと惨めな人生だった……やっとレベル1に……

 感極まり、嬉し泣きをする僕。
 今までの人生が走馬灯のように思い出される。
 長かった……これで僕はレベル0じゃない!

「ま、まあ……まだレベル1ですからね……?」
 喜びに浸る僕にガイドは呆れたように言う。

「嬉しいよ! ありがとうガイド!」

「よかったです。でもまだまだこれからですよ!」

「もちろんだ! この調子でどんどん行こう! さあ、次のレベルアップの条件はなんだ?」
 レベルアップできる。こんなにうれしいことは無い! 早く次のモンスターを倒したい!

「ちょっと待ってくださいよ……えーっと、次は」
 ガイドは次のレベルアップに必要なモンスターを教えてくれる。

 レベルアップとは素晴らしい! 力がみなぎる(気がする)。無敵になった気分だ!

 僕はダンジョンの奥へと進む。

「ん? なんだこの扉は?」
 僕はダンジョンの奥にひっそりとたたずむ扉を見つけた。

「怪しい扉ですね……キモオタ君! 開けちゃダメですよ。危ないですよ!」

「ふふふ、僕は勇者になる男だよ?」
 レベルアップをした僕は強気だった。

「……キモオタ君、完全に調子に乗ってますね……」
 呆れるガイド。

「とは言っても……怖いし少し覗くだけだよ……」
 僕はゆっくりと重い扉を開け、チラッと中を覗き込む。

「中は真っ暗だな……ん?」
 暗い部屋の奥、ギラリと赤く光るものが……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

貞操逆転世界の男教師

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が世界初の男性教師として働く話。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

Link's

黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。 人類に仇なす不死の生物、"魔属” そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者” 人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている―― アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。 ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。 やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に―― 猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

処理中です...