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 気づけば政府の黒スーツの男たちに連れられ高級そうな黒塗りの車で走っていた。

 車に詳しくはない僕でも、家の軽自動車と乗り心地が違うことは分かった。
 これが高級車ってやつか。流石は政府、金はあるようだ。

 しかし、一体なにが起こっているのだろうか?
 ついさっきまで部活に勤しんでいた高校生の僕がどうしてこんな事になっているんだ!?

 先生も理由は知らないみたいだ。
 いつもは生徒には偉そうな先生も、より強い権力の前では何もできることはない。
 先生も政府の前ではだたの公務員であった。
 連れていかれる僕に手を合わせることしかできなかったようだ。


「あの、どういうことか説明してもらえませんか……?」
 僕は恐る恐る黒スーツに聞く。

「すまないが私たちから説明することはできないんだ」
 黒スーツからはテンプレのような回答が返ってきた。

 この黒の組織の連中と遊園地にでも行くのだろうか? 僕のコードネームは何になるのかな?

「もうそろそろ本部に着く。そこで説明があるはずだ」
 気づけば横浜を離れ、東京についていた。
 都会だ。たしか霞が関というあたりだ。


 黒スーツがどこかに電話をかける
「お疲れ様です。そろそろ本部に到着します。ええ、例の少年も快くついてきてくれました」
 ……快く?? 拉致の間違えでは!?

「では後程、アスカさんにもお伝えください」
 ……アスカ? かつての憧れ女剣士アスカを思い出す。……まあアスカなんて良くいる名前か。



 そうこうしているうちに車は巨大なビルに到着した。

 今までの人生では縁がなかったような立派なビルだ。
 ロビーでは美人な受付、ピシッとしたビジネスマン。
 まあ僕も学校の制服なので正装といえば正装だが場違い感は否めない。
 屈強な黒スーツに挟まれロビーを歩く姿は異質だろう。

 囚われた宇宙人のようにエレベーターで最上階へ上る。どうやら彼らの本部というのはこのビルの最上階らしい。
「少しここで待っててくれ。アスカという人がすぐに来るから」

 そう言い残し、黒スーツは去っていく。
 あの黒スーツが前座か。アスカとはどんな奴なのだろうか……まさか本当に……


 僕一人、広い部屋で待つ。
 霞が関のど真ん中。桜田門、国会議事堂、皇居だって見下ろせるビルの最上階。
 一体、僕は何に巻き込まれてしまったのだろうか?



 『ガチャ』

 部屋の扉が開く。
 ……アスカさん……!?

 僕は微かな期待を胸に扉に目をやる。
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