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20xx年、この世界にはダンジョンが無数に存在する。
数十年前のある日、大地震がおき、世界中の都市にこのダンジョンが現れた。
なぜ、こんなものが現れたのか誰にも理由は分からない。
しかし、その日を境に世界は大きく変わった。
その日からダンジョンを探索し、モンスターを討伐し金銭を得る冒険者という職業が生まれた。
そして、全人類にレベル・スキルが出来た。
レベルの数値化により戦闘力がハッキリと分かり、スキルにより超能力者や魔法使い、剣豪などが生まれた。
◇
僕は木本《きもと》オタフク、横浜の県立高校に通う18歳の高校3年生だ。
あだ名はキモオタ。
こんな名前をつけた親を憎んで18年。名前の通り立派はキモオタになっている。
名は体を表す、とは僕のことだろう。
僕が生まれた時、この世界にはダンジョンできていた。
少年少女の夢はみんなダンジョン冒険者だ。
プロ野球選手、ユー〇ューバーに並ぶ憧れの職業だろう。
もちろん、キモオタ少年の夢もダンジョン冒険者だった。
しかし、それは儚い夢だった。
現在は高校1年生の健康診断でレベルとスキルを初めて測定する。
そこで現実を思い知る。僕のレベルは0。最低のレベルだった。
その日から地獄の日々が始まった。
◇
「おいキモオタ! 購買でパン買って来いよ」
「は、はひぃ……」
昼食時の教室、村田はいつも僕にいばり散らす。
高校3年生の僕はクラスでは立派なパシリという立場を得ていた。
レベル0のキモオタ。同級生のレベルは僕を除くと最低でもレベル5だ。
クラスの番長 村田はレベル20、おまけに【剣使い】のスキル持っている。
最近では能力を買われダンジョン討伐にも参加をしているらしく、学校のヒーローだ。
容姿や能力でカーストの決まる残酷な学園生活、レベル0のオタク風貌の僕のこの扱いは当然なのだろう。
「はあ、村田の野郎。偉そうにしやがって……」
「なんか言ったか? キモオタ!」
村田は僕を睨みつける。
「い、いえ! すぐパン買ってきます!」
くそ、村田のやつ耳がいいな……
あんなクソ野郎にもペコペコしないといけない自分に嫌気がさす。これも全てレベル0が悪いのだ。
◇
小さい頃の僕は神童だった。(と、僕は思っている)
クラスの人気者で運動神経もよく、勉強もクラスで1番。
そして、誰よりも冒険者に憧れていた少年だった。
小学校のクラスの同級生がアニメだゲームに現《うつつ》を抜かいている時、僕はダンジョン冒険者の雑誌『週刊ダンジョン』を読みまくっていた。
まったく、どいつもこいつもガキみたいなことをして。僕はこいつらとは違う! そう思っていた。
同級生が孫〇空だル〇ィに憧れている中、僕のヒーローは1人だった。
ダンジョン冒険者 女剣士アスカ。当時15歳でありながら最強ギルド『竜の牙』に所属し、アイドル顔負けのルックスで大人気の冒険者だ。
僕もいつか竜の牙に入りアスカと一緒にダンジョンを冒険したい! そう思い、アスカの戦闘動画をユー〇ューブでいつも見ながら竹刀を振っていた。
冒険者になるため、剣道教室には欠かさず通っていた。
だからこそ、初めてレベルの測定をした時、僕に突き付けられた現実に絶望した。
◇
「オタフク君は……レベル0ですね……」
鑑定のスキルを持つ医者が僕たち親子にそう告げる。
「レ、レベル0……?」
聞いたことないぞ? 誰でもレベルは存在すんじゃ?
「そうだね。残念だけど……それにスキルもないようだ」
医者も言いずらそうに言う。
「先生! オタフクは大丈夫なんですか?」
母は心配そうに医者に聞く。
「ええ。日常生活にはなんの問題もありませんよ。でもダンジョン冒険者になるにはレベル5は必要です。
君は普通のサラリーマンになるのがいいでしょう。それにしてもレベル0は初めて見たな……」
「よかった。いいじゃないオタフク、ダンジョン冒険者なんて危ないわよ。普通でいいのよ」
一安心する母さん。しかし、僕は違った。
「そ、そんな……レベル0……?」
母の無責任な言葉に苛立つことも忘れ、頭の中が真っ白になっていた。
(そんな……僕は冒険者になれない……?)
別に一握りの天才がなれるプロ野球を目指していたのではない。
ほとんどの人が望めばなれるダンジョン冒険者に僕はなりたかったのだ。
レベルというのは年齢のように簡単に成長するものではない。
冒険者はごく稀にレベルアップすることがあるらしいが、レベルアップの条件などは明らかになっていない。
「えー、私レベル7ですか! よかった!」
周りで同じくレベルの鑑定を受けている同級生の声が突き刺さる。
あいつらなんてろくにダンジョン冒険者のことも知らないでここまで生きてきたんだろ?
どうして僕が冒険者になれないんだ……?
数十年前のある日、大地震がおき、世界中の都市にこのダンジョンが現れた。
なぜ、こんなものが現れたのか誰にも理由は分からない。
しかし、その日を境に世界は大きく変わった。
その日からダンジョンを探索し、モンスターを討伐し金銭を得る冒険者という職業が生まれた。
そして、全人類にレベル・スキルが出来た。
レベルの数値化により戦闘力がハッキリと分かり、スキルにより超能力者や魔法使い、剣豪などが生まれた。
◇
僕は木本《きもと》オタフク、横浜の県立高校に通う18歳の高校3年生だ。
あだ名はキモオタ。
こんな名前をつけた親を憎んで18年。名前の通り立派はキモオタになっている。
名は体を表す、とは僕のことだろう。
僕が生まれた時、この世界にはダンジョンできていた。
少年少女の夢はみんなダンジョン冒険者だ。
プロ野球選手、ユー〇ューバーに並ぶ憧れの職業だろう。
もちろん、キモオタ少年の夢もダンジョン冒険者だった。
しかし、それは儚い夢だった。
現在は高校1年生の健康診断でレベルとスキルを初めて測定する。
そこで現実を思い知る。僕のレベルは0。最低のレベルだった。
その日から地獄の日々が始まった。
◇
「おいキモオタ! 購買でパン買って来いよ」
「は、はひぃ……」
昼食時の教室、村田はいつも僕にいばり散らす。
高校3年生の僕はクラスでは立派なパシリという立場を得ていた。
レベル0のキモオタ。同級生のレベルは僕を除くと最低でもレベル5だ。
クラスの番長 村田はレベル20、おまけに【剣使い】のスキル持っている。
最近では能力を買われダンジョン討伐にも参加をしているらしく、学校のヒーローだ。
容姿や能力でカーストの決まる残酷な学園生活、レベル0のオタク風貌の僕のこの扱いは当然なのだろう。
「はあ、村田の野郎。偉そうにしやがって……」
「なんか言ったか? キモオタ!」
村田は僕を睨みつける。
「い、いえ! すぐパン買ってきます!」
くそ、村田のやつ耳がいいな……
あんなクソ野郎にもペコペコしないといけない自分に嫌気がさす。これも全てレベル0が悪いのだ。
◇
小さい頃の僕は神童だった。(と、僕は思っている)
クラスの人気者で運動神経もよく、勉強もクラスで1番。
そして、誰よりも冒険者に憧れていた少年だった。
小学校のクラスの同級生がアニメだゲームに現《うつつ》を抜かいている時、僕はダンジョン冒険者の雑誌『週刊ダンジョン』を読みまくっていた。
まったく、どいつもこいつもガキみたいなことをして。僕はこいつらとは違う! そう思っていた。
同級生が孫〇空だル〇ィに憧れている中、僕のヒーローは1人だった。
ダンジョン冒険者 女剣士アスカ。当時15歳でありながら最強ギルド『竜の牙』に所属し、アイドル顔負けのルックスで大人気の冒険者だ。
僕もいつか竜の牙に入りアスカと一緒にダンジョンを冒険したい! そう思い、アスカの戦闘動画をユー〇ューブでいつも見ながら竹刀を振っていた。
冒険者になるため、剣道教室には欠かさず通っていた。
だからこそ、初めてレベルの測定をした時、僕に突き付けられた現実に絶望した。
◇
「オタフク君は……レベル0ですね……」
鑑定のスキルを持つ医者が僕たち親子にそう告げる。
「レ、レベル0……?」
聞いたことないぞ? 誰でもレベルは存在すんじゃ?
「そうだね。残念だけど……それにスキルもないようだ」
医者も言いずらそうに言う。
「先生! オタフクは大丈夫なんですか?」
母は心配そうに医者に聞く。
「ええ。日常生活にはなんの問題もありませんよ。でもダンジョン冒険者になるにはレベル5は必要です。
君は普通のサラリーマンになるのがいいでしょう。それにしてもレベル0は初めて見たな……」
「よかった。いいじゃないオタフク、ダンジョン冒険者なんて危ないわよ。普通でいいのよ」
一安心する母さん。しかし、僕は違った。
「そ、そんな……レベル0……?」
母の無責任な言葉に苛立つことも忘れ、頭の中が真っ白になっていた。
(そんな……僕は冒険者になれない……?)
別に一握りの天才がなれるプロ野球を目指していたのではない。
ほとんどの人が望めばなれるダンジョン冒険者に僕はなりたかったのだ。
レベルというのは年齢のように簡単に成長するものではない。
冒険者はごく稀にレベルアップすることがあるらしいが、レベルアップの条件などは明らかになっていない。
「えー、私レベル7ですか! よかった!」
周りで同じくレベルの鑑定を受けている同級生の声が突き刺さる。
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