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「ダンジョンは次の日曜日に行く。朝、君の家に迎えに行くからしっかり休んで英気を養っておいてくれ」
「はい! 今日からまたトレーニングをします! なまった体を鍛え――」
「何言っている!!」
「え?」
大声を出すアスカさん。どうしたんだ?
「トレーニングなんて絶対ダメだ! もしなにかの間違えでレベルアップでもしてしまったらどうするんだ!」
「……ああ……そっか」
「レベル0の君じゃないとダメなんだ! 弱いままの君でいてくれ!」
「はい……」
……仕方ないことだが失礼な人だな。やっぱり白野サクラに推しを戻そうかな……
◇
帰りはまた高級車で家まで送ってもらう。
行きと違い、世界を世界を救う英雄として堂々と乗れた。
家に着くと突然の息子の冒険者デビュー、それも政府直々の依頼ということで両親は慌てていた。
僕の隠された能力がダンジョンクリアに必要だから協力をしてほしいと政府の人間が伝えたようだ。
「大丈夫だよ。強いギルドと一緒に行くんだから」
「心配ね……」
心配する母親。
フンッ、報酬に目がくらんで息子をダンジョンに送り込むくせに何言ってるんだ。
「でも……オタフクがダンジョンに行けるって聞いて、お母さん嬉しかったわ」
「え?」
「ずっとオタフクの夢だったからね……レベルを強く産んであげられなくでごめんなさいね……」
涙ぐむ母親を見て、僕も目頭が熱くなった。
「な、なに言ってるんだよ! 別にレベル0は父さんと母さんのせいじゃないだろ。風呂入ってくる」
僕は恥ずかしくなり風呂場に逃げ込む。
レベル0を両親はのせいにして険悪な関係になってしまっていた自分が情けなくなる。
「ごめんね……母さん……これからは親孝行するよ」
風呂を出てリビングに戻るとちょっとしたパーティーのようなごちそうが並んでいた。
「オタフクが冒険者になれるって聞いてお祝いにごちそう作っちゃったわ」
「もう……気が早いよ母さん……」
まったく、僕のことでこんなに喜んでくれるなんて……こんな暖かい両親に恵まれた幸せをずいぶん長く気づかなかったようだ。
「案外、幸せの中にいると……幸せに気づかないもんなのかな……」
「え? なんか言ったオタフク?」
「フフッ、なんでもないよ」
いけない いけない、浮かれてポエマーになってしまった。
「すっかりオタフクは大人になったみたいだなぁ」
父親も感慨深い表情だ。
「なにいってるんだ父さん。さあ、ご飯にしようか……あっ、そういえばミュージック〇テーションは録画しておいてくれたよね?」
「あ……」
青ざめる母親。
「え……?」
「ご、ごめんなさい……忘れてたわ……」
「……嘘だろ」
今日は気になるアイドルが初登場の回だ。
「ふ、ふざけんなーーッ!! ババアッーー!!」
「ひぃぃいい!」
木本オタフク18歳。反抗期はまだ終わらない。
「はい! 今日からまたトレーニングをします! なまった体を鍛え――」
「何言っている!!」
「え?」
大声を出すアスカさん。どうしたんだ?
「トレーニングなんて絶対ダメだ! もしなにかの間違えでレベルアップでもしてしまったらどうするんだ!」
「……ああ……そっか」
「レベル0の君じゃないとダメなんだ! 弱いままの君でいてくれ!」
「はい……」
……仕方ないことだが失礼な人だな。やっぱり白野サクラに推しを戻そうかな……
◇
帰りはまた高級車で家まで送ってもらう。
行きと違い、世界を世界を救う英雄として堂々と乗れた。
家に着くと突然の息子の冒険者デビュー、それも政府直々の依頼ということで両親は慌てていた。
僕の隠された能力がダンジョンクリアに必要だから協力をしてほしいと政府の人間が伝えたようだ。
「大丈夫だよ。強いギルドと一緒に行くんだから」
「心配ね……」
心配する母親。
フンッ、報酬に目がくらんで息子をダンジョンに送り込むくせに何言ってるんだ。
「でも……オタフクがダンジョンに行けるって聞いて、お母さん嬉しかったわ」
「え?」
「ずっとオタフクの夢だったからね……レベルを強く産んであげられなくでごめんなさいね……」
涙ぐむ母親を見て、僕も目頭が熱くなった。
「な、なに言ってるんだよ! 別にレベル0は父さんと母さんのせいじゃないだろ。風呂入ってくる」
僕は恥ずかしくなり風呂場に逃げ込む。
レベル0を両親はのせいにして険悪な関係になってしまっていた自分が情けなくなる。
「ごめんね……母さん……これからは親孝行するよ」
風呂を出てリビングに戻るとちょっとしたパーティーのようなごちそうが並んでいた。
「オタフクが冒険者になれるって聞いてお祝いにごちそう作っちゃったわ」
「もう……気が早いよ母さん……」
まったく、僕のことでこんなに喜んでくれるなんて……こんな暖かい両親に恵まれた幸せをずいぶん長く気づかなかったようだ。
「案外、幸せの中にいると……幸せに気づかないもんなのかな……」
「え? なんか言ったオタフク?」
「フフッ、なんでもないよ」
いけない いけない、浮かれてポエマーになってしまった。
「すっかりオタフクは大人になったみたいだなぁ」
父親も感慨深い表情だ。
「なにいってるんだ父さん。さあ、ご飯にしようか……あっ、そういえばミュージック〇テーションは録画しておいてくれたよね?」
「あ……」
青ざめる母親。
「え……?」
「ご、ごめんなさい……忘れてたわ……」
「……嘘だろ」
今日は気になるアイドルが初登場の回だ。
「ふ、ふざけんなーーッ!! ババアッーー!!」
「ひぃぃいい!」
木本オタフク18歳。反抗期はまだ終わらない。
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