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 襲いかかるモンスター。
 金剛寺は斧で斬り潰し、虎石と柳生は剣で斬る。

「ふぅ……レベル30とは言え、なかなか苦労するな」

「ああ……体が言うことを聞かねェ……」

 すっかり実戦から離れていた2人は全盛期とは比べものにならない情けない動きになっていた。
 使っているダンジョンアイテムも現役時代なものではなく、金剛寺のアイテムショップで扱っていたボチボチのアイテムだ。

「お前たち、動きにキレが無いのぅ」
 鋭い斬撃でモンスターを斬る柳生。

「…… 爺さんが1番強ェな」

「ホッホッホ。情けないのぅ」
 日ごろからトレーニングをしていた剣豪、柳生イッセイは今でも現役時に近い強さを維持していた。

「くっ! うるせェ! 行くぞ、虎石! 爺さんに負けてらんねェぞ!」

 衰えたといっても元トップ冒険者たち。
 レベル30のダンジョンをすぐにクリアする。
 ボスを倒し、3人の前にダンジョンガチャが現れた。

「おお、ダンジョンガチャか。ずいぶん久しぶりに見たゼ!」

「昔はガチャが出たら飛びついてたな……おい、触るなよ、金剛寺?」 

「さ、触らねェよ!」

 しばらく放っておくとダンジョンガチャは姿を消した。

「お! 本当に消えたゼ!?」
 はじめてのパス機能に金剛寺は驚く。

「これが『パス機能』か。
 ふふ、せっかくのガチャを回さないなんてもったいない気持ちになるな」

「そうだな。ガチャをパスするなんて、ダンジョン行き放題のアイツらくらいしか、見つけることができなかっただろうな」

「まったく、ナオコもとんでもないダンジョンを作ったもんだよ……」
 虎石はかつてもパーティーの仲間を思い出す。

「ああ、そうだな……アイツらしいぜ! さあ、ガンガン行くぞ!
 とりあえず10回目まではパスしてみようゼ!」

「ホッホッホ、金剛寺はやる気満々じゃの。
 ワシは一旦抜けさせてもらうぞ。
 剣道教室のほうにも顔を出さんといかんからのぅ」

 ◇

 虎石と金剛寺はレベル30のダンジョンマラソンを続ける。
 少しずつ昔のキレを取り戻してきた2人は10回目のクリアをする。

「よしっ! これで10回目だよな?
 ……そういえば、このガチャはどっちが回すんだ……?」
 金剛寺が虎石に尋ねる。

「……決めていなかったな。よし、ここは一つジャンケンで決め――」

『ガチャ!』

「あーっ! おい金剛寺! キサマ……!」
 勝手にガチャを回す金剛寺。

「ガッハッハ! 悪ぃな! 手が滑って回しちまったよ!」
「くそっ! 次は俺だからな!」

『力のブレスレット レア度★★★☆☆』
「お! 俺向きのなかなか良いアイテムじゃねェか!
 レベル30のダンジョンじゃこのレア度なんてなかなか出ねェよな?」

「ああ、50回に1回出ればいいくらいだろうな。
 それを10回目のガチャで……『パス機能』か、間違いなく効果はありそうだな!」

「よし! 早速、もう1周いくゼ!
 こんなオモチャみてェなアイテムじゃ、上のレベルにも行けねェからな!
 とっとと2人ともまともなアイテムを揃えてダンジョンのレベル上げていくぞ!」

 虎石と金剛寺のダンジョンガチャマラソンが始まった。
 元最強パーティーは着実にパワーアップしていった。

「おい、金剛寺! 次のガチャは絶対俺が回すからな!!」
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